契約が更新され続けるプロコーチの秘密 #92

最終更新日:2022年9月12日

――今回は「契約が更新され続けるプロコーチの秘密」と題して、契約が更新され続けるコーチと、残念ながら契約が更新されないコーチの違いについて谷口コーチにお話を伺っていきたいと思います。

谷口コーチは常々、プロコーチもビジネスだから、いかにリピートしてもらい、いかに紹介してもらうかがビジネスの成功の大きなカギ、というふうに言われていますよね。

では、どうすれば契約が更新され続けるコーチになることができるのでしょうか?そのヒントをぜひお教えください。

谷口:ありがとうございます。まず、そもそも論のビジネスの話を簡単にして、そのあとリピートや紹介の話をしようかなと思います。

ビジネスがうまくいくための一つはまず「継続」ですね。リピートしてもらう。

ビジネスが上手くいく秘訣その1 「継続」

谷口:最近、ラジオショッピングやテレビショッピングなどを見ていると、いかに最初に自分の会社や自分の商品を買ってもらうか、というのをやってるじゃないですか。

初回限定、今回限り、とかよく出てきますよね。とにかく手に取って欲しい、ということを全力でやっていく訳ですね。

コーチ業もそうです。

何らかのセールスだったりマーケティングだったり、集客という言い方でもいいんですけど、自分のクライアントになってもらいます。

そしたらラジオショッピングと一緒ですよ。半信半疑で買ってみたら、「あら?自分が思ってるよりすごくいいじゃない!」とか「プライスレスだな」とか思うわけですよ。

そしたら「続けませんか?」という。

今度は、毎月購入みたいなのを進められるじゃないですか。毎月買ってもらえればこうなりますよ、みたいな。

だから、まず最初に手に取ってもらう。そしたら続けてもらうための施策をいろいろ考えるんですね。

まずこれが一つです。まず手に取ってもらう、続けてもらう。

ただ、初回限定何千円とかで商品を買ってもらいますが、同じ金額で10年続けてもらってもビジネスは発展しないですよね。だったら、初回はこれですけど次からはこれですって、階段的に上がっていきません?

その商品が「それぐらいの値段でも全然これはお得だわ!」となったら、次に「○○さんにはもっとおすすめのこういう商品があるんです。ただ、ちょっと値段は少し高級になります。」と言うとどうでしょう。

今まで1万円で買ってたのが3万円の同じ化粧品が出てくると、「3万円かぁ。どうしようかなぁ。でも1万円のでもよかったから3万円のはもっといいんじゃないかしら?買ってみよう!」と思うと「あ、いいわ!」ってなるわけじゃないですか。

ということは、ビジネスはまずどんな形でもいいからスタートを切る。切ったら継続、絶対続けてもらう。続けてもらった時に、時々アップグレードしていく。まずこれを考えるんですね。

だからコーチングも、とにかく最初に自分のコーチングを受けてもらう、というか買ってもらう。

そしたらいかに続けてもらうか。次に続けていく時にアップしていく。僕だったらコーチングフィー、契約の金額が上がっていくということですね。

まずこれが一つ。ビジネスが軌道に乗るし成功します。

次です。一人をいくらやっても限界です。ということは、今度はクライアント、顧客を増やすんですね。

この2つなんですよ。始める、続ける、アップグレードしていく、次に始める人を増やす。これしか考えないんですよ。

ビジネスが上手くいく秘訣その2 「紹介の仕組みを作る」

谷口:では、世の中ではどうしているかというと、何でもいいんですが、必ず何か買うと、「紹介してくれたらあなたにこんな特典があります!」というハガキとかが付いてないですか?

――はい、よくありますね。

谷口:一番いいのは利用者が次のお客を持ってきてくれる方法ですよ。ビジネスでも考えますよね。どこへ行ってもありますよ。紹介システム。スポーツジムに行ってもあるし、マッサージに行ってもあるし、レストラン行ってもあるし。

次のビジネスの紹介の仕組みを作ること。

なぜかというとコストが安いですもん。ゼロから広告費を打ってマーケティングをやるとなったら、一人顧客が増える単価ってべらぼうに高いですけど、紹介から得られる一人の顧客って、めっちゃ(コストが)安いんですよ。

だからコーチも一緒。始める、続ける、アップグレードしていく、始めた人に次の人を連れてきてもらう、これがもうビジネスの王道中の王道です。

紹介してもらうために有効な方法とは?

