クライアントの目標に疑問を感じた時のアプローチ方法とは? #97
―― 今回は、視聴者の方から頂いた質問に、谷口コーチにお答えいただきたいと思います。
「芦田」さんから質問をいただきました。
コーチはクライアントを信じる。
というのがベースにあると思うのですが、クライアントの目指したい状態が、どうしても、向き不向きで難しいような場合、そちらの方向じゃない方法で幸せな状態を目指す方にどこかで誘導してしまいます。
適正的にかなり無理のあるように思う目標を本人が変更せずに、やりたい!でも、うまくいかないから、しんどい・・・
を継続的に繰り返す場合、どのようなアプローチをされますか?
というご質問です。
谷口:なるほど。コーチあるあるですね。何があるあるかって言うと。
人間って誰よりも自分が上でありたい、って言ったらいいのかな。優秀でありたい。無意識でですよ、意識してなくてもね。
だって、たち動物だから、生存していくためには、相手とか敵よりも自分の方が優位・優秀だった方が生存確率高いですよね。
相手より自分が上だって、今の現代用語でマウンティングっていうのかな?
―― あーありますね。マウンティングって
谷口:ありますよね? 動物だとそうじゃないですか。
なぜかと言うと、相手より自分の方が優位だと、それを証明した方が相手は負けを認めるし、逃げていく、勝てる。
おもしろいのは、子どもって小さい時に、最初に悪口から覚えますよね?
幼稚園行くと大体悪口言って、そんなこと言っちゃダメとかお母さんに言われるんですよ。だからもうそこからマウンティング入ってるんですね。相手の弱点を見つける、相手の弱点を突く。
だから、相手の良い所を見つけてそれを褒めるって多分、後天的に学習して身に付けないと出来ないと思う。まずそれが一つ。
だから、コーチをしてると、無意識でどうしても、「あぁした方が良いのにな、こうした方が良いのにな」って思うんですね。
ゴルフなんか一緒に回ると、自分のことより相手を見て、「あぁすればいいのになぁ、こうすればいいのになぁ」って思うわけですよ。
だから、それが大前提だというふうにいきましょう。
コーチあるあるなんですよ。
コーチをしてると、無意識に僕たちは「あぁ、こうした方が良いのになぁ、ああした方が良いのになぁ、あぁそれはまぁうまく行かないんじゃないかなぁ」とか思う、のがあるっていう前提で行きましょう。
これすごく良い質問なんですね。
まず、最初に「クライアントを信じる」って言ってたっけ?そこから行きましょう。
よくコーチングの世界で使う言葉ですよね、クライアントを信じる。じゃあ、クライアントの何を信じるの?
クライアントの「何」を信じるのかを明確にする
谷口:なんか「・・・?」みたいな感じでしょ?
「クライアントを信じる」って言うんですけど、「え?何を信じるの?」って僕も思ったわけですよ。
僕は、自分がコーチをするときに、自分の信条とか信念とか自分に対する約束事として、ある言葉を作って、それを見ながらコーチするようにしてたんですね。
今日はそれをご紹介しようと思います。
【コーチとしての信条】
- 私は あなたが結果を出さないわけがない と信じています。
- 私は あなたが今のあなたをはるかに超える成功を収める力がある と信じています。
- 私は あなたが自分でも驚くような力をすでに持っている と信じています。
- 私は あなたが精神的にも物理的にも自分の人生のマスターになる と信じています。
- 私は あなたが自分に打ち勝つ力がある と信じています。
- 私は あなたが心から願うものに対して決してあきらめない人だ と信じています。
いくつかご紹介したんですけど、これを信じていると、このクライアントさんとの関わり方って変わりそうな気がしませんか?
