「時間がない」は断り文句⁉ 相手の言葉に隠された真実 #23

最終更新日:2021年2月9日

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谷口コーチに質問する

── 今日は視聴者の方からいただいたご質問に、谷口さんにお答えいただきたいと思います。

町屋さんからのご質問です。

コーチングを勉強しておりまして、クライアントとなっていただける人を探すため声掛けをしますが

「時間がない」「忙しい」「時間ができたらまた今度」という方が意外に多いなぁと思っています。

確かに忙しくなると、自分の時間をどうしても人に取られることがあります。

しかし、それは毎日続きませんし、緊急かつ重要な場合を除けば自分でコントロールができると思っています。そういった方たちにはどういう関わり方をしていけばいいのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

という質問なのですが、谷口さんいかがでしょうか?

谷口:すごくいい質問ですね。ありがたいです。

大体「プロになる」っていうことは「職業にする」っていうことなので、自分のサービスを誰かに受け取ってもらう、必要としてくれる、買ってくれる、っていうプロセスは、絶対に必要になってくるんですね。

それはインターネットなのか、直接なのか。自分のお客さまになる、クライアントになる人と何らかの関係をスタートしなきゃいけない。

これね、セールスのノウハウが必要なんです。

インターネットだとマーケティングのノウハウになるんですけれど。

なので、僕のセールスの時の話がすごく有効になるかなと思います。

セールスのノウハウを知る

谷口:セールスマンっているじゃない?何か自分のサービスを紹介するわけです。

例えば、スーパーの販売員でも百貨店の販売員でも、こんな人をセールスっていう。

自分の商品を説明しにきたらどんな感情になる?

── そうですね。やっぱり押し付けられるのはイヤだなっていう感じ(笑)

谷口:往々にしてあるのは、何か売られるんじゃないかな~っていう警戒心がまず生まれますね。

そのうち、向こうが商品について説明してくると、面倒くさいとか鬱陶しいとか、もっと言葉選ばないでいうと、ウザイとか思ったりしません?

── その方のタイプによってはあるかも知れない。

谷口:ですよね。そういう時、何か自分の時間とられてるような感じしませんか?「なんでこの人の話ず~っと聞いてなきゃいけないの?」みたいな。

── ほかにもやることあるんだけどって。

谷口:なんでこの人の話聞かなきゃいけないの?っていう時に、「時間がない」「忙しい」って言うんですよ、人って。

── あっ、言っちゃいますね。

谷口:言いますよね!電話なんかだと「今忙しいんだよ」とか「ちょっと料理中で火つけてるんで」とかって言うよね?

だから、僕がまだセールスで新人の頃は、お客様の言ってることが真実だと思ってたんです。「あ~時間がないんだな」っていうふうに。

── 言葉通りに。

谷口:でも真実じゃないよね?

── そうですね。今の話だと。自分を振り返っても。

相手の言葉に隠された真実とは?

谷口:そうなんですよ。真実は「興味がない」なんです。

僕も同じように、相手が言った言葉を真実だと疑いもなく「じゃぁいつなら?」とか思っちゃうんです。「朝、時間はありますか?」って。

例えば、営業マンに、「じゃあ、いつだったらお時間ありますか?」って聞かれることってないですか?

そう言われると、「ちょっとずっと・・・」。

それ、真実は、あなたのために時間を取りたくない、っていうことなんですよね。

特に、僕はプロコーチになりたい人のトレーニングなんかもよくやるんだけど、このセールスのノウハウとセールスの知識は絶対持った方がいい。だからそういうところも教えてあげるんですね。

人は相手を傷つけないように断る方法を持ってるんです。代表的なのが「時間がない」。

あと、「今は必要ない」っていうのは、やはりセールスマンを傷つけたくないとか、嫌な思いをお互いしたくないとかいうのがあって。

あとね、よくあるのが「検討します」とかよく言う。これって断り文句なんです。

まずそれが一つ。

じゃあ、何でこういうことがことが起きるのか?っていうのも知っておくといいんですけれど、まず、僕がセールスをやっている時に先輩に言われたことがあるんです。

「商品に惚れるな」って。

商品に惚れるな!

谷口:自社商品に惚れてはいけない。意外でしょ?

