【コーチング力を高める】語彙力を磨く方法とは? #33

最終更新日:2021年2月9日

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谷口コーチに質問する

── ザ・コーチTVの視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。

ゆうさくさんからのご質問です。

谷口コーチこんにちは。

僕は、本屋さんに行ったときに古本屋コーナーで「ザ・コーチ」という本とバッタリ目が合い、気付いたときに購入してその日のうちに読んでしまいました。

内容が今まで読んできた自己啓発系や目標設定の本と比較して、凄く緻密で明確で、まさに「眼から鱗」

物語終盤は、感動的な終わり方で、カフェで一人泣いていました。

ここから僕はコーチになるために、コーチングについて調べ、聞き、コーチングを受け、スクールに入学してこれから学んでいく身です。

夢は、胸を張ってコーチとして谷口コーチに会いにいくことです!

ドリームツリーにも書きました!!!

「良い聞き手とは、4つのレベルの問いを持つ」というお話を聞かせていただいたとき、相手が気付いてない、言わんとしていることを言うために「語彙力」を磨くことが必要だ!

とおっしゃいました。

谷口コーチがこれまで、また今もなお、どのように語彙を増やされてこられましたでしょうか?

また、その過程で、どんな変化がありましたか?

是非、教えてください。

というご質問なのですが、谷口さんお願いいたします。

谷口:またいい質問をもらいましたね。ありがとうございます。

僕がコーチを勉強しだしたのは42歳の時で、正直それまでは、よくいう勉強が嫌いな子供だったので、語彙力は平均的な一般の人よりも圧倒的に少なかったんですね。

漢字なんか今でも書けないし、中学校の時なんて国語の先生は大嫌いだったんですね。

それが、42歳の時にコーチングの勉強を始めると、コーチ力のトレーニングをするんですが、そのときに、僕より先にコーチを学んでいる先輩コーチがいるわけですね。

そのトレーニング中に、僕がやったコーチングについて、先輩コーチがフィードバックという形で「谷口さんはこうですね」とか、「こういうところが強みだし、こういうところを逆に強化した方が良いんじゃないですか?」みたいなそういったトレーニングを受けるんですが、

その時にね、「承認アクノリジー」というメッセージがあるんですね。

クライアントに届けるものなんですが、コーチングを知らない人は「褒め言葉」だと思ってもらえたらいいです。相手を認める言葉なんですけど、分かりやすく言うと褒め言葉。

そのとき、先輩コーチから言われたんです。「谷口さんのアクノリジーの言葉は『良いですね』しかないね。」って言われた。

何があっても「いいですね」しか言ってなかったんですね。僕。

語彙力を増やすために最初にしたこととは?

谷口:そう言われて、その時に、正直カツンときたんです。まだ未熟なんでね。

評価されてるわけですから、簡単に言うと、「言葉が一つしかないよ」と言われたんです。

カツンときて、悔しいなと思って。

どうしたかっていうと、褒めるとか、相手を認める言葉をとにかく増やそうと、言葉を増やそうと思って、何をしたかっていうと。

たまたま本棚に岩波国語辞典があったんですね。

今だったら電子辞書とかスマホ1個こあれば言葉の意味なんか調べられますけど、まだ約20年前ですから、「これいいや!」と思って辞書を出したらね、真っ新なんですよ!

僕の中学の時の辞書なわけですね。だから、勉強してないから書き込みもしていない、めくった様子もない辞書があって、「これはいいや!」と思って、調べて、パラパラってめくったら、「あ行」から並んでますよね?

そうすると、「へえー、“あい”ってそう!」みたいにして、初めて言葉の面白味を知ったんですね。

それがすごくよかったのは、辞書って、「あ」から、「あい」を調べようとしたら、その次の言葉もそのままずっと連なってるから読み物として読めるんです。

愛読書は○○!

