コーチになるために大事な3つのこととは? #35
── 今日は「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。
谷口:最近、視聴者の方の質問いっぱい来ますね。うれしい!
今、こういうご時世だから、オンラインを通じて、コーチングに関することでいろいろ興味や関心を持ったり、疑問を持ってる人にこうやってオンラインで何らかの僕なりの経験が伝えられるって、すごくありがたいなぁって思いますね。
だから、質問は財産っていうか、すごくありがたい。何か質問を通じて、オンラインの先にいる人とつながっている感がすごくある。だからうれしいです。
── おそらくみなさん、例年とは違う時間の使い方をされていて、コーチを目指している方、しっかり時間を取って学んでいらっしゃる方が多い、というのをご質問の方からも拝察させていただいております。
谷口:ですよね。コロナにならなければ、僕はセミナーをやっていたかも知れないしね。
コーチングで僕が持ってるものを誰か必要な人に届けたい、とはいつも思ってたんですけど、限定されるじゃないですか。例えば会場借りても、20人とか。
でも、こうやってオンラインだと、必要な人に、多くの人に届けられるっていうのは、なんかすごく、「あっ、僕が少しでも貢献できてるのかな?」とか「役に立ってるのかな?」と思うと、かえって遠く広く多くの人に伝わっているのがありがたい。おかげさまですっていう感じがする。
なので、いっぱい質問してください!
── 本日の質問は、「わぁこれ、私も聞きたかった!」って同じように思って下さる方が多いんじゃないかと思うのですが、ご質問の方読み上げますね。
あさこんさんからのご質問です。
私はこれからICF、国際コーチング連盟の資格を一つの目標として
コーチとしてコーチングを学んでいきたいと思っています。
コーチにとって大事なことはたくさんあると思いますが、
谷口コーチにとって、特に大事なことベスト3は何がありますか?
というご質問なんですが!
谷口:うーん、いい質問ですね。
── ぜひ、ベスト3を選んでいただいて教えていただけないでしょうか?
谷口:目指してるのは国際コーチ連盟の資格ということなので、この方は、プロフェッショナルコーチなのか、コーチとしての高いレベルを目指してるんでしょうね。
3つに絞れないので、いっぱい僕なりの考えを言うとしたら、まず、コーチとして高みを目指すのであれば、コーチとして生業を立てる、生計を立てる、プロになる、専門家になる、って言ったら、僕が言われたのは3つです。
プロコーチになるために大事な3つのこと
1.コーチをしなさい
2.コーチを付けなさい
3.コーチングを学び続けなさい。
この3つを言われました。これは大事な3つだと思う。これは(コーチングを学び始めた)最初からです。
#1 コーチをしなさい
谷口:学び始めてから、まずコーチをしなさいっていうと、多くの方は、コーチングをいっぱい練習して、例えば、勉強会とか練習会とか、そこで練習してある程度のレベルになってからコーチをすると思っている。
クライアントとの関係を築いて、契約して、責任を負って、ゴールに向かう、これを「コーチをする」といいます。
「コーチングセッションをする」じゃないですよ。
「コーチをする」を練習して、ある程度練習をしてから始めるっていう人がいる。
例えば、コーチングの勉強をし始めました、でもまだクライアントがいません、っていう方が結構いる。
たぶん心理的なことを想像するに、怖いんじゃないかな?だって下手だもん。まだ勉強したてで、初めてで上手くいかないもん。
なので、「上手くなってからやろう」っていうふうに思って、勉強会や練習会にいっぱい出て、それからコーチしだすのかも知れないですけど、僕は入った時に、「もう今からコーチしろ」って言われたんですね。取りあえず人と話はできるだろうぐらいの状態で。
それが僕には良かった。なぜかというとエビデンスが増えたから。
「上手くいかない」が山のように蓄積されたし、あっという間に、30分汗だくになって人のコーチングをしてたりすると、最初の頃って9割上手くいかない。
でも、1割ぐらいピカっと輝るセッション、会話があったら、そういうのが全部蓄積されていくんです。
なので、とにかく「コーチをする」。
やっぱりICFの資格ってすごく条件が有効だなと思うのは、実践時間とか、ちゃんと契約したクライアント数とかが、合格条件なんですね。
やっぱりこれは、「コーチングを勉強した人」ではなくて、「ちゃんとコーチをした実績を積んでる人」に資格を与えるんです。勉強した人じゃなくてコーチをした人。
だからまず、とにかくいっぱい最初からコーチをしたんです。だから僕は全然ヘタッピイなのに毎月20人、習い立ての頃から。
