【稼ぐコーチの必須スキル】オリエンテーションとエバリュエーションとは? #46

最終更新日:2021年5月15日

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── 今日は「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。

あさこんさんからのご質問です。

コーチングスクールでコーチングを学んで、セッション自体の練習は何度もしているのですが、オリエンテーションやエバリュエーションを教えてくれるところは少ないように感じています。

オリエンテーションやエバリュエーションがなぜ大事なのか?

どうやってそれらを学んでいけばいいのか?

ぜひ、それを聞きたく質問いたしました。

どうぞよろしくお願いいたします。

というご質問なのですが、谷口さんお願いします。

谷口:そうですね。本当に、あさこんが思う疑問ってもっともだなと思うんですけど、まずこの『ザ・コーチTV』を見ている人は、あさこんさんのようにコーチングスクールに行っていない人もたぶんいますよね?

ですのでまず、専門用語っぽいものを一緒に確認していこうと思います。

オリエンテーションとエバリュエーションという言葉が2つ出てきたんですが、聞いたことありますか?

── 聞いたことはあります。特に「オリエンテーション」という言葉はわりと一般的かなと思うのですが、ただ逆に「エバリュエーション」の方は、具体的にはどういうものかわからないというのが実際のところですね。

谷口:ですよね?たぶん視聴者の方も知らない方が結構いると思います。まずその解説から行きましょう。

オリエンテーションとは?

谷口:まず、聞いたことのあるオリエンテーションからですね。オリエンテーションを受けたことある?

── コーチングのオリエンテーションではなくてもいいですか?私が受けたことあるのは、学びに行ったとき。具体的には心理学の講座を6か月間で学ぶときに、一番最初に入校説明会みたいなものを兼ねて、それをオリエンテーションと呼んでいたかなと思うのですが、どうでしょう?

谷口:そうそう。そんな感じですね。

まずオリエンテーションというのは、「新しい関係性が始まるとき」という前提があります。今の例でいうと、講座の主催者と受講者というのは新しい関係ですよね。

今まですでに付き合っているんではなくて、入校するということは、主催者と受講者が新しくスタートを切るんです。

他には、特に多いのが学校でいうと大学。大学側である学校法人、学校とそこに入ってくる新入生。新入生が入ると、だいたい1年生の最初はオリエンテーションがあります。これも新しい関係性がスタートするときです。

あとは、一般社会でいうと、企業に新入社員が入るとき。入社の受け入れのとき、よく人事とかがやったりする。これもすでにある法人という人と、そこにメンバーとして新しく入ってくる人の関係がスタートするときに行うものなんですね。

新しい関係性がスタートするときに、お互いの関係性が、今後より良く進んでいくために行う準備という意味になります。

── なるほど。そうだったんですね。

谷口:だから、たとえば先ほどの例でいうと、講座の主催者と受講者が、お互い受講中に上手く講座が進んでいったり、成果が出るように、最初に準備する。

「ここはこうしましょうね」とか、「こう学ぶと効果的ですよ」とか、「私はこうします。あなたはこうしてくださいね」ということを、お互いに確認し合う、みたいな感じのイメージを持ったらいいです。

エバリュエーションとは?

谷口:では、次にエバリュエーションですね。この言葉は普通あまり使わないですね。そのままでいうと、査定、評価という意味になります。

そういう言葉は使わないんですけれど、例えば企業でいうと、新商品を出し、お客さんにサービスを提供し、そのあと最後に利用者満足度調査みたいなものをします。

「やってみてどうでしたか?」みたいなアンケートを求められたりしませんか?

── ありますね。

谷口:こういうものをエバリュエーションというんです。

コーチングでいうと、コーチングのサービスを提供し、クライアントはコーチングのサービスを受けました。お互い、ゴールに向かって進んで行き、ある一定の期間が終了しました。

そのときに、「2人の関係や、お互いの取り組み方や、得られた成果は、どういうふうに評価できるでしょうね?」といって、ある一定の期間を過ぎたときに査定をすることになります。

これで大体、言葉の意味は大丈夫そうかな?

── はい。今、言葉の意味をお聞きしただけで、この2つはとても大事だなと改めて思っています。

オリエンテーションはなぜ大事なのか?

