コーチングに出会ったきっかけ #45

最終更新日:2021年5月1日

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── 今日は、「谷口マスターコーチ・ヒストリーをひも解く」というテーマで谷口さんにお聞きしてみたいと思います。

谷口さんは、18年前の2003年にプロコーチとして独立をされて、その後、最短記録で国際コーチ連盟マスター認定コーチの資格を取得されました。

コーチングに関する本も『ザ・コーチ』シリーズを筆頭に8冊を出版され、累計10万部を超えるベストセラー作家でもいらっしゃいます。

「谷口さんの『ザ・コーチ』を読んで、初めて『コーチング』という手法、概念を知りました!」とか、「本を読んで興味をもって、勉強し始めました!」という方のお声をとてもたくさん聞くんですね。

今では、谷口さん=「コーチ」「コーチング」というイメージしか、私たちにはないのですが・・・そもそも、谷口さんが最初に「コーチング」に出会ったきっかけは、どのようなことだったんでしょうか?

今日は、谷口さんが「コーチング」に出会って、「コーチングの世界」にどんどん引き込まれていったエピソードなどをぜひ、教えていただきたいと思います。

谷口:なんかいろいろ思い出しますね。うれしいです。

Web関係のことをやってくれている人に聞いたんだけど、僕のプロフィール、何年生まれで、何歳のときに何があってとか、物語を書いているところがあるんですけれど、そこのアクセスが一番多い、っていうのを聞いたことがあるんだよね。

やっぱり人の物語って興味があるのかな?

── そうですね。すごくおもしろいですよ!谷口さんの物語。

谷口:じゃあまず、コーチングに関してでは、2003年に開業届を出したんですね。会社を辞めて、起業して、開業届を出したのが2003年。そこからコーチという仕事をしているんです。

コーチングを勉強し出したのは2002年です。だから勉強し終わってではなくて、勉強しながら開業したんです。

では、どうやってコーチングと出会ったのかというと、何年だったかな?コーチングを勉強し出す3~4年前は、まだ僕はマネージャーをやっていました。

悩むわけです。トップセールスマンからマネージャーになると、なかなか思うようにマネジメントがいかないんです。

なぜかというと、マネジメントを習ったことがないし、人がどうやったら動くのかってわからなかったし、自分でやったほうがよっぽど楽なんですね。

でも、マネジメントというのは、人に上手く成長してもらって動いてもらう。

そのときにどうすりゃいいんだ?と悩んでいました。

世界が広がるきっかけとなった行動とは?

谷口:それで、その頃からいろんな本を読んだりしたんですが、たぶんその頃だと思う。年齢で言うと、30歳の終わりか、40歳になるかならないかくらいの頃に、『7つの習慣』という、コヴィー博士の名著を読みました。

その当時だと半分以上、意味があまりよくわからなかったです。

でも、すごくいいなと思っていたときに、会社の先輩だったか上司だったかが、「こういうのってセミナーがあるよ。」と教えてくれたんですね。

今だったらセミナーというのは普通にあるけれど、20数年前は、セミナーそのものがそんなに世の中になかったんです。

それで調べたら、『7つの習慣3Daysセミナー』という3日間のセミナーがあったので、申し込みました。今だったら、30代40代の人で、セミナーへ勉強しに行く、という人は結構いますよね。勉強が好きなら。

でも、20数年前と言ったら、まずセミナーということ自体が世の中にあまりなかった。会社員なんか知らないわけです。企業研修はあるけどね。

だから、まず公開セミナーに申し込んで行ったんです。

そうすると、僕の中でちょっと世界が広がったんです。セミナーって、いろんな会社のいろんな人が集まるじゃないですか。

そこでは、ABCとかのグループを作って、グループワークをどんどんしていくんです。それがまず新鮮だったんです。

会社の人以外の人とこうやって話したり、触れたり、年齢も違う人、仕事も違う人がすごく新鮮で。そこでバッーっと、世界が広がったんですね。

そこから僕は、コヴィー博士の手帳を使ったり、もっと勉強したり、他のセミナーにも行く、というのが始まったんです。

でも、まだコーチングのコの字も出てこないでしょう?