誰よりも早く国際コーチ連盟の受験資格が取りたかった。人数とコーチング実績を積み上げたかったんですね。
これはすごく有効でした。コーチをする上でね。
#2 コーチを付ける
谷口:次は、「コーチを付ける」なんですけど。
僕のところにコーチングとかの勉強に来る人、今、コーチングのトレーニング始めてるんですけど、他にもいろんなところでコーチングに触れてる人に会うことがいっぱいあるんですけど、「コーチ付けてます?」って聞くと、半分以上の人付けてないですね。
「何で付けないのかな?」って思うのが一つなんですけど、これよく言うんです。「え?だって自分がコーチングが有効だと思ってそれを学んで、誰かの夢の支援をしたいと思っていて、それ試さなくていいの?」って。
まず一つが、「コーチを付ける」ってそれなりの投資なんですね。ちゃんとfeeを払って契約をしてっていうと、それがもったいないと思うのか、何が理由だかわかんないんですけど。
まず、自分がクライアントとしてコーチングの有益性とか有効性とか、コーチをつけて得られる成果とかベネフィットを経験した方がいいんじゃないかって。
よく言うのが、友達か誰かに、すごく体や健康にいいサプリを、「谷口、このサプリすごくいいから試してみろよ!」って言われて、「え、そうなんだ、何にいいの?」って。「マッチョになれるしと若返るぞ!」とか言われて、「そりゃいいな!お前試したの?」って聞くと、「おれはまだだけど!」って言ったら、「そりゃーいらん!」って言うよね。
なので、コーチングを勉強しだした時からコーチを付ける。
ボクのところに学びに来るコーチたちも、結構、多くのコーチが異口同音に言うのは、「自分はプロのコーチになりたいので、自分が目指すロールモデルをコーチに付ける」っていうことで、習い始めたばかりなんだけど、僕にコーチングの依頼をしてくる人が結構多くいる。
でも中には、自分と同じようにまだ勉強している、同じレベルの人にコーチを頼む人がいる。
でもやっぱり「コーチを付ける」と言ったら、自分がコーチになりたいんだったら、自分が目指す既にコーチやコーチングポジションやレベルに達している人、一流から受けたいって言う人結構いましたね。
そういう意味でも、自分がコーチとして高みを目指すんだったら、その自分の目指すロールモデル、既に自分が目指す未来を先行して生きているコーチを付けて、その有益性や有効性が、そのコーチが自分にしてくるコーチングを蓄積していったらいいと思う。
そうすると、「コーチされるとこうなるんだ。」っていうクライアントとしてのエビデンスも増える。
だからそれはしたほうがいい。おすすめしますし、
#3 『コーチング』を学び続ける
谷口:あとは「コーチングを学び続ける」。
「『コーチング』を学び続ける」なんですね。「学び続ける」じゃないんですよ。
コーチになる人って学習欲高い人がすごく多いんです。勉強好きな人。
そうすると、何するかって言うと、コーチングをちょっと学んで、コーチングの初級かなんかの資格を取ると、他のことを学びだすんですね。
「コーチングを学ぶ」よりも、コーチングと似て非なるものの他のところを学びにいっちゃったりするんですよ。
そうすると、そっちでもまた資格を取るんですね。またそうすると違うところに興味があって、それも有効性はあると思うんですけど、もしコーチになりたいんだったら、まずは探求する、コーチングを。
僕は、自分ではすごく良かったなって思うのは、コーチングしか学んでいない。
── コーチングしか学んでない。
谷口:他に手を出さなかった。
例えば、なんでもそうです。初級の資格って、基本的なことが理解できたり、できたりすると、大抵合格するでしょ?世の中の資格は基本的なことをね。
では、その上位資格は、さらに深く広く理解し、知り、できるようになるから上位資格を(取得できる)。
そして、トップ資格っていうのは「こういうことなんですね!」っていうぐらい、その専門的なことについて、紐解き、探求し、検証し、そして、能力を備えていくからトップクラスなんじゃないですか。
たぶん、他のことを広く浅くやってもその領域のトップにはならないと思う。
── 確かに。
谷口:例えば、お茶の世界があったら、お茶ってたぶん僕でも、お茶は煎れられる、立てられる。
でも、そのお茶の世界に何十年もいて、お茶というものを探求し続け、素材や、もしくは、お茶の植物や製造から何から何まで興味を持ち、調べ、足を運び、お茶を知り尽くして、知り尽くして、知り尽くして立てた人とのお茶は全く違うお茶になる。
でも、そのお茶を好きな人が、お茶もいいし、お花もいいし、〇〇もいいし、○○もいいしって、全部を初級編から取ったら、お茶の世界でみたら「うん・・・、初級・・・」みたいな。
他をやったからって、お茶の世界のトップにはいかないと思うけどな。
── 分かりやすいです。そうですね、確かに。
谷口:スポーツだってそうだよね?