谷口:では、元に戻ります。

コーチングの紹介をしてもらうっていうことは、ビジネスで考えてください。何か買った時に自分の買い物が間違いないと思いたくないですか?

――思いたいです。

谷口:思いたいですよね。でも「あれ?」と思うことが時々あるわけですよ。

でも、それを全然ケアされないで続けていくと、イメージは、もう些細な些細な不満のスタンプカードを思い浮かべてください。

些細な不満のスタンプカードを顧客が持ってるわけです。で、使ってると、「ん-、別に大したことないんだけど…」スタンプ1個、また使っていくと「ん-。あ、まぁでもねぇ」スタンプ1個・・・

というように、些細な不満が段々溜まっていくんですね。

でもそれは言う程でもない。コーチに言う程でもないし、商品だと会社に言う程でもない。

でも、なんとなく溜まっていって、いよいよ契約が終わる時に7割8割小さなものが溜まっていて、「続けませんか?」と言われた時に、「いやー、あの、十分商品は満足したんで、今回はありがとうございます。」と丁寧に断られるんですね。

それは小さなスタンプカードがほぼほぼ貯まっているから。

ということは、継続するためには小さな不満のスタンプが貯まった時にクリアしておかないと。

――クリアする。

谷口:消していかないといけないってことですよ。コーチングの契約が終わった時に、気がついたらスタンプ押されたけど消えて、押されたけど消えて、押されたけど消えて、ということをやって、結果的に溜まってないという状態を創んなきゃいけない。

これを僕たちの世界では、メタコミュニケーションとかエバリュエーションという言い方をします。

その1 メタコミュニケーション

谷口:メタコミュニケーションというのは、メタだから、引いて、離れて自分たちを見る。

簡単に言うと、コーチ・クライアントがやっているコミュニケーション、コーチングカンバセーションを離れて俯瞰して時々この交わされているコーチングについて会話をする。メタですからね。

「どう?ここまでやってみて何かもっとコーチにこうして欲しいとか、これはちょっとあまり有効ではないからこうして欲しいとか、なんかうすうすそんなふうに思ってることない?」とか、

「僕のコーチングはすごく効果を感じてる?」とか、

「僕のコミュニケーションの取り方に何か違和感や不快感はない?」っていうのをしょっちゅうやるんですよ。最初の頃に。些細なものは言わないんです。

ただ、メタコミュニケーションをやると押されたスタンプが消えるってことです。解消、消えていく。これが一つです。

継続するコーチングにはメタコミュニケーションがすごく多いです。時々二人のやり取りについて、振り返るじゃないんだけど、コミュニケーションについて確認をしていく。小さい不満のスタンプがないまんまコーチングを終了していく。これが一つですね。

その2 エバリュエーション

谷口:次にエバリュエーションというのは査定という意味です。別な言い方で言うと評価ですね。コーチングの評価を時々する。

「どうだろう?1か月すすめてきたけれど、まだゴールは未達だけど何か自分は成長したなぁ、いろんな経験を積んでるなぁとか、コーチングをしてきて何か得られたベネフィットってここまでありますか?」要は査定をしてるわけです。

そしたら、「いや、いろんな経験ができて、世界が広がりましたよ、谷口さん!」

「僕から見てあなたは非常にスキルが上がったと思いますし、人間としての魅力は増したと思いますよ。だっていっぱい経験したじゃないですか。でもゴールはまだ先ですね。このまま行きましょう、次に。」というように、

自分たちのコーチングで得られたベネフィット=恩恵や価値をその都度査定をしてるかどうかです。

これが2つ目です。全部終わってから「どうでしたか?」っていうよりも。

僕、先日旅館に行ったんですよ。

そしたら、例えばフレンチでも懐石でも、一品ずつ出てきますよね。全部食べ終わって「お食事いかがでしたか?」って聞かれるよりも、前菜食べたときに、「前菜いかがでしたか?」って聞かれると「これおいしかったよ!」って、その場で査定したくないですか?