── そうですよね。

谷口:でも、そうやって勉強しながら、マネージャーとして悩んで、勉強したことを試しながらやると、何か、「あぁ、人ってこうやって動くんだな」とか、「これは良いな」とか思いながら、職場で試していたんですね。

届いた手紙の中のキーワード
初めて知った言葉にアンテナが立った!

谷口:そうしたら、何年後だったかな?勉強をしたのは2002年だから、2002年か2001年か、その頃だと思います。

お手紙が来たんですよ。

それが、その『7つの習慣』の同じグループのIさんという女性からで、そのIさんは、当時は人材派遣会社のマネージャーだったんです。外資系だったかな。

何のお手紙かというと、「開業案内」なんですよ。

「コーチとして起業しました」、と書いてあるんですね。まあ、もっといろいろと書いてあったんですけど、「え、コーチって何?」って思ったんです。

「コーチングをします。」って。僕は初めてその人の手紙から、『コーチング』とか『コーチ』という名前を知ったんです。その頃はないですから。『コーチング』とか『コーチ』とか言わないし、研修もないですし。

「なんだ?コーチ?コーチングってなんだ?」と思ったわけです。そしたら、アンテナが立ちますよね。「なんだ?」と思うから。

そうしたら、その後だと思うんですけど、本屋さんでたまたま、コーチングの特集が『東洋経済』というビジネス雑誌で組まれていたんです。

人間っておもしろいですよね。関心があると「え?」と目につくわけです。

「コーチング?あれ?これ、あのIさんが言ってたやつかな?」と思って、パラパラ読み出すと、そこに書かれていたのは、まさに新しい、ビジネスのマネジメント、まさにコーチングのノウハウだったんです。

今までにまったくないんですよ。そういう概念が僕の中に

それで、「おお!これはおもしろいな。」と思ってすぐに買って読みました。

そして、今度はコーチングの本を買ったりして、これはなるほどなと思って、部下に実験しだしたんです。

そうしたら、何かやっぱりいい影響があったんですね。

それから、「コーチングか。」と思いながら、ちょうどその頃、僕は巨泉さんの本を読んだんです。

僕のおすすめの本っていうのを、コーチTVで確かご紹介しましたよね。ちょうどそのタイミングで巨泉さんの本に出会って、自分らしく生きてこそ人生とか。その選択とか。

だから、この辺で、僕が未来にコーチに踏み出す、何かいろんな意味で、情報をキャッチアップしているんですね。その頃に。

それで、「コーチングって何かおもしろいな。」と思って、そのIさんに連絡を取った。ずっとその手紙を捨てられないでいたんですよ、僕。特にお返事を書いたわけじゃないんです。

興味があったので、Iさんに連絡をとったんです。

「Iさん、お久しぶりです。こんなお手紙をもらって。で、ぜひ『コーチング』って何なのかお話を聞きたいんですけど、どこかでお時間をとってもらえませんかね?」というふうに言ったら、「いいですよ!」と言ってくれて、僕の会社のそばでお昼を食べたか、カフェでお茶をしたか、時間をとってもらいました。

「Iさんの言うコーチングって何?」

「コーチングってこういうものなのよ。コーチってこういう仕事なのよ。」

「へー、そんな仕事が世の中にあるんだ。」

「谷口さん、よかったら私がクラスコーチをやっている、コーチになるための講座を紹介するわよ。」

「あぁぜひ!」

と言って紹介されたのが、当時の『コーチ21』というところだったんです。

セミナーで感じた今までにない違和感とは?

