【人の話を聞く③】聞き取る能力を上げていくと? #29

最終更新日:2021年2月9日

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谷口コーチに質問する

実践を積み重ねて上がっていく「聞き取る能力」

谷口:今日これだけ解説しましたけど、じゃあ明日からできるかって言うとできないんですよ。積み重ねないと。

ただ、人間にはそういう能力があるんですね。結局「感じ取る」っていうことでしょ?子どもってすごいなって思うのが、親が不機嫌だっていうのを、親が一言もしゃべんなくても察知しますよね?

―― 早いですよ~!

谷口:す~って消えていきますからね(笑)。だから、実は小さい頃っていうのは感覚の方が優れていて、思考は未熟なんですね。大人になると感覚が鈍って思考が多くなるから考えちゃうんです。だから本来はあったっていうことでしょ?勉強して逆転してるだけなんです。

―― いつの間にか逆転してる。

谷口:だからどんな年齢になっても、視覚が障害で見えなくなったら、聴覚が急激に発達しますよね。それは本来あるって言うことです。ただ見えてたから使ってないだけの話で、見えなくなったら元の能力を発揮するっていう。

だから聞く能力って誰でもある。ただ使わなくていい状態で生きてこれているだけなんです。だからそう信じて僕たちコーチとかコーチになる人はそれを磨き続ける。終わりはないですけどね。

だから僕は6000に近づくコーチング時間、簡単に言うと人の話を聞いてるんですけど、10000時間人の話を聞いたら、僕は何を聞き取ることができるんだろうって自分に興味がある。

―― それ興味があります。10000時間!人間じゃないかもしれない(笑)すごい!

谷口:仙人になるかも知れないけど(笑)。なので磨く方法は、コーチ、プロフェッショナル、ちゃんとそれを職業にして能力がある人に聞いてもらう。で、ミラーニューロンを使ってそれを自分にコピーしていく。

あとは、話し手は言いたいこと言えないので聞き手の方が言葉を増やしていく。語彙を増やす。それは練習すればできます。

あとはもう一つ、問い、4つのレベルの問いを自分の中に置きながら、とにかく聞いていく。そうすると「聞こえてくる」っていう体験をするようになる。

「聞こえてくる」体験とは?

谷口:うん、聞こえてくる。ちょっと自慢していいですか?僕、コーチングをしてる時はスカイプで音だけでやるんですよ。

―― 画像なしで?

谷口:そう。その方が返って集中できるので。言わんとしていることを聞くことに。映像のいろんな情報が邪魔しないので。

そうすると、本人は「おはようございます!」って言うんですけど、体調とか、顔の向きとかが分かるんです。見えてなくても。だから時々、「なんで谷口さんわかるの?」って言われる。

それは、いろんな音や間やトーンや、声から伝わってくるエネルギーで想像できちゃうんです。そういうふうに「聞こえてくる」っていう体験をするようになる。

感性を呼び覚まして感じ取る

あとはね、感性を磨く。だから感覚なんですよね。理解するだけじゃないので、例えば「言ってること」「言わんとすること」は理解ですね。

でも「言ってないこと」や「本人も気づいていないこと」は理解じゃないです。それはもう感じ取るしかないので。っていうことは感性を磨く。

―― なるほど。

谷口:僕のクライアントさんの、コーチになりたいっていう人の中に、この「耳を磨く」っていうのをやっている人いました。僕、いろんなトレーニングでも「練習をしてごらん?」っていうんですけど、例えばどこでもいいです。

公園に行って、歩いて行って、フッと目をつぶって音で公園の風景を想像する。ここにこれぐらいの木があるな、ここに水があるな、ここに○○がある、この辺に家族がいるなって、想像してから目を開ける。結構音だけで映像が作れるんです。

あとこういう練習もしてました。普段乗っている電車で、電車の中に乗った瞬間に目を閉じるんですね。そうすると、なんか音はありますよね。話なのか、モノを触る音なのか。あまり混んでいるのはダメですよ、ラッシュとか。

そんなに乗ってない電車で、パッと目をつぶったら、まず最初にこの車両に何人いるかって当てるんです。音だけで何人乗ってるかって。すると、どこに男性が何人、女性が何人とか、どこに大体何人いるかとか、どんな人がいるかっていうの当てるようにする練習をやってました。

