現在形と完了形 どちらの言葉を使うと良い? #17
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現在形と完了形どっちの言葉を使うと良い?
── 本日も、「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。
では、質問を読み上げますね。
藤井さんからのご質問です。
谷口先生の本も動画も非常に参考に拝見させていただいております。
ありがとうございます。この度は、一つご質問があります。
それは動画の中でありました「言葉をかえる」 というところで、
「~になる」というような表現が良いと教えていただきました。
ただ、他の本では、「~になった」と完了形で言ったほうが
叶いやすいという考え方もあって、
現在形か完了形どちらの方が良いのか教えていただければ幸いです。
それともケースバイケースであれば、どのような時には現在形が、
どのような時には完了形が適しているのか教えていただければ有難いです。
というご質問です。
谷口:いい質問です。これね、コーチングでもよく使うんですよ。未来完了形で「もうなった」っていうことですね。
「フューチャーペーシング」っていういい方もして、未来に同調するみたいな意味なんですけれど。
ワークショップとかで体験した人もいっぱいいると思うんですけど、例えば自分の10年後の未来に行って、誰かと会ったとするじゃないですか。「おぉ、久しぶり、10年ぶりだね!今何やってるの?」って言ったら、「今こんなことやっててさ~」っていうのは、10年後の未来が現在形になってるんです。
10年後の未来に行って、その未来でまた人に会った時に、「今自分こういうことやっててさ~」「実はこうやって映画俳優になって今映画に出てるんだよね」とかっていうと、これはまさに未来の完了形ですね。っていうのをよくやるっていうのもよく感じます。
どちらもOK!なぜなら・・・
谷口:どっちがいいか?っていうと、この完了形も僕はおすすめしますし、さっき言った現在形「なる」ていうのもおすすめします。どちらがいいっていうよりも、もし両方できるようになったらベストかな。
「なりたい」はただの願望で、「なりたい」っていうと、「でも」とか「しかし」って続いていって、できない理由が出てきちゃうでしょ?
でも「なる」も「なった」も、できる理由しか続かないんですよ。
だから「なる」「~になる、だったらこうしてこうしてこうして」、「~になった」ってなると「どうしてかというと」っていっていくんですね、言葉がね。なのでどちらも有効だとします。
目標達成には2つのステップがある
谷口:で、今度は人によってちょっと違うっていうところを。
「目標の達人」でも言ってるんだけど、目標設定をして、プロセス設定、ステップを作っていくんですね、目標って。
例えば、オリンピックに出たい、ってなったらまず次の大会で優勝してとかステップがありますよね。これが2通りあるんです。
「バックキャスティング型」っていうのがある。
未来にゴールを置いたらバックキャスティングって後ろに投げるっていう意味だから、手前に戻ってくる思考パターンなんです。
オリンピックに出る、もしくは出た、ならば直前で代表選手に選ばれる必要がある。ならばその前に実績を積んでて、大会でいくつかの結果を出してる必要がある。
ならば、これぐらいの能力やこれぐらいのものができてて、で最初に必要なのは、って戻している感じなんですね。これがバックキャスティング型っていう。
で、「ステップ・バイ・ステップ型」っていうのは、手前から階段を積み上げるように考える人なんです。
なので、オリンピックに自分は出る、出たでもいい。オリンピックに出た、で、それが叶うとしたらこうだ。っていうのがバックステップ型。
オリンピックに出る、ならばまずは体力から備えていく、でいろいろ経験を積んでいく、まず大会で結果を出す、あとはメンタルを鍛える、って積み上げ型なんです。
だから、藤井さんが「バックキャスティング」の思考パターンの人だったら「(未来に)なった」にして、「どうしてかっていうと・・・」って、手前に戻してきて現在に戻ってくると、これは叶いやすいですね。
もし、「ステップ・バイ・ステップ型」だとすると「~になる。ならば最初にこうする、次にこうする」っていう「ステップ・バイ・ステップ型」のほうが有効かもしれない。
あとは、「なった」っていうのは「ビジュアライズ」ともいうんだけれど、映像にしていくんですね。なのでイメージを作り上げるのが得意な人は完了形。
でも、イメージが湧かない人っているんです。積み上げていかないとできない人は、未来完了形、「ビジュアライズ」とか「フューチャーペーシング」がちょっと苦手かもしれない。これもタイプですね。その人の性質。
僕たちコーチはそういうのを最初にヒアリングするんです。
クライアントさんがどういうタイプなのかに合わせて、「ビジュアライズ」とか「フューチャーぺーシング」を提案するのか、「ステップ・バイ・ステップ」で設計図を描くように積み上げていくのかは、相手によって変えていく。
イメージを鮮明に描いて、脳に認識させる
谷口:おもしろいのは、聞いた話だと、脳みそって時間の概念ないらしいよ。
「(未来に)なった」っていうイメージを鮮明に描けば描くほど、それは現実のものだというふうに認識するらしい。この辺は僕は脳科学者じゃないんで。
そうすると、「なった」っていうイメージを鮮明に描けば描くほど、それが現実なので脳にしてみると、それ以外のことはおかしいになる。それで叶いやすいと。
だから、その「なっている状態」が脳にとっては正しい状態なんで、「それ以外のものは正しくない」っていうふうに脳が認識すると、よりイメージしたものに自分を近づけようとする。「それ以外の自分がおかしい」になる。
こういう意味でも、そのイメージをまず作る、自分が出来上がってる状態にするっていうのは一つですね。
自分をだましてみることも・・・
谷口:あとね、自分をだます。
例えば僕、ちょいワルオヤジになりたいって思ってたんですね。イメージでそれは誰かっていうと、ジョージクルーニーとか岩城滉一なんです。
そのイメージを自分に植え付けると、その恰好をすると、それが自分をだましてる。
どうするかっていうと、ジョージクルーニーや岩城滉一が着そうな洋服を自分に着せて、自分はジョージクルーニーだと思うと自分をだましてるんですよ、いい意味で。そうするとより早くジョージクルーニーになる。
あと、よくいわれるのは、成功したければ成功者が持っているようなものを身につけるとか。
「それに自分がふさわしいんだ」っていうふうにイメトレができると、それが正解だからそれにふさわしくないものを排除する。で、より早くその自分になる。
だから、成功してる人が持つようなペンを持つとか、バックを持つとか、ジャケット一枚だけでいいのでジョージクルーニーが着そうなやつを着るとか、っていうのも有効だっていわれてるかな。
質問って何だっけ?これで答えになってるんだっけ?