谷口:電子辞書とかは、単語を1個調べたら意味が出てきちゃうんで、その次の言葉、その次の言葉っていうふうには、連なっていかないんですけど、紙の辞書っていうのは、バーっと読んでいけるんです。おもしろい、おもしろいって。

それがスタートです。

勉強は嫌いだったんですよ。テストに受かるために覚える、記憶するっていう勉強が嫌いだったんですね。

でも、初めて言葉を使う職業についたときに、先輩コーチから言われて悔しいと思って(辞書を)見たらすごくおもしろかったんです。言葉を知るっていうことが。それがきっかけなんです。

それからずっと言葉を知る「辞書」を読み物にしていた。そうすると、こんな意味なんだ、あんな意味なんだ、そういうことなんだとわかってきた。

多分、受験勉強とかする人は、そんなの当たり前かもしれないけれど、僕は勉強しなかったから本当に新鮮だったんですね、言葉を知るっていうことが。まずそれがきっかけでした。

それからどうしてきたか?っていうと、興味あるわけですよ言葉に。

そうすると、新聞読んだり、ニュースがあったりすると、わからない、何となく聞き流しちゃってる普段の言葉を「これはどういう意味なのかな?」って思うじゃない?

そしたら、その場で調べるようにしたんです。すぐ。

今でも、スマホ1個あれば「あれ?これどういう意味だったっけなー」とか調べる。

この前も、みんな知ってる言葉なんでしょうけど、大統領選で「予断を許さない」、「予断を許さない?『予断』ってなんだ?」って、言われてみると答えられないなって思って、「予断」って調べてみる。こういう習慣がついた。それでだんだん増えて。

だから、言葉に興味をすごい持って、そしておもしろかったんです、勉強じゃないから。

「わかる」っておもしろいんですね。

これが、本当の人間の欲求を満たす、ニーズを満たす一つに「わかる」っていうのはすごい欲求を満たされるらしいんです。それが始まりました。

次に、本を読みますね。当時はいろんな本を読みあさっていたのですが、そうすると、よくみなさん線を引くんですよね、良い言葉とかに。

いい言葉を見つけたら・・・

谷口:僕はどうしているか?と言うと、この言葉いいなと思うと、こういうの持ち歩いているんですけど、これね、名刺入れのようなものなんですけど、中に白紙の名刺サイズのカードみたいなのが入っているんですが、これを持ち歩いているんですね。

電車の中で本を読んでたりして、「この言葉素敵だな~」とかあるじゃないですか?「ああ、この言い回しいいな~」みたいなね。

そうすると、これを出して、線を引く代わりにその言葉をメモしていくんです。だから、ストックをしていくんです言葉の。

このくらい(名詞位のサイズ)って、ツイッターと一緒で、いっぱい書けないじゃない。だからワンセンテンスしか書けないわけです。それがいいんですね。

そうすると、1枚、1ワードみたいになっていく。

こうすると、溜まっていくとどうするか?というと、たまたま机の上にあるんですけど、こういうのがあるんです、カードがいっぱい入ってるやつ。だからこうやって溜まっていくじゃないですか。これがいくつもあるんです。

── その箱の中に入っているカードたちには、谷口コーチがいいなって思った言葉がもうぎっしり詰まっているんですね!

谷口:そうそう。例えば本書きたいときも、こうやってめくると・・・例えばね、ここに、

「『千日の稽古を鍛とし万日の稽古を錬とする』宮本武蔵の五輪書」とか書いてある。「だから鍛練っていうのか!」って思うじゃないですか。

こういうのをいっぱい集めてるんです。いっぱいあるんで、3つも4つもあるこういうケースが。

僕が、良いなと思う言葉のストックが、本を読むたび、映画を見たり、ドラマを観たりすると、溜まっていくんですね。そうやってどんどんどんどん増やしていきます。

だからね、僕の当時は、映画見ようと思ったら、レンタルビデオ屋さん行って、ビデオテープやDVD借りるじゃないですか。そうすると、良い言葉だなと思うと止めるんです。そして書いていく。こうやって語彙を増やしていきました。

あと、次にコーチのトレーニングとかコーチングを勉強するときに、これたまたまあったんですけど、

これ見える?「感情を表す言葉」って分類していったんですよ。

集めた言葉を分類する

谷口:「感情を表す言葉って何があるんだろう?」って興味が湧いたら、(感情を表わす言葉)いっぱいあるんですね、日本語って。

例えば、嬉しい・楽しい・苦しい・辛い・切ない、とかあるじゃないですか?

