1対1のコーチングとチームコーチングの違いとは? #113
―― 今回は、視聴者の方からいただいた質問に、谷口コーチにお答えいただきたいと思います。
こうきさんから質問をいただきました。質問を読み上げます。
最近、チームコーチングという言葉を聞く機会が増えましたが、1対1のコーチングセッションとチームコーチングで、
コーチが意識すべき違いや、スキルの違いなどについて、教えていただきたく、お願いします。
というご質問です。谷口コーチ、いかがでしょうか。
谷口:いい質問ですね。コーチが増えると、こういった疑問が増えるっていうのは、コーチを頼むっていう文化が、多分定着してきたからだろうと思っているんですね。
チームが 「谷口さん、コーチして!」って言ってきたりとか、会社の中でプロジェクトチームとか、例えば支店とかね、そういうチームとかあるじゃないですか。営業支店とかがコーチを雇うとなったからだと思うので、すごく好意的に受け取っています。
じゃあ、これも区別をしていこうと思うんですね。同じチームコーチング。
チームっていうのは集団ですね。対局がパーソナルコーチ、簡単に言うと1on1でもいいです。1人をコーチするっていうことと、チームをコーチする。
似てるもので、「グループコーチング」ってあるでしょ?まあ、1人とグループとチームは別物ですよね。集団か、1人か、ですね。
じゃあ、集団の中にはグループとチームがあるでしょ?これが区別できるってことです。
では、若松さんグループとチームの違いってなんだと思う?
「グループ」と「チーム」の違い
―― その言葉だけでいくと、チームは何か共通の目標を持っているような気がします。グループはそうとは限らない。
谷口:そうそう。僕はよくグループコーチングしますね。それは、例えばこういうテーマで集まってくれた人。
僕たちもやるじゃないですか。朝のチャレンジだとかっていうのは、ある共通のテーマで集まってくれた人。
この「ザ・コーチTV」を聞いてくれてる人も「あるグループ」ですね、コーチングに興味があるっていうグループ。これも集団なんですが。
チームにあって、グループにないものがあるんです。それが、若松さんがさっき言った、例えば、共通の目標とか、ゴールはチームにありますね。
でも、グループはみんな別々でしょ?
それと、共通の目的。何のために私たちは集まっている?私たちは協力して何を達成するのか?簡単に言うと、会社はチーム、会社はグループじゃない。
それで、ビジョンがありますね。私たちはどうあるべきなのか?
次に、グループもメンバーいますね。でも、チームのメンバーには、必ずチーム内での自分の役割と責任があるんです。
グループにはないんです。チーム内での役割の責任って。まあ、これが大きな違いなんですね。
じゃあどうするか?って言った時に、やってることは一緒なんですけど、イメージは、ファシリテーターにちょっと近いかな、グループコーチングやチームコーチングをする時。
コーチングの手動を握るのがコーチか?クライアントか?
谷口:1on1コーチングの時には、割とクライアントがハンドルを握ってるっていうか、クライアントが行きたいところへコーチが沿っていくみたいな感じが強いんですけど、
グループコーチングや、チームコーチングの時には、割とファシリテーターっていうのは進行役なんで本来、このチームの目的やゴールに向かってメンバー全員をファシリテーションしていくイメージが僕は強いです。
だから、わりと1on1はクライアントが主導。
でも、グループコーチングやチームコーチングはちょっとコーチの主導割合が多くなる感じ。ちゃんとチーム全員がそれぞれ好き勝手な方向行くと、ばーって散っちゃうじゃない?
