【コーチングスキル】プロコーチのフィードバックとは?「4つのポイントを徹底解説」 #81
―― 今日は「フィードバック」についてです。
私自身、中々上手くフィードバックという方法を使いこなせていません。仕事関係者や家族に対してもそうなのですが、つい余計なことを言ってしまったり、逆に伝えるべきことを伝えられなかったりすることがよくあるのですが、
コーチングを学ばれていたり、プロコーチとして活躍されている方たちの中にもフィードバックについて、悩まれている方が少なからずいらっしゃると思います。
プロコーチとして、効果的なフィードバックをするためにはどんな視点を持ったり、どんな点に気を付けると良いのでしょうか?
谷口:フィードバックは、コーチングのスキルの中でも難易度は高いです。では少しかいつまんでいきましょう。
上手くできないっていうのは、日常や仕事の場面で、と言ってましたよね?
まず、前提として上達するには、フィードバックとフィードバックじゃないものを区別できるようになるといいですね。
フィードバックとそうでないものを区別する
谷口:日常とかいろんな場面で、フィードバックと言ってるんだけど実はフィードバックじゃないものが結構あるんですが、多分あなたが言ってるのはこういうことじゃないかなと思うんだけど。
本当はこうして欲しい、こうなって欲しい、なので相手に対して、フィードバック、情報を提供して、できれば変わって欲しい、みたいな前提でフィードバックをして上手くいかない、というケースのことを言ってるんじゃないかな?
―― あぁ、そういうこともよくあります。
谷口:今、すぐ反応したね。これはフィードバックじゃないですよ。
―― そうなんですか?
谷口:それはコントロールを目的としているでしょ?それをもし目的とするならば、それはアサーティブコミュニケーションなんです。
どういうことかというと、お互いの関係性を損なわない。つまり関係性は悪くならないように配慮しながら、相手にどうして欲しいのか、その要望をするスキルなんです。
これをアサーティブコミュニケーションと言います。それとフィードバックがごちゃ混ぜになってるんです。たぶん混じってるでしょ?
―― はい。
谷口:特に家族にというのは、ほとんどがフィードバックではなくアサーティブコミュニケーションです。もっとこうして欲しいんだけどとか、ここはこうやって欲しいんだけどって思うから何か言って、って言ってるんでしょ?
―― はい。
谷口:でも直接「何にやってんだよ!」というのは、それはなぁ、と思うからフィードバックっぽい形をしてるじゃないかな。そこが区別できてないんですね。
なので特に家族とか取引先とかはアサーティブコミュニケーション。要望する、主張する、それを関係性を崩さずに伝える。
例えばパートナーにいう時にはフィードバックじゃないですね。アサーティブコミュニケーション。
「僕たちはこうやってもっと豊かにお互い家が居心地がいい空間にしたいって二人、それは一緒だよね?」で、「君がこういう振る舞いを家でしてると僕はすごく家に居辛くなるから、そこはこうして欲しいんだけどどう思う?」みたいなのはアサーティブコミュニケーションといいます。
それを「うーん、なんかイライラするなぁ」みたいに思って、相手を変えようとしてるんでしょ?それを変えるって言うんですね。
コーチングでいうフィードバックは、あくまでも目標達成のために相手にとって必要な情報を相手に戻してあげること、がフィードバックです。
日常的に言うと、簡単に言うと、より良くなりたい、ですね。その時に使う種類に、相手に投げるボールにフィードバックがあります。これは情報をそのまま返す。
あとは「忠告」というのがある。こうしたらいいんじゃないの?みたいな。他に「批判」というのもある。それ止めた方がいいんじゃないの?とか。あと、「強制」というのもある。それ止めなよ、みたいな。ボールの種類が違うんです。それを区別できるようになるっていうのが、まずフィードバックがうまくなる方法の一つ。
フィードバックのポイントとは?