愛おしいとかよくないですか?「こんなに日本語って気持ちを表す言葉がこんなにあるんだ!」って抜き出したり、価値を表す言葉を抜き出したり、今度はセリフも抜き出したり。

例えば、「フィードバックのセリフ」とかって、抜き出したり。

今度は、単語じゃなくて文章として、「こういう言い方いいな」みたいなのをまとめていったんですよ。最初はこういうパーツなんです。

── 最初はカードの状態なんですね。

谷口:これを今度は分類、カテゴリ別にまとめていくっていうのもやりました。だって覚えられないから。

そして、こういうのを何か書きたい、人に何かを伝えたい、講座をやりたい、セミナーをやりたい、っていうときには、こういうのを手元に置いたり、こういうカードの中からこのメッセージは伝えたいなと思うのをバーっとピックアップして持って行ったりとか。そんなふうにしてました。

こうやって、語彙を増やしていって、もう一つの質問に「どんな変化があったか?」っていうのがありましたね。

自分の中で起きていることを言葉で明確に表現できるようになると?

谷口:結論から言うとね、怒らなくなった。今、アンガーマネジメントとか、EQマネジメントとか、感情のコントロールって大事じゃないですか。

結構ね、感情が穏やかっていうことと、語彙力って関係ある。

── それって谷口さんが見つけられた大発見、大発明じゃないですか!

谷口:「あーそうだなー」って僕思ったのが、甥っ子とか孫とかいるんですけど、生まれたばかりの子とか小さい子って、しゃべりだしても語彙は少ないですよね?

ということは、自分の中で起きていることが言葉ではわからないんですね。そうすると手が出たりしませんか?

── 小さい子特有ですよね。

谷口:ね?引っかいたり、髪の毛掴んだり、泣いたりとかは語彙が少ないからなんです。

── 言葉で伝えられないからつい手が出ちゃうんですね。

谷口:伝えられないし、自分の状態が言葉でわからないし、今何が起きているかわからないから、後は処理するだけ。

だんだん、年齢を重ねていくと語彙が増えるから、僕たちの思考や記憶や考えは全部言葉でつかさどりますよね?

僕は、フランス語で考えることはできないけど、日本語では考えられる。ということは、言葉が豊富っていうことは思慮深くなるんです。

だから、自分の中で起きていることを今こうなってるとか、こういう事なんだとかっていうのが全部言葉で明確になってくる。だから怒らないですね。

感情の起伏がすごく少なくなって穏やかになりました。

言葉が豊富な人の方が、いろいろな物を知れたり理解したり判断したりできるから穏やかになるのかな。

例えば、自分が落ち込んでいるっていうときに、それは寂しいのか、悲しいのか、虚しいのか、切ないのか、もどかしいのか、という言葉があったら、「あっ切ないんだ」みたいなね。

わかるだけで、なんで今こういったメンタルなんだろうっていうのが、言葉が当てはまると、ちょっと楽になりません?