だから、ある程度全員をある一定の方向に、それは考えなのか、関わり方なのかを集約してくっていう関わり方が僕は多くなります、グループコーチングとかチームコーチングだと。
それで、何をやっていくか?っていうと、1on1は、1対1で喋ってますよね。
グループコーチングやチームコーチングは、基本的にはコーチ対メンバー全員。なので、メンバー全員に対して、ある目的で関わっていきます。
何をやってるか?っていうと、さっき言った、目的・ゴール・ビジョン・役割・責任・目標に対する現状や評価、が、全員お互いに認識して明確になるようなコーチをやる。
だから、ファシリテーションに近いですね。
なので、さっき言ったゴールやビジョンや、目的や、それぞれの役割と責任や、目標に対する今の現状とかが、全員がこれらのことについてはっきりする。
大体、進んでいくと、わからなくなったり、見失ったり、ある人は目的が明確なんだけど、ある人は目的なんかどっか行っちゃって、目の前のことになっちゃってる・・・っていう。
だから、チーム全員が同じように、これらのことが明確になっていくようにコーチしていったり、全員が協力してそれらが達成できるようにコーチしていったり。
あと、それらについて全員が同意を取り交わせるように。
チームコーチングで全員が同意を取り交わす方法
谷口:ある人が、「皆さんの目的は何だったんですか?」って言って、「これだ、あれだ」って言って、最終的に、「じゃあ共通の目的はどんな言葉で表せるんですか?」とか、
「それについて、今あなたはどれぐらいコミットしてますか?それぞれ教えてください。」みたいな。
だから、一致させていくように、目的もずれていくので、一致させる。
ゴールもバラバラになっていくので、途中で一致同意を取り返していく。
見失ったり、もやがかかったり、どっか行っちゃったら、もう1回思い出す、明確にする。
それらをやっていくのが、チームコーチングや、グループコーチなんですね。
それを僕が関わってる時には、僕が質問するので、お互いに「そうだよ、そうだよね。」っていうことが、喋ってくれるんですけど、コーチが関われるのっていうのは一瞬じゃないですか。30分とか1時間。簡単に言うとミーティングみたいなイメージ。
でも、そうじゃなくて、コーチングって、コーチと喋ってる時ではなくて、コーチと喋ったあと がコーチングなんです。って、意味わかります?
―― はい。
谷口:チームのメンバーだけで過ごしてる時間に、いかに有効に働くか?なんです。
ということで、何をしてるかっていうと、共通の問いがチーム内で浸透するように、 リクエストしたり提案したりしている。
ってイメージ湧きます?
―― 具体的には?なんとなく・・・っていう感じですね。
谷口:オッケーです。で、どういうことかっていうと、
例えば、『ビジョンはどうあるべきか?』っていうので、よく会社でビジョンを浸透しようとか言うじゃないですか?
で、これが僕の経験上、浸透しない。
よく会社行くと、朝礼で経営理念とか、みんなであの声出して、「私たちは~~」みたいにやってるのってないですか?
―― ありますね。
谷口:はい、ありますよね? あれ、(会社のビジョンが)浸透してる感じする?
―― 浸透というか、まあ、一応読んでいるっていうような。
谷口:読んでるだけなので、ビジョンとか目的とかを読むんじゃなくて、お互いが常に問う、もしくは、マネージャーがメンバーに問う。その問いを共通する。
チーム内で「問い」を共有するとは?
谷口:例えば、スポーツでいうとわかりやすいんで、
「私たちは金メダリストになる。」とチームでゴール設定してる。
「スポーツを通じて日本を元気にしたい。」が、目的だとするね。
「世界一、金メダルを取るにふさわしいチームになる」が、ビジョンです。
これでゴール、オリンピックで金メダルを取る、ビジョンは世界一金メダルにふさわしいチームになる、目的はスポーツを通じてもう一度日本を元気にする。目的は明確になりました。
これを、喋るよりも問いを共有する。
例えば、プレー練習してたら、
「ちょっと待って!みんなに聞きたい。今のプレーは、金メダル。世界一金メダルにふさわしいチームプレーだったと思うか?」とか、
「私たちはスポーツを通じて世の中を元気にできているだろうか?」とか、
「私たちはどのチームよりも、金メダルを取る練習を繰り返してるだろうか?」とかっていう問いを、みんなで、お互いに問いかけられるように。
こういう問いを共有するの。
そうすると、「いや、キャプテン、今の練習じゃ世界一金メダルにふさわしいチームとは言えないですよね!?」「じゃあどうしよう?」みたいな感じに、考えられるようになるじゃないですか。
だから、お互いがその目的やゴールやビジョンを自分でもう1回認識して、それに同意をする、コミットするような問いをチーム内で共有できるように、僕だったらコーチングしていくかな。
なんとなくイメージわきました?
―― はい、湧きました。ありがとうございます。
谷口:はい。なので、パーソナルコーチング、チームコーチング、グループコーチングがあって、パーソナルコーチングは割とクライアント主導で、会話の道筋は決めてめていくけど、
グループとチームは、割とコーチが主導で(会話の道筋を決める)。
なぜかって言うと、みんなバラバラになっちゃうから、本来あるべきチームの姿や目的やゴールから外れないようにコーチをしていく。
明確になるように、お互いそれにコミットするように、そして同意を取り交わすように、コーチをしていって、
最終的にはそのチーム内にそれぞれが達成できるための問いが残っていく、共有されていくっていうのをコーチがしたらいいんじゃないかな。
―― ありがとうございます。