なぜかっていうと、(商品に)惚れると大好きだから「いいんですよ!」って言っちゃうんです、お客さんに。「これすごくいいんです!」って。

そうすると、結局、相手目線とか相手のことじゃなくて、自分の関心事を一生懸命人に説明してしまうんです。

だから、商品に惚れてはいけない。

そういうセールスマンっていますよね?「これいいですよ。」「絶対良くなりますよ。」とかって言う。まずそれが一つ。

どういうことかっていうと、会話の話題、主題が「商品」なんです。

例えば、デパートの洋服売り場だとします。

売れない店員さんって「新商品です」って言うんです。商品が話題ですよね?例えば、「麻100%で」とか、「しわにならなくって」とかって。

それって話題、ずっと「商品」じゃないですか?

売れる営業マンとか販売員さんっていうのは相手に関心があるんです。

商品じゃなくて。例えば、「今、こちらとこちらをお手に取ったみたいですが、着回しができて着心地がいいものとか、そういうのをお探しですか?」って聞くんです。

で、「そうなの。麻とかやっぱりいいのかしら?」

「麻の商品ですと、こういうメリットもありますけど、こういうデメリットもありますが、どういったところでお召しになりたいんですか?」って相手に関心がある訳です。

すると、「こういう時とかこういう時とか、あと、お洗濯とかどうされてるんですか?」って聞くと、「これ自分で洗えるんですかね?」って、会話になるじゃないですか。

前者は「商品」の話題です。後者は相手の関心事を話題にしている。

っていうふうに、コーチをやる人も大抵上手くいかない人っていうのは、「コーチングっていいわね」って言っちゃう。

コーチングに惚れちゃうんですよ。

「コーチングは素晴らしい」「コーチングをやって私は人生が変わった」とかっていうと、相手からしてみると「そのこと勉強してないし」、「知らないのにコーチングの説明されても…」「時間がないんだけど…」っていうのはよく起こるケース。

この人は、「時間がない」「忙しい」って、言われたことを多分そのまま受け取ってますよね。

「出来ることあると思います」みたいに言ってるでしょ?時間なくても今度またって。

お客さんとか、相手が言った言葉が無意識で真実だと思って、その相手の言ったことをどうにかしようっていう。

そうすると、例えば「いや、時間がなくて」って言って、「いや、時間はあるはずです!」とか言われたらどう思う?

── いやですね。

谷口:そう思うでしょ?

「じゃあいつなら時間空いてるんですか?」って言われると。

── そうじゃない~って感じですよね。

谷口:そうなりますよね。

「それを私は言ってるんじゃない。あなたを傷つけないように断ってるのに!」みたいにね。

だから、トップセールスマンになればなるほど、「お客さんは真実を言わない」っていうのを知ってます。

普通の会話だって、真実を言わないんだから。

これは何を言わんとしていることなのか?どういうことなのか?っていうのを経験するとわかってきて、「ん~そういうことか」ってわかると、変えられるのは相手ではなくて自分

僕がよくお勧めしてるのは、『相手の関心事に興味を持って、相手の関心事を話題にする。』

相手の関心事に興味を持ち、それを話題にする

谷口:昔のセールスマンは「セールストーク」っていって商品説明をするんですが、どういうトークかというと「説得トーク」なんです。

何が起きるかっていうと、説得されるからもうこの場を逃れたくって、人って「Yes」って言っちゃうんですよ。

「Yes」って言うと開放されるから。でも本意じゃない。

例えば、あなたにもないですか?

「もうわかったわよ」って買ったとするじゃないですか。

そうすると、本意じゃないから、その商品の”あら捜し”しません?納得してないから疑ってかかるんですね。

でも、解放されたいから「Yes」って言って、この話を終わらせるってなるんです。

だけど「Yes」って言って手に、サービスを買うと、言ったけれども納得してないんで、「これは悪いんじゃないか?」とか、「どっかおかしいんじゃないか?」っていう疑いの目で見だす。

セールスの世界では、説得して売るとクレームと評価がすごく下がる。ということは、後が大変でしょ?

でも、納得すると人って『自分が納得して決めたことは正しい』というふうに証明したいんですよ。なので「いい買い物した」って言うんですよ。

── そう思いたいですもんね。

谷口:そうそう。だからいいとこ探しするんですね、商品の。

だから、昔でいうセールストークっていうのは説得と説明。

もうぐうの音も出ないぐらい証明・立証する。「あなたが買わないのはおかしい!」ぐらい説得する。

今度は、僕がセールスしている時に「バイイングトーク」って言ってたんですけど、これは何かって言うと、コーチングそのものなんです。

本人が、自分はニーズがあるっていうことを気づいてもらうような、ほとんど質問で出来ているトークなんです。

「なんか気がついたら、あれもこれもって言って、やるべきこと、やらなきゃいけないこと、そんなことに翻弄されて、一日が終わった時に何かむなしさを感じたりすることってないですか?」っていうと質問になるんです。