谷口:フィードバックにはポイントがいくつかあるんですけど、それを踏まえてするかしないかを選べればいいっていうのがあるかな。
例えば、まず、その情報は相手のゴールや目標やの目的達成に必要な情報かどうか、ですね。
例えばあなたが歩いて目的地に行こうとしてます。地図は持ってません。でも最初に何となく「こっちの方向だな」と思って歩きだしました。
日本の真ん中あたりに住んでいて、沖縄に歩いて行こうと思って、目的地に向かって歩き出しました。目的は「沖縄に何かを届ける」にしましょうか。その時に、洋服や持ち物についての情報というのは有益でしょうか?それともあんまり関係ないでしょうか?
―― 服装や持ち物は少し関係ありそうな気がします。
谷口:ありそうな感じ?もしかしたらあまり関係ないかもしれない。では、交通手段の情報は?
―― 有益だと思います。
谷口:次に歩いてる道の情報は?
―― それも有益だと思います。
谷口:OK。じゃあ方位は?
―― とても有益だと思います。
谷口:そういうことですね。では、「あなたの目標達成のために洋服についての情報を僕持ってるんだけど欲しい?」って聞きます。「欲しい」って言ってみてもらえますか?
―― 欲しいです。
谷口:うん。「Tシャツじゃなくてポロシャツの方がいいんじゃない?」は有益?
―― あまり有益じゃなさそうです。
谷口:ないですよね。では「どこに行くの?」
―― 沖縄です。
谷口:「沖縄なのね。今どっちに向かって歩いてるか、僕、あなたの方位がわかるんだけどその情報って必要?」
―― はい、ぜひお願いします。
谷口:「今歩いてる方向は北に向いてるよ!」有益?
―― 有益ですね。
谷口:そしたらそのまま歩き続ける?それとも行動変容起こす?
―― 方向を変えるのに行動変容はすると思います。
谷口:だよね!日本の真ん中に住んでいて、沖縄に行かなきゃいけないのに北向いてたら反対方向だもんね!
―― はい。
谷口:このように、目的に有益な情報かどうか、なんですね。
次に、今のように相手がその情報を欲しているかどうかなんです。必要としてるか。もしかしたら、コミットしてるかも知れないでしょ?「俺は人の手を借りずに絶対達成するんだ」と思ってたら、「何か情報必要?」と聞かれたら「いらない!俺は一人で行く!」って思うかもしれないよね。
いらないって思ってる人に「こうだよ!」と言うのは、余計なお世話ってことですね。それがまず2つ目です。目的やゴールに有益、有効な情報かどうか、沿っている情報かどうか。あと、相手がその情報を欲しているかどうか、です。
3つ目が、その情報で行動変容ができるかどうか、なんですね。例えば「もっと身長を伸ばしてから行った方が早く着くんじゃない?」みたいな情報は?
―― それはあまり有益ではないです。
谷口:できないでしょ?「今の方位」って言われたら行動変容は?
―― できますね。
谷口:できますよね。このように、自分でまず行動変容できるかってことです。
次に、その情報を生かすも殺すも、もらった人に自由権利があるんです。だから要らないっていうこともできるんです。簡単に言うと、「あぁ、その情報要らない」「取る」「取ったけど使わない」というのもある。その情報を使う、使わないも。
大抵この4つが有効なフィードバックのポイントなんです。
なので、「どこに向かってるんだっけ?おお、そうなのね。じゃあ僕傍から見てて、あなたの目的にすごく有益そうだなと思う情報を今持ってるんだけどそれって欲しい?」「あぁそうなんだ。あなたは今、北に向かって歩いてるよ!」
これは、ああしろ、こうしろって言ってないですよね。そして「あぁ、そうなんだね、どうぞ。あとはこの情報を自由に使うもどうぞ!」と言われる。こういうのが有効なフィードバック。
なので一つ最初の質問の答えとして、アサーティブコミュニケーション。相手に変えて欲しいとか、こうなって欲しいって思う前提でいうコミュニケーションをアサーティブコミュニケーション。
相手が目標達成のために、有益な情報を届けるのがフィードバック。その時には忠告や強制や批判や評価とは区別すること。
そして4つのポイントがあるんですね。
ゴールや目的に沿った情報であって、それによって行動変容が可能かどうか、もう一つ相手が必要としているかどうか、で、その情報を自由に使うも使わないもクライアントに自由の権利がある。
そんなところがフィードバックのポイントかな。