PowerPointを使わない理由 -プロコーチの集客とセミナー3 #52

最終更新日:2021年7月28日

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・・・【プロコーチの集客とセミナー2】#51から続きます。・・・

セミナーは○○のためにやる!!

谷口:セミナーの内容でいうと、僕はほとんどのセミナーや企業研修では、PowerPointを使わないんですね。

なぜかというと、関係性の質を高めるためにやっているから。

例えば会場に行くと、前に講師台がありますよね。ということは講師の胸から下が講師台で隠れます。そしてその上にパソコンが置いてあって、講師はパソコンを前に置いてしゃべります。

前に大きなPowerPointが映しだされていたら、参加している時間、PowerPointを見ている時間と講師を見ている時間とでは、どっちが長いですか?

── PowerPointですね。画面を見ちゃいますね。

谷口:ですよね?すると関係性の質はどうなるでしょう?画面に映っているものを見るわけだから?

そうではない例として、『TED』を見たことありますか?ステージの上で歩きながらしゃべりますよね。PowerPointも映すんですけど、『TED』のPowerPointには字があまり書いてないんです。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションもそうなんですけど、あの場にいる聴衆ってスピーカー(話す人)を見てますよね?

どちらかというとみんな、セミナーの目的が関係性の質を変えることじゃなかったら、情報提供したり、PowerPointを作り込んじゃうんですよ。そうすると、その受講者は情報をキャッチアップしてるんですよね。

僕はなぜPowerPointを使わないかというと、参加者には僕を見て欲しいし、僕としゃべってほしいから。

だからPowerPoint使わない方がいいよってよく言ってる。それでは関係性は深くならないから。というのがノウハウの一つだったりする。

── セミナーでこういうことをしゃべろうと思って、そのPowerPointの資料を作る時に、「今このPowerPointこの1ページは、受講生の方と関係性の質を向上させるために有効か?」っていうような質問を自分に投げかけるだけでも、やり方が全然変わってくるなと思いました。

谷口:例えば、何かのイメージの写真だけ映された時と、その内容を画面いっぱいに説明文で書かれてた時とで違いません?

── 違いますね。いっぱい書かれていると読んじゃいますね。

谷口:読んじゃいますよね?だからPowerPointって本当は文章書かない方がいい

んです。でもみんな、講座や研修やセミナーをやると、PowerPointに文章書いちゃうんですね。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションには文章ないです。

── 写真があるだけですね。

谷口:ないですよね?イメージを補うものですから。だから、これは関係性を良くするのか?と考えてみる。難しい文章がいっぱい書いてあったり、専門用語が書いてあったら、逆にその講師との距離は空いちゃいます。

受講者が大学の講義みたいに、勉強するために来ているならいいですよ。だって学生はお金払ってるんだもん。だから大学の講座って関係性を上げるためにやってないですよね?

── やってないですね。知識のインプットですね。

谷口:でも、僕たちのセミナーや研修は関係性をアップグレードするためにやってるんです。

── パーソナルコーチングのクライアントさんや、研修のクライアントさんを得ようと思うと、より関係性が濃くなるわけですから、知識を出すだけでは全然意味がないということですね。

谷口:目的が違うもんね。大学の講義は、自分の知識や知見やノウハウや仮説を検証したり、そういうもんですよね。僕たちがやっているセミナーは大学の講義とは違うかな。

関係性を高めるために全力を使う

谷口:受講者の感情から考えてみましょう。

「セミナーをやります」という情報が入ると、「メルマガとってるし、動画でも見てるし、行こうかな。でもちょっと不安だな。」と思いながら、朝家を出て、電車に乗って、会場に行く。「初めてだし不安」という状態で行きますよね。