一品ずつ「これおいしかったね。何で作ってんの?」と聞くと、「いや実はこれこういう材料で」とか、「シェフここにこだわりがあって」とか、一品ずつ査定していった方がトータルの満足感高いんですよ。

全部食べ終わってから、「これ何でできてるのかね?おいしいけど」って言ってもね。全部食べ終わってから「いかがでしたか?」と聞かれても、何も僕覚えてないですから、「ん-、まぁおいしかったですよ」で終わっちゃうじゃないですか。

ですから、イメージは懐石料理とかフレンチの、一品ずつ査定をしていく感じ。

「ここまでのお料理いかがですか?何か食べられないものありますか?」とか言いながら。

そういうのをやる旅館のお料理っておいしいんですよ。そしてそこにはまた行くんですよ。これと同じ。これをエヴァリュエーションって言うんですね。

その3 継続につながるゴール設定のタイミングとは?

谷口:次に、コーチングの場合の「続く」というのは、常にゴールがあり続けることなんですね。僕たちは次のゴールとか言うんですけど、最初にコーチングを契約した時に目指したゴール。

例えば、半年だったら半年の契約が終わる、もっと言ったら1か月前でもいいです。

その時に、次の半年後のゴールとか1年後のゴールの話をするかどうかです。まだゴールテープ切ってないのに。

切ってから次の話をしたら遅いんですね。切る前に次の話をする。これを延々とやり続けると、ゴールはあり続けるんですよ。

これをやると継続して、最初1合目に居ましたよね。この時に契約してコーチを雇いました。登っていきます。ゴール直前に来ました。半年前より高い所に立ってますよね。

ということは、半年後に立ってるところから見るゴールというのは高いゴールなんですよ。だから常にゴールが上にあり続けるんですね。

そうするとfeeが上がるんですよ。同じレベルのゴールじゃfeeは上がらないんですけど、

例えば、独立起業でスタートに成功したっていうfeeと、軌道に乗れた、次はこのビジネスを5倍にしたい、となったら高くないですか?コーチングfeeは上がります。

5倍に近づきました、となったら、更にこのビジネスを10倍にしたい。コーチングfee上がります、っていうふうに。次にゴールを見続けるかどうかですね。

だから3つ。まず、メタコミュニケーションを取る。小さな不満をスタンプが溜まる前に消していく。

次にエバリュエーション、イメージは懐石料理とフレンチで一品ずつ「どう?おいしかった?どうだった?」と聞くエバリュエーションです。

そして、契約のゴールが目の前に迫ってきたら、常に次の先のゴールの話題をする。で、そうすると継続と、(fee)が上がり続ける。

もう一つが紹介は、紹介依頼をし続ける、ですね。

その4 紹介依頼をし続ける。

谷口:マッサージでもスポーツセンターでも、いやと言う程紹介キャンペーンやりますよ。今はいないけどやり続ける。たまたま、僕が紹介する人と話したときに、ちょうどカードが来たら、その時は紹介しますよね。

でも、紹介を一度したからないのかと言うと、その人は紹介をしない、じゃないんですね。「今紹介する人は思いつかない」だけなんですよ。

でも、ずーっと頻繁に紹介を依頼し続けると、「ちょうど昨日同窓会があってさぁ。昔、悪友だった奴が今経営やってるんだよねぇ~」とか言って、

「谷口さんエグゼクティブコーチやるよね?いや、良いかもアイツ。紹介するよ!」ってなるじゃないですか。

たまたまそれは直前に同窓会があったからです。だからコツは紹介依頼をし続ける。

紹介を依頼しなくても人は紹介してくれるもんだって思うと間違いですね。紹介してくれないですから、頼まないと。

だからコツは紹介依頼を、依頼ですよ、し続ける。で答えになったかな?

――はい。ものすごく参考になりました!ありがとうございます。

ありがとうございます。

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