【1on1ミーティング】失敗しない!部下のやる気を引き出すやり方を徹底解説 #120
―― 今日は「1on1ミーティング」、「1on1面談」をテーマに谷口コーチにお話を伺っていきたいと思います。谷口コーチは企業のマネジメント層への研修を多数行われていると思うんですけれども、その研修のテーマと1つとして、1on1ミーティングを扱われることがあるということを以前伺いました。
谷口:はい、ちょっと旬ですしね、今。
―― ですが、多くの企業がその1on1ミーティングを取り入れているものの、なかなかうまく機能していないと言いますか、実際は、 部下から上司への報告の場になっていたり、上司から部下への尋問の場みたいになってるというふうに、谷口コーチが以前言われてたと思います。
谷口:はい。
―― そこで、 マスターコーチである谷口コーチの視点から見た、企業が1on1ミーティングを取り入れる、行う目的と、得られる効果について教えていただきたいのと、そして1on1ミーティングを有効に機能させるためのポイントについて教えていただけないでしょうか。
谷口:なるほどね、随分大きなテーマをぶち込んできましたね。
―― 旬といいますか、マネジメントで悩まれてる方もいらっしゃるんじゃないかなと思いまして、是非伺いたいと思っております。
谷口:細部にわたるところまで説明っていうか話をするとなると、皆さんに3日間ぐらい時間もらわないといけないので、ポイントだけお伝えしましょうね。
企業の経営層が、「うちの会社を良くするためにどうすればいいんだろう?」って考えて、いろんな仕組みを組織に導入しますよね。
ちょっと前だったら、目標管理制度とかあって、「今、1on1ミーティングなんか良いらしい。」「じゃあ、うちもやろう!」みたいに往々にしてそうなるんですが。
そうすると、「いいから導入してやれ。」「週1回は部下と面談しろ。」みたいになるわけですね。特に鶴の一声みたいな経営者がいると、そうなっちゃうんです。
僕の所に相談に来る企業様は、この施策は、簡単に言ったら、1on1ミーティングをやることが目的化しちゃう、やれって言われたからやってますみたいな。
それで、形骸化してきて、結局、運用した方も導入した側も、ボードメンバーも、 実際にそれをやらされているマネージャーも、それに付き合ってる部下も、「ああ、なんかめんどくさいな…。」というふうになるってことですよね。
本来の目的は達成されないんですが、往々にしてあるんですね。
じゃあ、こういう時どうすればいいかってポイントなんですけど、僕は コーチングをしててもそうですし、編集をしててもそうですし、何か物事を考える時結構よく言ってるのが、 3つのポイントって言ったらいいかな。
3つが明確になっていると物事は結構うまくいきますよっていうのはよく言う。
目次
物事が上手く進む3つのポイント
谷口:それはどれにも当てはまるんですけど。
1つが英語の「Why」2番目が「What」です、3番目が「How」なんです。
―― はい。
谷口: 日本語にすると、「Why」っていうのは、なぜ?とか何のために?、どうして?とかっていう意味ですよね。
例えば、1on1ミーティングをするのは、なぜやるんですか?何のためにやるんですか?どうして今のタイミングに導入しなきゃいけないんでしょう?こういうことを指してるわけですね。
「What」の部分は、じゃあ、やることによって、何が、いつまでに、どうなればいいんでしょう?やるためには何が必要なんでしょう?どんな視点を持てばいいんでしょう?って言って、
どちらかって言うと、目的の次にそれを実施するための要素だったり、視点だったり、取り組むテーマだったりっていうのがWhatの部分。
次に「How」の部分ね。じゃあ実施する、しなきゃいけないわけですよ。試験で勉強して覚えればいいものではないので、必ずビジネスやコーチングには行動が伴うわけですね。
っていうことは、 どうすればそれが実現できるのか?達成できるのか?の手段や方法について。
もう1回いいますね、全部やるのもWhy、What、Howこの3つ 必要なんです。
若松さん、1on1ミーティングが上手くいってないところって、 この中のどれが特に欠けてると思います?
―― なぜの「Why」
谷口:そうなんですよ。どこもWhyの部分が弱い。
それと、Whatはあるんです、割とどこにでも。何を?どんなことについて?何をどうする?というのはあるんです。
だから、「週1回30分部下と面談をしろ。」「できればこういうことについて話題にしろ。」「それを報告しろ。」みたいなのあるわけですね。
でも、WhyとHowがないんですよ。
だから結局、やることが目的化しちゃったりで、方法も人によって全部まちまちになっちゃう。ある人はやり方が分からないから、今までの結局、進捗確認。
要は「プロジェクトどうなってる?うまくい進んでる?」みたいになっちゃうわけですね。
なので、ポイントは、Why、What、Howが明確であるということなんですね。
っていうことは、じゃあ Whyから行きましょう。では、1on1ミーティングを導入するのはなぜか?