谷口:その後、コーチの説明会に行きました。でも、当時はまだ、「セミナー」とかそういう「説明会」という概念もあまりなかったので、不安なわけですよ。

何か売り込まれるんじゃないか?とか、変な団体なんじゃないか?とか、洗脳されるんじゃないか?みたいに思って行ったら、セミナー会場に、何か楽し気な、ニコニコしているような、コーチ21のスタッフとか、先輩コーチとか、もう既にコーチとしてスタートしている人たちがいっぱいいる。

すると、すごい違和感なんですよ。イメージ湧きます?「え?これ何か変な団体なんじゃないの?」みたいな。

まあ極端に言ったら、超ポジティブな連中しかいないわけですよ。ニコニコ。

そうすると、僕は普通の営業マンで、ギスギスして、超軍隊みたいな会社にいるから、その集団自体が違和感なんですね。

で、会話自体も違和感なんですよ。質問とか、アクノリッジとか、そういった今までに接したことがないようなコミュニケーションをとる人たちだから。

だから、まず最初はやばいと思ったんです。これは入ったら、何か洗脳されるんじゃないか?みたいな。

でも忘れられなくて。でもすぐは申し込まなかった。

── そうだったんですね。

谷口:違和感があったから。でも、気になって気になって仕方がないんですよ。巨泉さんの本を読んだり、他の本を読んだりしていると。

気になって気になって仕方がなくて、しばらく経ってからもう一度、当時の『コーチ21』の担当の人に、「やっぱり興味があるので、その講座の内容をもう少し詳しく聞きたいんですが・・・」、と問い合わせしたら、

その時はまだ、日本にコーチングを普及しようとしていて、日本コーチ協会とかができて、どんどん仲間を増やしていこう、みたいなときだったので、カンファレンスと言って、国際コーチ連盟の日本での会議とか、分科会とか、そういうものの大会みたいなのがあって、「それをやりますから、谷口さん来ませんか?」となりました。

「ちょっと別な世界だけれども行ってみよう。」と思って行きました。そこで、海外のコーチとか、分科会の先輩コーチのエピソードとか、そのビジネスとかを聞いたら、

「ちゃんとしたこういう職業とか、こういう世界があるんだ。」っていうのがそのときにわかって、僕もこういう人たちと同じように、こういうふうになりたいって思ったんですね。

で、もうそこですぐに申し込みました。それが2002年です。

そこから、それまでは半信半疑で、ちょっとやばいなと思っていた世界が、入ってみてしばらくいくと、全然やばいんじゃなくて、今まで僕が知らなかった考え方や価値観を持っていたり、人と関わったり、そのコミュニケーションノウハウを持っていたりする人たちだったんですね。

それで、今度は、その人たちのコミュニティに入ったわけですよ。

それまで僕は、会社のセールスとか、そんなコミュニティしか知らなかったし、学生の同級生のコミュニティしかなかったのが、コーチたちのコミュニティに入ったら、何かね、「俺の居場所はここだ!」、みたいに思ったんですね。

自分の居場所を見つけた!

谷口:それで思い出した。これは『ザ・コーチ2』という本なんですけど、この一番後ろの『あとがき』にそのエピソードが書いてあるんです。

アンデルセンの話を書いていまして、アンデルセンはいろいろ仕事を変わって、最後に童話作家になるんですけど、自分の本当の居場所はここだって思ったのを童話にしたのが、あの『みにくいアヒルの子』なんです。

なので、「ここが俺のコミュニティというか、居場所なんだ!」って思って、もうそこから、のめりこんでいきました。

「もうコーチでいきます!」みたいな感じで、2003年に開業しました。まだ3分の1も勉強していないですね。

なので、勉強しながら「コーチです」と名乗って、ビジネスを立ち上げたというのが、馴れ初めというか、スタートですね。

── ああ、そうだったんですね。最初は違和感があったというのも、ちょっと意外ですね。

最初から「もうこれ!」って、何かをつかんで行かれたのかなと思ったら、まだちょっと半信半疑で、「これ、大丈夫なのか?」みたいな時期もあったということで。

谷口:ありましたよ。

── これは、さかのぼってのお話なので、今の谷口マスターコーチがいらっしゃるのがわかっていて今のお話を聞きましたけど、谷口さんからしたら、未来がわからない状態で、今の体験をされたわけですものね。