サッカーを探求し、探求し、追求し、研究し、トライ&エラーをしてきて、上り詰めていくからトップリーグに行くんだけど、サッカーもそこそこできて、野球もそこそこできて、バスケもそこそこできても、サッカーのトップリーグには行かないと思う。
── そうですね。
谷口:なので、「コーチングを」学んでいく。いろいろ学び続けるじゃなくて、「コーチングを」。
この3つかな。
で、「コーチングを学び続ける」っていうところ。もちろん「コーチを付ける」「コーチをする」は、やる気になればできますよ!だから練習じゃない。
中には練習ばっかりしている人がいる。コーチたちで練習ばっかりしている人たち。
これは、「コーチを付ける」「コーチをする」じゃないから。コーチングセッションのトレーニングをしているだけです。全然違います。
だから、「コーチをする」「コーチを付ける」。
「何を学ぶか?」ではなく「誰から学ぶか?」
谷口:次は「コーチングを学び続ける」なんだけど、これも僕のところに来る人がよく言うんですけど、「何を学ぶか?」じゃなくて、「誰から学ぶか?」が大事っていう人がいる。
そういう人がよく僕のところに学びに来てくれるんですけど。
コーチングを学び続けて、コーチングとはどういうものか?というのを自分で検証し、立証し、エビデンスを持って、紐解いていった人に学ぶのか?
ちょっとコーチングを勉強して、初心者寄りのコーチングができるような人に習うのか?
もしくは、コーチングセッションはできるけど、コーチを付けた、コーチをした経験はあまりそんなに無い人に学ぶのか?
それによって多分全然違うと思いますよ。
── それは大きな違いになると思います。
谷口:コーチングを学び続けるというと、学び続けた人に、「どうやって学び続けてきたのか?」も学んだ方が良いと思います。
僕がやっているコーチングの学習の講座だと、僕がどうやって学んできたのかも教えます。
僕だったら、いろんな質問を受ける時に、まず最初は、クライアントさんの言っている言葉でコーチングしてたんだけど、それから、「一般化」とか、「二極化」とか、言葉の使い方だとか、隠れている主語だとか、それが聞こえると、コーチングの幅ってこう変わるんだ、とか。
最初は、コーチングセッションばっかり練習してたのが、実は、セールスからオリエンテーションから、ゴールセッティングから、フォローセッションから、エバレーションまでのプロセスと契約行為なんだ、っていうのまで、途中で僕は学んで、そのツールを用意したんですよ。
最初はコーチングセッションばっかりやっていました。っていうのも教えてあげるんです。自分がやってきた失敗も。そういうところで学んだ方が良いんじゃないかなって気がするんだけど。
往々にして世の中にあるコーチングのスクールや講座って、どうやって学んでいけばいいか、どうやって講師は学んできたのか、マスターしてきたのか、トップまで上り詰めるまでどうやって学んできたのか?まで教えるところはあんまりないんじゃないかな。
傾聴ですよ、質問ですよっていうスキルを教えてくれるところはいっぱいあるけど、その学んできた経験値や、その時に考えたことや、取り組んだことや、上手くいったことや、上手くいかなかったことも教えてくれる、学ばせてくれる、っていうところ。
だから、僕はそういうのが世の中にないから、だったらそれは僕にしかできないって思って、僕がやるのが僕の使命だなと思って、僕はそういうコーチングの講座を作ったんですよね。
この3つかな。
── そうですね。いつも谷口さんとお話していて感じるのが、言葉にするのは簡単だと思うんですね。文字にするのも話してしまうのも簡単だと思うんです。でもその言葉が出る背景、その方の経験が、すべて言葉に乗っている、というのをすごく感じます。
同じコーチングの知識を習得するのも、谷口さんの言葉でそれを聞くのと、全然違うなと感じるのは、やはり、コーチをしてこられた経験も、もちろんそうですし、コーチとしてずっと学び続けられた、その辺のプロセスも全て含んで言葉に乗ってる、そこが唯一無二のものだなと思います。
そして、きっとそういうのがわかってらっしゃるから、みなさん虎プロが、今年、再開された時に、「今だ!」って駆け込まれたのも、そういうところに鍵があったんだなっていうのを感じます。