「そうなのよー」とか。

「なんで私ばっかりって思うことないですか?」とか、

「もっと時間があったらこんなことができたらいいのにな~とか、時々ふと、そういうこと思って、自分の人生が豊かになったらいいな~なんて思いめぐらすことないですか?」

とかっていうと、「確かにあるわね~」って。って言ったら、

「そうですか。僕もそうだったんですよね」って。

あと、「僕がサービスを提供している人が、そういう日常から自分を解き放って、自分のやりたいことで人生を謳歌している人がたくさんいるんですけど、そういう人のお話って興味あります?」とか。

── 「あります!」って言っちゃいます!その話聞きたいですって。

谷口:ってなるじゃないですか。

相手の関心事をインタビューしながら聞いていくんですよ。

「この人はこういうことに関心があるんだ」「こういうことを求めてるんだ」

で、セールスっていうのは、

『私のサービスはそれを解決できますよ』っていうのがセールスなんです。

相手の関心事を聞き出し、解決策を提供する

谷口:そう。で、その一つがコーチングという方法だって言うと、

「この解決策についてもっと興味ありますか?」「はい!」ってなったら、「じゃあ」って言って、初めてそこで説明する。

── そこから説明する。

谷口:「クライアントを探す」「声掛け」っていうところの『言葉』も変えることをおすすめするかな。

「探す」が、「私を必要としている人が私を見つける」。「私のサービスを受けてよりよくなる人と出会う」とか。

── その言葉いいですね!

谷口:やってること一緒なんですよ。クライアントを探すっていうことと。

っていうことは、この人がどういう人をどのように自分はコーチングやコーチとしてサービスが提供できるのか。

その「どういう人」が明確になるとその人が無意識でどんなニーズを持っているのか。

これもセールスの世界なんですけど、顕在化されているニーズに商品提供するより、潜在的なニーズにサービス提供をしたほうが圧倒的に売れる。気づいてないだけだから。

── ご本人も気づいてないことに気づいて、そしてそこに解決策も一緒にやってくるっていうことですもんね。

谷口:そうそう。

なので、この気づくっていう相手が、僕のサービスを必要としている人が「あっ、それ私のことだ」って気づく。

それ、気づきを促すっていうことです。コーチングなんです。

だから、コーチングの説明なんかしなくて、その人と普通に会話している時に、その人が自分にはこういうニーズがある、確かに、それ私が必要としてるもんだっていう気づきを促す問いや事例を用意するかな?僕はしてました。

こういう潜在的なニーズが僕のクライアントにはあるっていうのを書き出したんです。

だからそんなところからしてみてもいいんじゃないかな?

言葉を変えてみよう

── 以前に『ザ・コーチTV』で「クライアントを獲得する方法」についてのお話の中で、「獲得するっていう言葉を変えてみたら?そこから始めよう」っていうお話をいただいたんですが、

やっぱりこれも同じで、結局「言葉」っていうのは自分の頭の中にあるものが出ちゃってるから、そこを変えていく事で、出会っていく人たちとのコミュニケーションも変わっていくよっていう、

そういう形でいい循環に入っていけるんだろうなっていうのをイメージできました。

谷口:私を獲得しようとしてくる人って(笑)

── もう、何?って感じですよ(笑)

谷口:このマーケティング用語って結構、戦争用語だったりするんです。

多いんですよね。ターゲットとか、戦術とか。

それ無意識で使ってるけど、言葉って人を作るので、僕は結構言葉を、ただ言葉を変えるだけです。

── ホントですね。『クライアントを探す』っていうのも、先ほど谷口コーチおっしゃったように『自分と自分のコーチングを通してよりよくなる人と出会う』とか、そういう言葉に変えていく。

谷口:自分を認知してもらうとか、知ってもらうとか。あなたの課題や必要としているものを手に入れられる、そのサービスを提供している人に僕を見つけてもらうとか。そういう人がいるっていうことに気づいてもらうとか。

そうするとずいぶん変わると思うかな。

── きっとご質問いただいた方も今日のお話を聞くことが出来て、新しい視点を得ていただけたんじゃないかなと思います。

谷口:よかったです。

── 言葉を変えていくっていうのを皆さんとやっていきたいですね。

谷口:僕たちは聞いた言葉を、無意識でそのまんま口に出してるんですけど、何かそこにフィルターが1個あるといいかな、この「言葉」本当に適切なのかって。

── また新しい視点をいただきました。

谷口:いい質問があるからですね!

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