人間ってすごいですよ。結構な確率で当たるようになります。だからそれは感性ですね。本来すごい能力を僕たちは持っているんだけど、余分な情報でそれを使わなくなっているだけなんで、それを呼び覚ます。そんなことをやってるんですね。

なので、自分の言いたいことも、言わんとすることも、自分の気付いてないこともコーチが受け取ってくれてというか、聞き取ってくれて、それを情報としてやり取りできたら、自分の存在価値も、共同体感覚も、自分の「あぁ、こういうことを俺は考えてたんだ。確かにそうだよね。」っていう自己認識も自己理解も深まっていく。

だから、一言で言ったら、「なんで聞いてもらうのにそんなお金出すの?」って言う人いるんですけど、とてつもない価値のあることを僕たちはやっている。

だから磨き続ける。答えになってたかな?これ!

―― ものすごい深い!こうやって谷口さんから「ザ・コーチTV」を通じてコーチングの基幹である「聞く」っていうこと、コミュニケーションとか、そういったことを教えていただいて、分かってきたつもりでいましたけれども、まだまだ分かっていないし、すごい深いですね。

「聞く」っていうことだけでも、氷山の根元の部分だけでもこんなに大きかったんだっていうのを実感してます。

よかったです。

―― すごいです!こうやって聞いていくと、今日は人の話の聞き方を向上させて、良いコミュニケーション、良い人間関係作りの一助になればということでこのテーマを選ばせていただいたんですが、

聞き方を極めていくっていうことは、聞き方を磨き上げる中で、どうやって自分が考えていることや感じていることを言語として発信していくか、アウトプットしていくか。ここもセットで磨かれて行くんですね。

そうなると、この人間社会において、この技術というかこの能力を身に付けたら本当に何でもできる、何にでも挑戦できるし

谷口:できます!あとは、メリットいっぱいあるんです。優れた聞き手っていうのは、話し手の価値を上げるんですね。

優れた聞き手になると

谷口:ということは、優れた聞き手っていうのはファンがいっぱい増えるんですよ。

―― 優れた聞き手にファンが増える?

谷口:そうそう。「あ、私も!」「私も!」ってなると、「私も○○さんに聞いてもらう!」ってなって、自分の価値が上がる、存在価値が上がる、セルフイメージも上がる、いろんなメリットが上がるんですね。だから優れた聞き手ってファンが増える。「聞いてほしい!聞いてほしい!」

『モモ』ていう本をよく紹介するんですけど、モモって聞いてるだけなんです。みんな聞いてほしいって言ってモモの周りにみんな人が集まってくるんですね。だからファンがいっぱいいる。

ファンって日本語にすると「信者」って書くんですね。信者っておもしろいんですけど、2つの漢字を両方くっつけて、「る」って送りがなをつけると、「儲かる」になる。

だからたぶん優れた教祖様は、最初はすごい聞き手になって、「教祖様にお話聞いてもらって良かったです!」って言って、マインドコントロールしたら、後は操るからね。だから僕も悪用しないようにしないとね(笑)

―― 大丈夫です(笑)

谷口:あとはさっき、練習の一つでも言ったけど、実は人間は「話す」と「聞く」だと、聞く方がすごくエネルギーとストレスが溜まります。話す方がラク。聞く方が大変。肉体的にも精神的にも。

「聞く」メンタリティも鍛えよう!

谷口:だから僕、コーチ始めた頃、すごい疲れました。ずーっと一日中人の話を聞いているので。これはもう筋トレと一緒。もう鍛えるしかない!「聞く筋肉があるか」、「聞くメンタリティがあるか」っていうのは鍛える。

それでも話したくなるんで、そういう意味でもコーチを雇って、コーチにバーっとしゃべるようになる。だから案外おもしろい、コーチ仲間がいっぱい集まると。みんなしゃべってるよ。よっぽどストレス溜まってるんだろうなと(笑)。ずっと聞いてるから。余談でした。

―― 谷口さんがコーチングにおいてだけじゃなくても、エネルギーマネジメントっていうのがすごく大事っていうことをキーワードとしておっしゃること多いんですが、そのエネルギーマネジメントがまたここにすごく関わってくる感じですね。

谷口:関わりますよ。自分の体力を充実させておかないと人の話なんか聞けない。

―― そうですね。エネルギーマネジメントについてもまた、次回以降でしっかりお聞きして行きたいなというふうに思います。

谷口:またぜひ!

―― ありがとうございました。お楽しみに!

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