でも、行ってみたら、「全然不安なんて持たなくてよかった!」「楽しい!」「谷口さんといるとなんかいい感じがする!」「いいことが起きそう!」と思う。

そして、声をかけられる。「名前覚えてくれた!」とか、休憩中も、「〇〇さん何やってんの?とか、仕事何?とか話しかけてくれた!」とか。

また、セミナー中に「誰か質問あります?」と聞かれて、質問しようかどうしようか「うーん」と困っていたら、そのあと休憩に入ったときに、

「〇〇さん、さっき質問ありそうだったけどさぁ、よかったら今聞くよ。」とか言ってくれて、

「えぇ?なんでわかるんですか?」「だって手を上げそうだったじゃん。」と話しかけられる。

そして、「実はこういうことってどうなんですか?」「僕だったらこうするけどなぁ」とか答えてくれて、「ありがとうございます!」となる。

だから僕は懇親会をやるんです。

「僕、お酒飲んだ時の方がおもしろいらしいよ!公の場所では言えない話、飲んだ時の話ってけっこうおもしろいらしいから、良かったら行かない?」みたいに言って、

飲みながら身の上話とか失敗談とかを話したり、参加者の方も自分の話ができたりする。「あ、そう。コーチやりたいんだ。だったら応援するよ!」とか言われて。

そうやっていったら、ビフォーアフターの関係性、全然違いますよね。

朝、家を出た時は不安で、帰った時には。

そうすると「また行ってみよう!」とか、「もっとこの人との関係性の質と距離を縮めたい!」って人間は思うのかな。

そういうことに全力を使うみたいな感じ。

コーチがクライアントにする「質問」の目的とは?

── 「関係性の質」というところで、今『虎の穴プロフェッショナル』の動画や、谷口さんのオンライン講座の動画などを拝見していて思うんですけれども、質問をすごく上手にされていまよね。これはコーチングカンバセーションになるんですか?

谷口:そうです。

── 知識のインプットだと思って見ていたら、質問によって教えられている内容が急に自分事になるといいますか、自分のことについて考えると、急に伝えられている内容がパッと自分事になる。そこが秘訣と言いますか、違う部分じゃないかなと感じるのですが、そういうのがコーチングカンバセーションなんですか?

谷口:うれしい!まさに、そうなんですね。

コーチがクライアントにする質問って、日常の質問とは全く違う質問の目的がある。いろんな効果を狙って質問しているんですけど、一言で言ったら自覚を促しているだけなんです。自覚って、自分の事を感じるでしょ?

だから僕がセミナーや研修でする質問って、結局コーチがしている質問を参加者に投げかけているんで、参加者は何かって言うと、自覚するんです。これは圧倒的な違いですね。

さっき言っていた、自分事っていうのは自覚が促されているってことですね。つまり質問の質が違う。だから僕はセミナー講師とか研修講師をやりたいっていう人には、とにかく質問を磨いた方がいいって言います。質問が違うんですね。

── 質問が違う。

谷口:つまり、僕がよく言っている、「コーチングを勉強した人がセミナーや研修講師をやるとすごく有効だ」っていうのは、そういう質問ができる人だから。だからそういう人がセミナーをやったり、研修をやるとすごく効果的なんですね。

だって、さっきの4つ、「プレゼンス」「関係性を共に築く」「効果的なコミュニケーション」「行動を促す」ができるんだから、それをセミナー会場や研修会場でやればいいだけなんです。

── セミナーに行って関係性が築かれないよりも、講師の方とすごく近くなって「あぁ、もっと聞きたい」という状態になって、さらにそのセミナーを受けることで自覚を促されたら、「どうやったらもっと教えてもらえるのか?」とか、「どうやってコーチングをしてもらえるんですか?」みたいになりそうですね。

詫摩さんがおっしゃっていた、「セミナーの企業研修を受注したり、パーソナルコーチングをお願いしたいってなる」というのは、そういうわけなんですね。

谷口:特にコーチをやっている人は、これをマーケティングなのか、マーケティングから顧客に上げるセールスのステップとして活用すれば、すごくビジネスとしては有効な「戦略」っていったらいいのかな?ビジネスプラン?まぁ戦略でしょうね。にはなると思う。

だから、僕はセミナーをやるし、今はすごく便利になりましたからオンラインとかでもできるけど、

とにかく、さっきのマーケットの5段階を知っていて、「どうやったら上に上がるのか?」「なぜそれが上に上がっていくのか?」っていうのを知っているだけで、多分全然スモールビジネスは違うような気がするけど。

── 違いますね。

谷口:それが上手くいかないからビジネスが成り立たない。

── 今、「オンライン」という言葉が出てきたんですけれど、最近は「Zoomセミナー」という形でセミナーをされている方がたくさんいらっしゃると思います。

今教えていただいた関係性の質や自覚を促すというのはZoomセミナーでも取り入れられそうな気もするんですけど、谷口さんはリアルのセミナーとZoomでのセミナーの違いはどういったところにあると思われますか?

Zoomセミナー用テクニック -プロコーチの集客とセミナー4 に続きます・・・

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