谷口:OKです。では、なぜ大事なのか?をまずお話ししようと思うのですが、一番わかりやすい「会社」でいきましょうか。

会社法人がありますね。そこへ新入社員が入ってきます。大学を卒業して、まだ社会に出ていない。簡単にいうと、社会人の組織のメンバーとしての経験がないわけですね。アルバイトはあるかもしれませんけれど。

その人が、何々株式会社の1メンバーになって、入社してきます。そこで雇用契約というものを結びます。だから、契約形態なんですね。このときに、どちらかというと会社側がやるんですけれど、

「ここの会社はこういうルールに従っています。労務規定というものはこういうものがあります。あなたの権利はこうです。あなたの義務はこうです。あなたの負っている責任はこうです。これからこんなプランであなたをうちのメンバーとして一人前に成長させていく支援をしていきます。こういうことをやったらこういう罰則があります。」

というようなルールや、お互いの役割や、責任、求められるもの、未来のビジョン。そういった項目をお互いに確認しあって、さらに、「あなたはこのルールや責任を果たし、守ると約束してくれますか?」と。

すると今度は新入社員が「約束します。」と。それが「同意」なんです。

それで合意されるわけですね。だから、手を握ったみたいな感じ。「そのルールに従って、私は1メンバーとして責任を果たし、約束を守り、ルールに従います。」ということを握る、それがオリエンテーションなんですね。

では、会社側がこれを怠って、もしくはやらないで、「まあわかるよな。大丈夫だよな。アルバイトもしたことがあるだろう?じゃあとりあえずあそこの部署にいって、見よう見まねで先輩から仕事を学んで、あとは頼むぞ!」という状態だけで終わらせてスタートしてしまったら?

オリエンテーションをやったときとやらないときで、違いってなさそうですか?

── やらなかった場合は、あとで非常にまずいことが起こるにおいが漂っていますね。

谷口:何かまずくなりそうなにおいがしますよね。

では今度は、会社側がそういったルール、賞罰、規定、もしくは責任、目標、ゴール、目的、いろんなものを確認しないで、日本企業に多いんですけれど、よくいうなぁなぁにで、

「大丈夫だよな?先輩から見て覚えろよ!」みたいな状態で新入社員を受け入れて過ごした先ににおうこと、起こりそうなまずいことって何が思い浮かびますか?

── まず、新入社員が見よう見まねでやったことに対して、先輩がそれを良しと受け入れてくれるとは限らない。やったけれども、それはやらなくてよかったとか、そういった仕事上の非効率みたいなものがうまれますし・・・

谷口:まず効率が悪くなりますね。

── そこから人間関係が崩れるというか、そもそも関係を上手く構築できない、というような問題が起こりそうですよね。

谷口:関係性が構築できない。もしくは、最初はよかった人間関係が崩れる、悪くなる。

お互いに、先輩も会社側も新入社員に対して、新入社員も会社側に対して、不信感とかがうまれそうじゃないですか?聞いてない、言ったはずだ、ああだこうだ、みたいな。

── 生まれますね。

谷口:生まれそうですよね。新入社員って、たいていモチベーション高く社会に出てくるんですよね。

── そうですよね。最初は本当にフレッシュで、やる気がいっぱいで。

谷口:このモチベーションって、(オリエンテーションを)やったときとやらないときで経過は違いそうですか?

── まったく違うものになるように思います。

谷口:オリエンテーションをしないと、だんだん高かったモチベーションが下がってくる可能性がありますよね。

それもありますし、辞めてしまうということもありそうですよね。

── 突き詰めると、辞めるという悲劇が起こると思います。

谷口:起きますよね。あとは、辞めないまでも、表面は良い子に振る舞いながら、裏では会社の足を引っ張ってやろうというように、不満が反抗に繋がる可能性があるんですよ。

会社のデータを漏洩しちゃったりとか、やっちゃいけないことをわざとやってしまったりとか。

まあ、あまり好ましくないことが起きそうだということですよね。

だからコーチングも、コーチとクライアントの新しい関係性を、契約を結んでスタートするんです。フィーももらいます。費用ももらいますし、お互いにコミットします。責任を果たします。

最初に新しい関係性をスタートするときにオリエンテーションをやらないと、今みたいなことが起きるんです。

お互い、コーチはクライアントに、クライアントはコーチに、不信感を抱いたりとか、本音じゃなくて建前が多くなったりとか、お互いに不信感を抱きながら進んでいくので効率が悪くなったりとか、相手のせいにしたりとか、契約が解除されたりとか。

一言でいうと、コーチングというものの効果がどんどん薄れるというか、低くなるというか、悪くなるんですね。

なので、実はオリエンテーションって大事ですよ、と言っているんです。

今のコーチングスクールの現状は?