「何のためにこの仕組みを重点項目として取り入れるのか?」
「どんな目的を達成するために時間や労力を割くのか?」
この問いに、導入者がいますよね、大体ボードメンバーですよ、経営幹部とか営業戦略とか、それ、ちょっと上のお偉方がうちの会社でもやるぞみたいに、もっと言ったら、社長の鶴の一声であるわけですね。だから、導入者、主催者。
それと、実施者って言いますね、マネージャー。
それを受ける当事者、ここで言ったらメンバー。
この3人にこの質問して明確な答えが返ってくるか?
同じ質問に三者から明確で一致する回答が返ってくるか?
谷口:まず、この質問。
「何のためにやるのか?」「なぜ今これをやるのか?」「そのやる理由や目的はなんですか?」と聞くわけです。
僕のところに依頼に来る経営者にも聞きますし、実施するマネージャーにも聞いて、1on1ミーティングを受ける部下にも聞きます。
まず、これに対する答えが、同じような答えが返ってくるか?ですね。
もう1つ大事なのが、それが一致しているか?です。
まず、答えが明確に返ってくるかですね。それが一致しているか。若松さん、現場どうだと思います?
―― 現場全然一致してなさそうですね。思惑はみんなそれぞれと立場で全然違うような気がします。
谷口:まず、(1on1ミーティングを)導入する。それがボードメンバー経営幹部でもいいですし、運営とかをやってる割とトップマネージメント層の人がそれを明確に伝えられて、実施者に納得してもらって、同意を取り交わしてるかどうか。
大体これアンケートとるとバラバラなんです。そもそも ボードメンバーがはい曖昧なんです。まずこれが1つ。
次に、「目標やゴールなんですか?」っていうことにも、明確な答えをそれぞれが答えられるかどうか、明確に。それがまた一致してるかどうか。
例えば、あるマネージャーさんに、「A君を1on1ミーティングする目的はなんですか?」
今度はA君に「上司から1on1ミーティングを受ける理由はなんですか?」って答えが返ってくる。
次に、上司の方に、じゃ、3ヶ月、半年でもいいです、「A君をある一定期間1on1ミーティングすることによって、何がどうなることが目標なんですか?」「何がどうなれば、それを実施した価値があると判定できるんですか?」っていうことを聞いて上司から返ってくると。
それで、今度1on1ミーティングを受けているA君から、「あなたが達成したい目標はなんですか?」って聞いて、同じ答えが返ってくるか?
これがまず一致しないんですよ。
簡単に言うと、僕たちの世界では同意が取り交わされてないってこと。一緒になってないってことで、ここまであります。
じゃあ、どうすればその目標を達成できるのかって方法。
上司の人も部下の人もわかってないし、ボードメンバーもわかってない「How」の部分はね。
っていうことは、進捗の確認のヒアリングをしててその目標は達成できるかってことですよ、 多分できないんですよね。
っていうことがわかってなくて。で、これは一般論として、じゃあ「Why」の部分は何か。
って言って、往々にしてこれのため、これのため、これのため、これのため、これのためって3つから5つぐらい 全員があげられるかどうかです。
若松さん、何となく会社を経営してる人間になったつもりで、うちでも1on1ミーティングやろう。で、「それは何のためにやるのか?」箇条書きで。
何のため。何のため。何のため。何のため。何のため。なんか1個考えてみて。これ聞いてる人も考えた方がいいよ。
Why:なぜ1on1ミーティングを行うのか?
―― チームのコミュニケーションがより円滑になるように。
谷口:なるほどね。多分それって「What」の部分になるんです。
例えば、チームのコミュニケーションがもしそこに点数をつけるとしたら、今あまり良くない、理想10だとすると、今3だと。で、チームのコミュニケーションを半年後に 3から5ポイントまで上げたい。そしたら、「What」目標になるんですね。
何のためにチームのコミュニケーションあげるんですか?
―― それは、突き詰めれば、売り上げを上げるため。
谷口:それだったら、1on1ミーティングの目的になります。コミュニケーションが上がる結果、それが売り上げになるとかですね。
っていうふうになると、目的は売り上げ向上のため。
それで、手段、テーマがチームのコミュニケーションを3点から5点にする。
それじゃあ、そのために上司が1on1ミーティングを誰にどのようにすればいいのか。
これでWhy、What、Howが3つ揃う。
代表的なのが、今ので言ったら「売り上げ」「利益」あとは、そういうのを上げるためっていうのは企業ですごくあります。
それと、新しい価値の創造なんだ。例えば、市場はどんどん、動いていきますから、新しい価値を作り出していくなんていうのもありますね。
あとは、従業員とか社員のモチベーションやエンゲージメントを向上させるため、あると思います。
次に、あとは働く環境を整えるため。あとは、個人、チーム、もちろん上司は会社全体が成長するため。とかっていうのは、大きな、簡単に目的があるわけですね。
What:目的を達成するために何をどうするか?
