コーチングのテーマが決まらない人へのセッションのやり方とは? #108

最終更新日:2023年5月1日

―― 今回は視聴者の方からいただいた質問に、谷口コーチにお答えいただきたいと思います。

「タケ」さんから質問をいただきました。

私は今、コーチングの研修を受けています。

その中でクライアントの立場、コーチの立場、それぞれで、テーマというものに対し、わからないことがあるので教えてください。

具体的には、クライアントがテーマを設定し、重要かつ緊急でないものがテーマとなるのは知っているのですが、テーマ設定に悩んでしまうことです。

また、コーチ役として、テーマが決まらない人に対して、どのようにかかわったら良いか?です。

よろしくお願いします。

というご質問です。

谷口:タケさんありがとうございます。

コーチング勉強してない人もいると思うんで、少し解説もしましょうか。

コーチとクライアントという、ここでは立場という言葉をタケさん使っていますね。片方はクライアント、片方はコーチで、この2人の共同プロジェクトとしてあるゴールを目指す、ですね。2人で協力する。

だから、イメージで言うと、ラリーという車のレースで、ドライバーとナビゲーターが2人で協力してゴールを、ゴールテープを切る、みたいな感じなんですね。そういう2人がいます。

テーマとは何か?と言うと、ゴールを設定すると、ゴールに向かって進んでいきますよね。

その途中途中で、コーチとクライアントがコーチングセッション、フォローセッションで、コーチング的会話をしながらフォローしていってゴールまで行きます。

このフォローするときの会話でテーマを使うんですね。

それは何かと言うと、今日の話題って思ったらいいです。

簡単に言うと、2人で話をするので、今日はどんな話題、何の話をする?っていうのがテーマ=主題です。主題とは主な話題ですね。

ここでタケさんが言ってるのは、コーチとしての立場とクライアントとしての立場で、テーマが決まらないっていうこと。

ここもまず一つあります。

「テーマはクライアントが用意する」ことについて
オリエンテーションで同意を取り交わしておく

谷口:まず、前提は、クライアントさんはゴールに向かって、今日コーチとどんなテーマ、今日はコーチにどんな話題でコーチをしてもらおうか、こういうことをコーチと話したいっていうのを事前に決めてきましょう、考えてきてくださいねっていうのは、最初のオリエンテーションで決めます。

それをやってきてるっていう前提で。

そのオリエンテーションをちゃんとやらないと、コーチと話す前にテーマを考えてくるのは自分の仕事だと思ってない人がいるんですね。

だからまずオリエンテーションで、「あなたの役割の一つには、私と話すときには今日は何の話をするかを、事前に2つ3つ考えて用意してきてくださいね。同意してくれますか?」まずそれをやること。

まずクライアントが用意する。それが上手く決められない。

次に、ここでタケさんが言ってるのは、緊急でないけど重要なこと、かな。緊急性があるよりも需要なこと、『7つの習慣』に出てくるもの、それをテーマにするのが望ましい。

なぜなら、緊急性のことをずっとやっていると、目の前の問題をただ解決するコーチングになっちゃうんです。でも重要なことをテーマにすると、成長に繋がっていくから、でまず行きましょう。

ただ、そうは言っても、クライアントさんがゴールに向かっていくと、緊急なことって結構起きるんです。

「どうしよう!コーチ!会社から辞令が出て、海外へ転勤になったんですよ!」というような緊急なことも起こるので、まぁ重要なことの方が望ましいっていうぐらいの位置づけがまずいいと思います。

次です。

一つはタケさんの質問に「クライアントが考える」っていうのがありましたが、これはクライアントの責任で、もう一つ、コーチもテーマを考えるんですよ。共同作業だから。

コーチもテーマを用意する

谷口:今日がフォローセッションの日だったとします。

すると、「○○さん、今日僕たちのゴールはここだったよね。あれから一週間たったけど、今日は僕たちは何について話題にすればいい?今日はどんなテーマを僕と話したいと思ってきた?」

と聞いたら、クライアントさんから「これとこれ」って用意されるわけです。

そして次に、「○○さん、僕も今日のコーチング始まる前に、先週の○○さんがこういうチャレンジをしてきて今日に至ったとしたら、これとこれもテーマになるんじゃないかなって思って待ってました。」

これ、コーチも考えてるんですね。

すると、僕たちのプロジェクトのテーブルの上に、クライアントが考えてきたテーマが2つ、コーチが考えてきたテーマが2つ、つまり4つ並ぶんですよ。

クライアントは当事者だからこう(視野が狭く)なってるわけですね。だから緊急性があることがこう(目の前に)あるわけです。

でも、コーチは広い目で見てますから、これももしかしたらテーマとして上がるんじゃないかな、というのが用意されると、クライアントとコーチの目の前のテーブルの上に、A・B・C・Dと並ぶわけです。

そこで「若松さん、改めて、君2つ考えてきましたね。僕2つ用意したんだけど、どれにする?」って聞くんですよ。

そうすると、クライアントさんがこう(視野が狭く)なってる時に、コーチが広い視野で見たテーマが用意されたら、「いやコーチ、もしかしたらコーチが用意した方が重要かもしれませんね。」「なんでそう思うの?」って聞くわけですよ

だから、テーマを設定するところからコーチングがもう始まってるんですよ。

なので、タケさんの話でいうと、まずオリエンテーションで、クライアントは今日のコーチングセッション、フォローセッションで、何を話題にしたいのかを考えてくる責任がありますよ、っていうのをちゃんと同意を取り交わす、ということですね。

次に、テーマを考えるのはクライアントだけじゃないってことなんです。

コーチもずっと考える。但し、決めるのはクライアントです。コーチは決めないです。

今日のテーマはこうしましょうっていうのはコーチが言うことじゃない。

これを僕は考えてきた。そして並べて「どうする?」クライアントは決めます。テーマを自分で決めたことによって、責任が生まれる。

で、決めたことによって新たな発見があるので、「なんでそれにしたの?」と聞くわけです。そしてコーチングが始まる。

だからタケさんの場合でいうと、オリエンテーションをもう一回やり直す、というのが一つですね。

そして考え方として、テーマはクライアントだけが考えるんじゃなくて、クライアントも考える、コーチも考えて来る。

そして持ち寄って、改めて決めるっていうふうに考えると、分かりやすくなるかもしれません。

なので、コーチは常にクライアントの動きを考えてると、こういうことがテーマとして上がりそうだなっていうのを知ってるってことですね。

そして、ある程度テーマのフォルダーがあって、「○○さん、先週ああいう風に言ってたけど、多分やってみるとこれがテーマになるかなぁ。いや、でもうまくいったとしたら、これがテーマとしてもいいかな?」

といって、用意してコーチング、クライアントからの連絡を待つ。そうすると、多分決められると思う。これで答えになった?

―― とても参考になります。ありがとうございました。

関連記事