クライアントをただ信じるって言うよりも、クライアントの「何」を信じる。
僕もやっぱりこういう罠に入ったんです。これを僕たち業界用語では『コーチのエゴ』と言います。エゴ、自分の欲求ですね。どうにかしてあげたい、導いてあげたい、成功させてあげたい、うまくいかせたい、幸せにしてあげたい、は全部コーチのエゴなんですよ。
―― コーチのエゴ
谷口:実は、僕たちがアメリカから入ってきたコーチングを習う時、「エゴを手放す」っていうスキルやクラスがあるんです。
なぜか。前提はみんなこのエゴを持って陥るからです。コーチあるあるですね。
だから今1つ、まずコーチはクライアントを信じるを、クライアントの何を信じるかを明文化すると、少しエゴから離れることができるんじゃないかなというのが1つですね。
あと、「向き不向き」というのもコーチが考えてますよね。
コーチが判断してる。だからこれを一緒に、これをテーマに話すのを提案する、ということをしている。
ゴールや目標についてもう一度話すことを提案する
谷口:これをリ・オリエンテーションとか、メタコミュニケーションという言い方をします。
僕たちが今交わしている会話をちょっと俯瞰して、それについて話をする。
ここで言うと、今向かってるゴールやビジョンやテーマについてもう一度それについて話をする。
なので、向き不向きがどうか?っていうのは、コーチが一方的に考えるんじゃなくて、2人のテーマって言ったらいいのかな、話題にする。
ここで言うと、今僕たちが目指しているゴールや目標でしょうね。それについてそれが、芦田さん「適正」って言葉を使ってますよね。
もう一つ、僕がよく使う言葉に「適切か?」「適当か?」。適正・適切・適当の違い分かりますか?
どれも微妙に違うよね。僕たちが向かってるのはあなたにとって適正なゴールだろうか?それは私たちの目的にとって適当なゴールだろうか?今目の前に達成しようという目標は適当だろうか?
まず、「あなたに合っている」が適正ですね。「目的に合っているか」が適切。程よい、目標っていうのは程よい加減で置かないとかえって逆効果なんですね。
なので、「目指してる目標は適当だろうか?程よいだろうか?」よく言うのは120%ぐらいが適当って言うんですね。
あなたに合っているか、目指している僕たちの目的に合っているか、目標は適当、程よい加減だろうか、っていうのを一緒に話すといいと思う。
で、それについて決めるのは2人だし、クライアントさんなので、適正で適当で適切である、っていったらもう応援します。
少しゴールに対して、もしかしたら修正が必要だね、と。これを「リ・ゴールセッティング」っていうんですけど、それもした方が良いねとなったら、もう1回ゴールセッティングについて2人で取り組めばいいと思います。これが1つ。
あと、「しんどい」だったかな?「上手くいかない」ってあったね?
「目的は何か?」について話す
谷口:僕たちは、コーチをする時、僕は特に、「目的は何か?」って言ったら、ゴールを達成してその先の目的を達成するのと、ゴールに向かうプロセスで成長して自ら今後の目的を達成する能力を備える、これを話すと良いですね。
未達だけど成長してたら価値ありますよね。
しんどくても継続していることで、グッと成長することありますよね。特に、少しいい意味の過度のストレス、プレッシャーがかかった方が人は成長しますから、しんどくても潰れない。そしてこれがすごく成長の糧になってる。
適度につぶれないぐらいでストレスがかかる「成長目的で行こう」という手を僕だったら取るかなぁ。
良い学習のプロセスになってるんだったら、それをまたクライアントさんと僕だったら話すね。
確かにしんどいし、未達だし、でもそれは君にとって適当で適正で適切だということであって、その先の目的に必ず向かっている、というのであれば、とにかく、ちょっとストレスがかかるけど、期間限定で成長も目的にしながら一緒に進んでいこうか、っていう話もするかなぁ。
―― すごく参考になりました。「エゴを手放す」っていうところ、すごく刺さりました。ついそこに陥りそうです。
谷口:そうだよね、何やってても、学校の先生やってても、コンサルタントやってても、上司やってても、みんなあるもん。
親なんかエゴだらけだもんね。子どものためにって言ってるけど、違うだろそれ、みたいな。僕たちはエゴの塊だと思った方が楽ちんですよ。
―― ありがとうございます。