谷口:じゃあ、そのために何をどうするかって、どんな目的になるかって言うと、さっき言った生産性がビフォーアフターで測って上がったかどうか、効率が上がったかどうか、コストが下がったかどうか、利益が増えたかどうか。で測定できますよね、1on1ミーティング。
それと、例えばモチベーション、A君のモチベーションが始めて3ヶ月後に上がったのか、とか、社員のエンゲージメントが何点から何点になったのか、っていうのはありますね。
あと、環境、従業員満足度がビフォーアフターで上がったのかどうか。
新しい、コンテンツだったりプログラムがどれぐらい生み出されたのか、とか、ミスや無駄や漏れがどれぐらい減ったのか、とか、社員のやりがいや満足感が何点から何点までになったのか、っていうのが測れるじゃないですか。
だから、やることによって効果があったのかが測定できないとダメってこと。
これがWhatの部分。
そうすると、Whatの部分って人によって違うと思いません。
―― 違いますね。
谷口:ですよね。新人A君1on1ミーティングする、だったら成長のためとかが、その子の1on1ミーティングをするテーマにならないですか。
―― はい。
谷口:ミドルマネージャーを1on1ミーティングでするなら、若松さん、どういうテーマになると思いますか?
―― 成果とかですか。
谷口:ですよね。売り上げだとか、利益だとか、コストだとか、あとは、その部門長が抱えているチーム、組織全体のエンゲージメントとか、そういうのがテーマになるじゃないですか。
企画開発の担当者だったら、新しい価値創造がテーマになるかもしれない。
実は人によって全員違うってことです取り組むテーマ。
これが全部、今言ったように、上から下まで僕が質問して同じように(答えが)返ってくるかどうか。それをまず一致させるのが、上手くいくためのすごく重要なポイント。
これにね、僕、企業研修だとすごい時間取るんです。
―― すごく大切ですよね。
谷口:そう。ここが、僕たちはよく握るとか、一致させるとか、合意するって言うじゃないですか。
それがされてないのに、いきなり始めちゃう、だから大抵もうあっちいったりこっちいったり、分からなくなっちゃうって。
WhyとWhatの部分ね。
じゃあそこまではいいですと。いよいよHowなんです。
How:コーチングの考え方やスキル
谷口:このHowの部分に有効なのが、僕たちがやってるコーチングの考え方やスキルをマネージメントに生かすと。わかりやすい方法としてですね。
例えば、ゴールを合わせたり、同じ意味や同じ目的に同意を取り交わしたり、お互いが1on1ミーティングすることでいい関係を作ったりするのに有効なのがオリエンテーションのスキルとか、あります。
あと、その人にとって有効なゴールを設定するゴールセッティングのスキル、コーチングにありますね。
あと、1on1ミーティングをする人が確実にゴールに向かうまでのフォローコーチングのスキル。
フォローコーチングの中にはいっぱいあるわけですよ。アクティブニソニンがあったり、質問力があったり、フィードバック力があったり、提案力があったりっていうのも オリエンテーション、ゴールセッティング、フォローコーチングの方法を習得すれば大体うまくいくと。
このWhy、Whatが全部明確になって、さらに、実施者はいがそのスキルを手に入れたら、多分目的が達成されます。
まとめ
谷口:やるのに結構時間かかる。でも、もし、うまくいくポイントがあるとしたら、Whyを明確にして、Why質問をそれぞれの立場の人に問いかけて、同じ答えが返ってくるか。
それが一致しているかで、何が、いつまでにどうなればいいのかが、それぞれ人によって違ってくる。それが全て明確になって、さらに一致しているか。
そして、それを実施するため、達成するための方法。
代表的なのは、コーチングのオリエンテーションのスキル、ゴールセッティングのスキル、フォローコーチングのスキルが実施者、マネージャーに習得されるかどうか。
多分この3つでうまくいくんじゃないかなと思うんだけど。答えになったかな?
―― いや、もうすごく参考になりました。これをさらに細部にわたって習得できるようになろうと思ったら、3日間は必要だと。
谷口:でも物事って、人ってそれだけでは、うまくならないんですね。
例えば、車運転できるようになった、3日間教習所で勉強したら運転できるかってそうじゃない。
―― そうですね。
谷口:僕、ゴルフやってますね。ゴルフyoutube3日間見たら、スコア80台で回れるのか?回れないな。繰り返し繰り返し忘れちゃうし。
そこで、Why、What、How。Why、What、How…をもうずっとこれをサイクルで回していくと、だんだん、組織文化として浸透していくと。
なので、気長に忍耐強く進めていく。ただ、やる価値はすっごくあると思う。実際そういう声も聞いてるので。