谷口:すごく今ありがたいのは、これも質問された方が「3つ大事なことはなんですか?」って聞いてくれたから、僕は思い出すことができるんですね。
また思い出したことがあるんだけど、(今開催している虎プロでは)一応、限られた時間なので全部は無理なんです。18年分あるので。
その中で、これは知っておいて欲しい、持っててほしいというツールから、ノウハウから、僕の経験談から、全部お伝えしていくんですけど。
その間にブレイクがあるんですね、休憩時間とか、お昼休みとか、懇親会とか。それに価値をすごい感じてくれてるんです。
なぜかっていうと、(その時に)僕に質問するわけですよ。そうすると、僕はこうやってきたよとか、それはこういうことだよっていうふうに、僕はコーチングのことだったら蓄積したものが山のようにあるんですよね。それがすごいって言う。
もちろん、僕が用意してくれたものも評価してくれるんだけど、「質問に対する谷口さんの答えがすごい、何を聞いても出てくる!」って。
「あっそーう?」って、ちょっとこっ恥ずかしくなりながら答えてるんですけど。
だから、僕とご飯を食べたり、懇親会に行った時に、みんな録音するの。このやり取りに価値がある、このやり取りだけでお金払った価値があるって言ってくれる。
あと、もう一人はね、「谷口さん、こういうのないですか?」って言った時に、「ちょっと待ってね」って言って、僕の中に、いろんな作った資料とか考えたこととかが、全部テキストで残っている、ファイルとかに。
「後でちょっと探してみる」って言って、一生懸命探すと、「ああ、あったあった!これ?こんなこと?」とかいって、送ってあげたり提供してあげると、
「谷口さんって、ドラえもんみたいですね、何でも出てくる。」って、言われたりするんです。
でも、それは、僕は学び続けたし、コーチし続けてきたから、ツールも山のように作ったし、全部自分で開拓したし、言葉も紡いできたし、言葉も集めて来たっていうのが、全部パソコンの中のハードディスクに入っているんです。
でも、それなくなっちゃうと大変だから全部クラウドにあげてるんだけど。
そのデータが飛んだら僕は死ぬね!それも思い出した。
「学び続ける」っていうときに、「何を学ぶか?」より「誰から学ぶか?」っていうのは、一つポイントにしてもいいんじゃないかな。
本当に追及、探求し、学び続けて、解明し、検証し、そういう人から学ぶと、得られることが多いような気がする。
── そうですね。このようなお話をお聞きすると、視聴者の方も思ってらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、谷口さんお忙しいからそういうのもっと幅広く直接教えてもらえる時間ないんですよね?そのような機会はないのでしょうか?そう思われてるんじゃないかと思うのですが。
谷口:だから、今ちょっとね。こうやってニーズがあるので、生きている間にできることは。今何かできないかなって今考えてるので、何らかの形では求めている人に届けられるようにしていきたいと思ってます。
── 楽しみです。「コーチングを学び続ける」っていうのを大事なことベスト3の中で上げていただいたんですが、「誰から学ぶか」っていうところで、谷口コーチから学び続けるっていうのはものすごく価値があるなと思えるので、本当に楽しみにお待ちしています。
谷口:はい、期待していてください。そして、ぜひぜひ、質問もいっぱいしてください
── 先ほど谷口さんの資料はパソコンだけじゃ危ないからクラウドにしまうとおっしゃったんですが、私たちからすると、谷口さんそのものがクラウドなので、質問によって、どんどんどんどん引き出していって、谷口さんがご経験されてきたことを受け渡していく、どんどんクラウドから出して、みんなのメモリーディスクに入れていく。そういう作業をされてらいらっしゃるんですね。
谷口:だって、そのクラウドにある資料は僕が死んじゃっても誰かに渡せるけど、質問に答えるっていうのは僕が生きている間じゃないとできないからね。
明日生きているとは限らないしね。生きている間にいっぱい質問してください!