谷口:いや、もう本当に。だって、コーチって名乗っている人がほとんどいない時代で、コーチングというものも全然認知されていない時代だったのでね。

でも何か、ちょっと興味があるなと思って、本を読んで入っていったら、何か超明るいポジティブな集団で、「やばくね?」みたいに。

だって、ビジネスの世界って悲観的だもん。目標を達成していないとか、未達だとか、「お前は何をやっているんだ?」とか、罵倒されたり、罵声が飛んだりとかね。

それとは、何か全然違う世界だなと思いました。

なので、最初は本当に違和感があった。でも、何となくその違和感を超えてコミュニティに参加しだしたら、だんだんだんだん、「こっちの方がいい。居心地がいい。」というふうになって。

「ああ、みにくいアヒルの子だったんだ、俺は。」みたいな。「白鳥じゃん!」みたいに思ったんです。

── 「白鳥だったんだ!」って思った谷口さんが、水を得た魚のようにコーチングの勉強をどんどん進められて、加速していかれて、今に至るわけなんですが、そういうふうにして、天職って出会うんでしょうかね。

谷口:そうだね。

── 一度、試されたような感じですよね?違和感を持って、それでも「どうなの?どう思う?」みたいな感じで、そういう期間を与えられたというか。

今日は、これまでお聞きしたことがなかった、谷口さんがコーチングと出会うきっかけの細かい部分をお聞きできました。ありがとうございます。

『コーチング』というテーマ、キーワードをもとに、こうやって谷口マスターコーチを筆頭に、みんなでつながっていけるというのは、またとても素敵なことですね。

谷口:そうですね。僕がそうだったように、コーチたち、コーチを生業にしている人たちがどんどん増えて、それが大きなコミュニティになっていくと、もっと大きな力になっていくというのがあって、僕はそれを体感した。

それで、2003年にコーチをスタートして、世の中にこういう人たちがもっと増えたら、世の中はもっと良くなるだろうなと思って、コーチを起業して翌年か翌々年に、セブンピースクラブというのをつくりたいなと思った。

それが、コーチたちのコミュニティで、「親愛なるコーチの仲間のみんなへ」と、手紙を書いたんです。

「僕たちは、いろんなキャリアや経験や知恵をもって、それでコーチになった。その人たちが1人ではなし得ないことも、仲間で協力したらすごく大きなことができるんじゃないか。なので、仮称セブンピースクラブというのを立ち上げて、みんなで大きな力を発揮できるような、そんなきっかけになったらいいと思います。」

というのが、たしか2004年ごろなんですね。でも、その手紙って出していないんですよ、コーチたちに。

── そうなんですか?

谷口:出していないんです。でも、そういう考えはずっとあって。

その延長線上で、コーチたちのコーチ力がもっと上がればいいし、プロコーチが世の中にもっと増えればいいと思って、稼げるプロコーチになるための『虎の穴プロフェッショナル』というものを、2007年にスタートしたんです。

── それが虎プロにつながっていくんですね!

谷口:そう、つながっていくんです。もっとそういうコミュニティが大きくなったらいいね、と。

なので、何か全部つながっていくんですね。わらしべ長者じゃないけどさ。

すると、コーチを教えてくれるいろんな学校ができるわけです。

そうすると、自然と世の中に、コーチングを勉強した人がいっぱい出てきたわけです。「私もコーチです」「私は何とかコーチです」「私は何とかコーチです」みたいに。

── ああ、すごい!つながってる!そうなんですね。

現在されている『虎の穴プロフェッショナルTHE伝承』で、谷口さんご自身が体験してきたもの、得てきたものをすべて、受け継いでくれるコーチのみんなに全部渡すよ、という気概をいつも私たちは感じさせていただくんですが、

その最初のコーチングとの出会いが、こういうふうにつながってきたんだというのを知ることができて、今とりかかっていることを、この調子でやっていいんだ、という勇気をいただけたような気がします。

谷口:よかったです。

── 今回は、「谷口マスターコーチ・ヒストリーをひも解く」、というかたちでお聞きしたんですが、谷口さんの体験自体に、バトンをつないでもらった私たちができることや、勇気をもらって、また新しいことをするヒントをたくさんいただけると思いました。

ぜひまた引き続き、このテーマでも谷口さんのことをいろいろと・・・。

谷口: ヒストリーのね!この後も、いっぱいいろいろありますから。

── それもまた、次の機会に聞かせてください。

谷口:はい、わかりました!

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