谷口:まずここでいうと、なぜこれをコーチングスクールで教えないかというと、今のコーチングスクールって、コーチングのスキルを教える学校なんです。

僕が17年前くらいに習ったときのコーチングスクールというのは、プロコーチ養成講座なんです。全然違いますよね。

プロコーチになるための学習をする場所だったものが、今はコーチングスキルを学ぶ場所になっているんです。

なぜかというと、コーチングスキルって汎用性があるんです。親子でも使えるし、学校の先生や病院の先生とか、スポーツでも、どこでも使える。

なので、普通のコミュニケーションの中にコーチングスキルを持ちこんだらいいんじゃないですか?だから傾聴ですよ、だから質問ですよ、だから承認ですよ、と教えるようになっちゃったんです。

だからコーチングスクールが、プロコーチになるための学習の場所じゃなくなってきたんです。そういうものが1つです。

あとは、ビジネス的に考えると、マーケットというと、プロコーチになりたい人とコーチングを勉強したい人だと、圧倒的にボリュームゾーンが違うものね。

── そういう側面はたしかにあります。

谷口:だから、サービスを提供するコーチングスクール側からすると、コーチングスキルを教えますよと言ったほうがお客さんがいっぱいいるんじゃないかな。プロコーチになりたい人が来てくださいと言うと、わずかしかいないけれど。まあ、そんなところがあるんじゃないかな、ということが1つです。

エバリュエーションをしなかったらどうなるのか?

谷口:次に、エバリュエーション。査定ですね。これも、言ってみれば同じ理由なんですけれど、なぜ大事か?というところの1個前に戻ります。

企業とサービスや商品を提供する側。市場に何か商品を出すとか、サービスを提供するとか、料理屋さんでもいい。

それと、今度はそれを享受する側。お金を払ってそれをもらう、サービスをうける、商品を買うというユーザーがいます。

では、提供側が「これはこうだから結局こうやって上手くいくよ。」「お客さんの悩みは解決できるよ。」と言って(お客さんに)商品を提供しました。その後、使った人の満足度調査を一切しなかったらどうなると思う?提供しっぱなしだったら?

── それは、なかなか勇気がいることだと思っちゃったんですが。ユーザーの方の実際の声とがあがってこないので、本当にユーザーの方が求めているものを届けられているかどうかというのは、わからないですよね。危険ですね。

谷口:ちょっと怖いでしょう?提供する側がこうだろうと思っていることと、その実態を確認していないわけです。お互いに評価をしていない。

では、もしもやった場合とやらなかった場合で比較してみようと思うんですけれど、やらなくても急激に表立ったマイナス要因はないと思うんですけれど、やらなかった場合に起こり得ることって何が想像できますか?

直接は聞いていないわけですよね。「うちの商品やサービスはどうでしたか?あなたの期待に沿えていますか?お互いに責任を果たしていますか?」みたいなことを一切確認しなかったら?

── 確認しなかったら、ユーザーが少なくなっていく。

谷口:その通り。(ユーザーが)減っていくはずです。

ほとんどの不満を持っている人は、70%くらいはそれをサービス側に言わないそうです。自然と去っていくだけなんです。

── わかります。

谷口:わかるでしょ?そういう経験、みなさんにもいっぱいあると思う。もうあそこには行かない、みたいな。文句は言わないけれど、二度と使わない、みたいな。

だから、どんどん減っていきますね。さらに不満が多いと、どこかに書きこんだりする可能性もあります。匿名で。

ありそうですよね?昔だったら2ちゃんねるみたいなやつ。

── どこかに何か書き込まないまでも、たとえば家族とか友人とか、周りの人にはちょっと言っちゃいますよね。

谷口:あそこひどいのよね、みたいな。そういうことが起きますよね。ファンが減りますよね。簡単にいったら、そういうことなんです。

例えば僕の例で言うと、美容室に行くと、最初に言うじゃないですか。「どうしたいですか?」「こんなふうにしたいんだけれど・・・」と。

そのときに、プチオリエンテーションじゃないですけれど、「谷口さんがこういうものというのは、こういう感じですか?」って美容師さんがちゃんと聞いてくれたとき、「そうそう、そうなんだよ。それが言いたかったんだよ」と。そして「じゃあお願い。」ってなるじゃない?

でも、僕が「こういう感じなんだよ。」って言ったときに、「あぁわかりました。」って切り始めて、「ちょっと違うんだけど・・・」と。

だから勝手に確認をしていないわけですね。お客さんの要望と自分の理解が合っているか。そういうのが、プチオリエンテーションをしていないとき。

メタコミュニケーションがもたらす効果

谷口:次に、今度はエバリュエーションじゃないんだけれど、「メタコミュニケーション」という言葉があるんです。

簡単にいうと、引いて、幽体離脱したみたいにして、上から2人を見るみたいなこと

僕たちは幽体離脱はできないけれど、例えばコーチングをしているときに、「僕は今こうしようと思っているけれど、このまま進んでいい?」とか、「僕の今の質問とか話の聞き方は合っている?」とか、「もっとこうしてほしいことはない?」とか、途中で確認をしていくというものですね。