── 大丈夫ですよ。その人の思考パターンに応じて使ったり、使いやすいものというか有効なものがあるっていうことですね。
谷口:イメージをすごい湧かすとか、イメージをするのが得意な人はいいですね、もう出来上がった状態をとことんイメージできる。
ただ、それが苦手な人がいます。どちらかというと思考で積み上げタイプの思考パターンの人は「なる。ならば・・・」っていう設計図、言葉まで作るように。
優位感覚に合わせる
谷口:もっとコーチングで優位感覚なんていうのもあるんです。どの感覚がズバ抜けてて鋭いかっていうやつ。
だから、例えばビジュアル、視覚優位っていうのはイメージすることはすごく得意。
言語優位感覚っていうのは言葉で紡いでいくのがすごく得意。
とかっていうのにも併せて、どっちの方が有効なのか?っていうのがある。
でね、聴覚優位の人っているんですよ。耳学習が得意な人。オーディオなんか聴くのがすごく自分が勉強するのにあってるっていう人なんです、オーディオ感覚。こういう人は映像じゃなくて自分が成功している音を作るんですよ。
── へぇ~、興味深い。
谷口:例えばオリンピックで金メダルを取りたいって思ってる人で、視覚の人はオリンピックシーンとか自分の優勝しているシーンを映像にしたり、パレードとかありますよね、メダリストの。
ああいうのをいつも見てるのは、すごく有効なんです。
ただ、音優位の人はその時の観客の歓声とかインタビューの声とか、あと優勝者のスピーチを聞いたりするっていうと、耳優位なんでその人は音で想像する。
だから、これも相手の特性によって違う。
だから、この藤井さんがどのパターンなのか、どの感覚が優位なのかに合わせて、過去形(完了形)、現在形とか、ビジュアル先に作る?、積み上げる?っていうのは選んだらいいかな?
それぞれの個性や特性に合わせよう!
この辺は、コーチングではテーラーメイドっていって、とにかくクライアントさんの個性や特性やパターンをちゃんとヒアリングして、それに合わせたコーチングをしていく。
だから「なりたい」っていうのはあまり有効じゃないけど、「なる」とか「なった」っていうのは両方有効です。
── この機会に自分はどういう方法が向いているか、有効かっていうのを確認してみるといいですね。
谷口:僕ね、ビジュアル、視覚系が強いんで。
だから、起業したての頃、そこから見えないんだけど、この辺にジョージクルーニーと岩城滉一の写真、今ここに貼ってありますよ(笑)
自分がこういったセミナーハウスを海外で作りたい!とか、そういう写真もここに全部貼ってある。
あとは起業した頃には、パソコンに自分の成功しているムービーを作った。音付けて。今そういうソフトがあるでしょ?ムービー作れるような。それをずっとパソコンの最初の画面にいれて、それを毎日見てたりしました。
── 谷口さんは視覚化で、未来のなりたい自分をイメージされるのが向いていらっしゃるっていうのがわかったんですが、
ということは、先ほどの「バックキャスティング」と「ステップ・バイ・ステップ」でいうと、「バックキャスティング」で組み立てていかれる方が多いですか?
谷口:両方できちゃうんです。でもどちらかっていうとバックキャスティングで目標設定してるかもしれないな。
なぜかっていうと、僕、日本でトップのコーチになりたいって最初掲げたんですね。
そのためには、マスターレベルの資格を取らなきゃいけない。そのためには、まず最初にプロフェッショナルを取って、最初にどうのこうのって、結構おろしてきたかな~。自分のこと。ちょっと思い出しましたよ。
── こんなふうに、みなさんそれぞれパターンというか得意な方法があるので、すごく興味深いですね。
谷口:だからね、コーチングでテーラーメイドっていうのは唯一絶対的な一つの正解があるんじゃなくて、クライアントさんが10人いたら10通りの成功方法があるっていうことです。だからみんな違うってこと。
ただ、パターンとして『こういう時にはこういう方が有効性が高い』っていうのを僕たちプロコーチは知っている。
── コーチングって深いしすごく魅力的ですね。
谷口:おもしろいでしょ?知れば知るほどおもしろいです!