行動を促進するためのチャンクダウンとスケーリングスキルとは? #90

最終更新日:2022年8月16日

――今日のテーマは「チャンクダウンとスケーリング」についてです。

谷口コーチがコーチングの時に使われるスキルとして、「チャンクダウンとスケーリング」というスキルがあると思うのですが、この「チャンクダウンとスケーリング」はどんな時に使うとクライアントにどのような効果が得られるのでしょうか?

谷口:これ説明すると多分講座一回分ぐらいできるんで、簡単にいこうと思います。

初めてコーチングを勉強する人には、「なんのこっちゃ?」ってわからないと思うので、まず言葉の意味を説明しますね。

「チャンクダウン」というのは、ビジネスの世界で言うと「ブレイクダウン」と一緒ですね。ブレイク、要は「分解していく」です。

「チャンク」っていうのは「塊」のことを言うんですが、曖昧なもの、すごい抽象度が高いものを具体的なものに細分化していくことをチャンクダウンと言います。細分化だと思ってください。

「スケーリング」というのは、スケールってありますよね。定規やメジャーとか。スケール=ものさしのことを言います。

僕は「定規を当てる」という言い方をするんですが、巷では「数値化」っていう言い方をします。スケールを当てるということです。

簡単に言うと、すごく定性的なものを定量化しやすくするというか、わかりやすくする、明確にするという目的で使います。ものさしを当てて数値化する、です。

チャンクダウンはどういう時に有効なのか?

谷口:チャンクダウンはどういうことかっていうと、僕たちコーチはゴール達成を支援しています。

例えば、わかりやすく「出版をしたい」、「著者になりたい」と言ったら、書店やAmazonとかに本が並ぶ、自分が著者になる、というゴールがあったとします。

「出版したい!さて・・・?」

「ゴールは明確だけど、ファーストアクション何をすればいいのか?」っていうのがわかんないんです。っていうことは「出版」という塊が大きいんですよ。

なので、こういったゴールや夢を細分化して要因分解する。パーツに分けてその1個を目標にしていくんです。

例えば、出版でいくと、まずテーマ、何の本なのか、次にタイトルとか、目次とかって、いくつかに分かれていきますよね。これでチャンクダウンできました。

「テーマ」っていう一つのチャンクができたら、まず、この1か月で自分が書きたいテーマを5個ピックアップする、となったら目標になりますよね。

そしたら、「今日何しよう?」という時に、自分が書きたいテーマをノートに書きだすとか、本棚を見て類似しているものを探すとか、そういったアクションに繋がるじゃないですか。

まず一つが、チャンクダウンはゴールだけではなかなか行動ができないのを、分解して、一つ一つに目標を設定するためにすごく有効な方法。これがチャンクダウンですね。

もう一つチャンクダウンでいうと、曖昧なものをはっきりさせるっていう意味でもよく使うんです。

例えば、ビジネスとかマーケティングの知識でSWOT分析というのがあるんですね。簡単に言うと内的要因、外的要因、市場環境はどうか、自分の商品の強み弱みは何か。

そういう時に、ただマーケティング戦略と言ってもわからないけど、SWOT分析と言ったら、外的要因、内的要因、他社の商品、自社の商品とか、4つに分解できればより考えやすくなるじゃないですか。

こういった、何か抽象度が高いものを明確にして物事をはっきりさせるためにも使うし、ゴールを達成するために、それを目標に落としていく時にチャンクダウンをよく使ったりします。これは有効な方法ですね。

スケーリングはどういう時に有効なのか?

谷口:では、スケーリングとは何か?というと、さっき目標をチャンクしましたよね。

じゃあ出版で行きましょう。テーマ・タイトル・目次ってありましたね。

では、「テーマ」に目標を設定しました。「テーマを決める」って言った時はスケールがないんですよ。

でも、「テーマをまず5つピックアップする」と言ったら、そこにスケール、ものさしが入ったじゃないですか。

そこでクライアントさんに、「今パッと頭の中にいくつ浮かぶの?」と聞いて、「2つかなぁ」となると、現状が2つ。目標が5つになってものさしのこっちとこっちが見えてきます。

そして「2つは何?」って聞くと、ものさしのこっち側のすでに顕在化している2つがはっきりして、「じゃあこの残りの3つは何をどうすれば見つかるの?」とかっていうと、これを『ギャップ』っていうんですけど、埋める方法が見つかっていくんです。

さっき言った、目標の行動をさらに促すためにそこにものさしを当てていくという時にすごく有効だったりします。これがスケールですね。

次にスケールで言うと、曖昧なものを明確にするときにも結構使うんですよ。

例えば、ちょっと聞いてみましょう。

今すごく自由に仕事してますよね?今の自分のライフワークに満足してる?

―― はい。それなりに。

谷口:というようなのが、まだ曖昧な状態ですね。

では、今の自分のライフワーク、もうこれ以上ないっていうぐらい大満足が100点、いやーこんなことやってると自分の人生は全然つまんなく終わりそうそうだなと思うのが0点。今どの辺にいて毎日どのへんで過ごしてるの?

―― 50点ぐらいです。

谷口:って言うでしょ?さっきは「はい」って言ったけど、100点っていう意味で使ってるじゃないですか。

でも、ここにスケールを当てたわけですね。ものさしで、ここからここまでありますよと。

「今のあなたのライフワークの満足度に点数をつけるとしたら何点なの?」って聞いたら「50点」と答えが返ってきた。

「じゃあ、何らかの要因は満足できてるけど、何らかが足りないってことですよね?」

「どれはすでに満足できていて、足りないものは何なんだろうね?」となっていく。

「満足してる?」って聞かれた時と、ものさしを当てられた時とで変わりそうですか?

―― 全然違いますね。

谷口:全然違いますよね。だから、こういう時によく使うんです。答えになったかな?これをさらに詳しくするとしたら、もっと虎プロみたいな講座を受けてもらいたいぐらいです(笑)

―― ありがとうございます。

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