なんで落ち込んでるんだろう?っていうのが、虚しいで落ち込んでいるのか、苦しいで落ち込んでいるのか、寂しいなのか、もどかしいなのか、悔しいなのかで違うもんね。

── 同じ「落ち込む」でも全然違うものになってきますね。

谷口:こういうふうに、すごい穏やかになったっていうのが一つね。

増えれば、理解力が増えるんですけど、理解力の「理」っていう字ありますよね?これそのまま一つで「ことわり」といって、物の真理だったり、道理だったり、筋道っていう意味で、だから「理」っていう漢字がつく言葉ってすごく多いんですね。

真理、道理、物理、理科、いっぱいあるでしょ?だから人類の探求心は「理」っていう字で全部できてるんじゃないかと思うくらい。

そうすると、言葉が豊富であれば「理」に通じるみたいな感じで、いろんなものがわかってくる。

それは心理だったり、物理だったり、道理だったりとか。そうなってくるのでさらに穏やかになってくるという感じ。

あとはそうやって、言葉で起きている事象とかを考えたり判断するので、刺激に反応しなくなった。

反応する人いますよね?何かあったらすぐむかつく、反論するとか。そういうのもなくなってきたかな?今思うとね。

── そのような変化を体感されてこられたんですね。

谷口:なんで、「声に出して読みたい日本語」っていう本を書かれた斎藤孝先生が、人の理解力とか、人の有能性と語彙力は比例するみたいな本書かれているんですね。本当に同感ですね。

言葉が増えると、その人自身の価値や能力の全てが上がっていくような気がする。

だから、これを見ている人もどんな形でもいいですから、自分の言葉を豊かにしていくっていうのをお勧めしますね。

── ほんとですね、いいなー。こうやって言葉を増やしていくことで、本当、最初谷口さん仰ったように、学校で辞書というと、勉強っていう何か覚えなきゃいけないとかっていうイメージが付いてまわるんですけど、

でも、こうやって、日常生活の中で「この言葉いいな」みたいなところから、辞書を手に取り、そしてその言葉を谷口さんがされていたようにカードにして、言葉のストックを溜めていくって仰ったんですけど、

そういうやり方で自分の新しいことを知って、探求心を満たしながら、その結果、自分の今までは捉えられなかった感情だったりとか、そういったものが穏やかになっていくってすごいなんか良い人生が送れそうですね。

一つの出来事も豊富な言葉で豊かにものに

谷口:出来事は一緒じゃないですか。「雨は降っている」という出来事はいっしょだけど、言葉が豊富だとその出来事一つが豊かになるんです。

だって日本語には、雨を表す言葉が山のようある。

ただの事象、出来事が、言葉が豊富だととっても豊かになる。言葉が豊富だと人生が豊かになるのかもしれない。

── そうですね、本当、名言ですね!

最初にご質問いただいた内容としては、コーチとしてどんどん成長されていかれるために「語彙力」を磨いていく。という話だったんですけど、もちろんコーチングでもそうですが、語彙力を磨く、語彙を増やしていくということは、人生を豊かにする近道といいますか、極意ですね。

谷口:どこから言葉を拾うか?っていったらいっぱいありますよね。

テレビでもいいし、お勧めするのは映画が良い。やっぱり脚本家が書く、「うわっ、このセリフ素敵だなー」みたいなのって、結構あるんです。

本も、前はビジネス書読んでたけど、今は小説ばっかり読んでますね。

作家の言葉の紡ぎ方というのは、好きな作家とかいると思うんですけど、その作家とは、まさに言葉を操る人なので、小説とかは結構お勧めしますね。

── 今回の「ザ・コーチTV」は永久保存版の、サラッとすごいことをお聞かせいただいたと思います。

皆さん、このザ・コーチTVを長くご覧いただいている方からは、辞書を手元に置くようにしましたとか、(辞書を)買いました、とかいう声もいただいているのですが、

今回のこのお話をお聞きして、カードをカードケースに入れて持ち歩いて、すぐメモをして、そして、それが溜まっていく様子が見れるっていうは、すごくモチベーションが上がるというか、嬉しい光景を感じ取りながらできるなっていうふうに思いました。

またこれでみなさん新しい習慣が増えるんじゃないかなと思います。

谷口さん、本当に今日も体験から基づく素敵なお話を聞かせていただいて、どうもありがとうございます。

谷口:いや、こちらこそ、質問されるといいね、引き出されていくのがね!

── 今回、ご質問をいただいた、ゆうさくさんもありがとうございました。

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