それをメタと言うんですけれど、では美容室に戻ります。

「こうしてほしいんだよ。」

「それはこういうことですか?こういうイメージで私は理解していますけれど、合っていますか?」

「そうそう、それが言いたかったんだよ。」

「わかりました、じゃあ切っていきますね。」

と言って切り始めてしばらくして、

「どうですか?イメージに近づいていますか?」とか、

「もう少しこうしようと思うんですけれど、それで大丈夫そうですか?」

と美容師さんが聞くのと、

「あぁわかりました。」と言ってバーッと切っちゃって、途中で

「いいのかな?でもプロだから大丈夫そうだよな。このままいったらイメージ通りになるんだろうな・・・。」と思っていて、

「できました!」と言われて、

「うーん、ちょっと違うな・・・。」というときがありますよね。

これが途中でメタというものが入るか、入らないか。

今度は、最後に「谷口さん、ほぼほぼゴールで完成してきたんですけれど、どうですか?イメージに近いですか?もっとここはこんな感じというのはありますか?」ということを最後にエバリュエーションする。

「もう少しここを梳いてもらって、ここはちょっとボリュームは少なくていいかな、」

「わかりました、他はどうですか?このへんの長さはどうですか?」

「ここももう少しかな?」

「あぁわかりました。じゃあ最後にそうしますね」と。その後、

「谷口さん、どうですか?希望したイメージに合っていますか?髪の量とか、梳き方とか、カットはどうですか?」

「うん、バッチリ!」って言うのと、

「終わりました。じゃあお会計です。」

といってエバリュエーションをしないのとでは、違いそうだよね。

── まったく違うものになりますよね。

谷口:なので、結局プロのコーチとしては、やっぱりビジネスですから、お客さんが増える、お客さんが繰り返し利用してくれる、それが重要です。なので、大事。

オリエンテーションやエバリュエーションをすることによってお客さんが増えるし、繰り返し使ってくれるし、ファンになってくれる。

でも、しなかったらお客さんは減るし、悪評は立つし、不満が募る。

それをなぜ今教えなくなったかというと、雨後の筍みたいに、コーチングスクールがいっぱい増えて、結局「プロコーチになりませんか?」というのと、「コーチングを学びませんか?」というのとでは、競合相手がいっぱいいるわけですから、なるべく広いマーケットにサービスを提供したほうがいいと思っているんじゃないかな、みたいな。

僕はラッキーだったんです。僕のときは、プロのコーチの養成講座だったので。皆プロのコーチになりたいという人がいた。ただ、スクールは2校しかなかった。

── その当時は2校だけだったんですね。

谷口:代表的なものはね。なので、マーケットは小さいけれど、サービスを提供する側も少ないから、ビジネスとしてはスタートとしていいんですよね。

でも、今コーチングが認知されてきたら、マーケットは増えました。学びたいという人は増えましたけれど、提供側も増えちゃったんです。コーチングスクールが増えちゃった。なので、スキルになったんじゃないかなというのが僕の感想かな。

あとの、どうやってそれを学んだらいいの?ということは、コーチングスクールなのか、プロコーチ養成スクールなのかを見極めるというのが1つかな。

だから、学ぶときに、この講座やスクールはコーチングのスクールなのか、プロコーチ養成スクールなのかを判断材料にして、本当に学びたかったらプロコーチ養成講座で学ぶのがいいんじゃないかなと思うかな。

プロコーチをコーチにつけてみる

谷口:あとは、もう自分がコーチになっていたら、ちゃんとプロコーチの人をコーチにつければいい。コーチングを勉強している人にコーチを頼むんじゃなくて。

── すでにプロコーチの人に。

谷口:そう。コーチングを生業にしている人、コーチで食べて生きている人。

その人はわかるはずです。ビジネスはオリエンテーションとエバリュエーションをちゃんとしないと、自分のお客さんも増えないし、減る。

そういう人をコーチにつければ、オリエンテーションもエバリュエーションもやってくれるはずです。

そうすると、ユーザーとして学ぶことができます。実際にやってもらえるので。そんなところだと思いますよ。答えになったのかな?

── 今日もまた、たいへん貴重なお話を伺えました。オリエンテーションとかエバリュエーションという言葉だけは聞いたことがありましたけれど、一連のプロセスの中でそれをやるかどうかで、まったく成果が変わってくるというイメージができました。

コーチングのスキルを学ぶのか、プロコーチになるのか、まずそこで変わってくるけれども、プロコーチになりたいのであれば、オリエンテーションとかエバリュエーションを知らずして、学ばずしてプロコーチになっていくのはすごく大変で、そこはしっかりとおさえないと、あとで困ったことになるというのがよくわかりました。

谷口さん、本日もありがとうございます。

谷口:いえ、こちらこそ。ありがとうございます!

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