プロコーチはどんな本を読んでいるの? #39
── 今日は「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。
匿名希望さんからのご質問です。
いつも楽しく視聴させていただいています。
ありがとうございます。
質問です。
谷口さんは、どんな本を読まれていますか?
ずっと大切にされている本や、人生の指針となる本、こんなことを意識して本を選んでいる。
など、具体的な本を教えていただけると嬉しく思います。
よろしくお願いします。
というご質問です。どんな本を読まれているのか教えてください!
谷口:この質問を前もっていただいていたので、さっき本棚から選んでおきました。
「あぁ、そういえばあの時だったなー。」とか思いながら選んでおきましたので、ご紹介しようと思うんですが。
まず、35歳?くらいまではほとんど読まなかったです。
── 意外です!
谷口:漫画大好き人間です。
── 漫画派ですね。
谷口:漫画派でした。環境がそうだったからだと思うんですけど、私の母親は、床屋を経営していたんですね。イメージ沸きますかね?床屋さんの待合コーナーって、椅子がソファみたいにあって、そこに週刊漫画がいっぱい並んでるんです。
すると、母親の美容院にも並んでるわけです。僕の小学校時代はまだ紙だから。そうすると、毎日新しい週刊漫画が来るんですね、月曜日から金曜日まで。
学校から帰って来て、母親の床屋によると、必ず新しいマンガが読めるんです。毎日新しいマンガが読めたんです。僕の人生は漫画ばっかりでした。
本っていう本ですと、31歳でセールスマンになって住宅営業を始めました。
それから、30代後半になって、係長とか営業マネージャーとか、プレーヤーではなくマネジメントの仕事になった時に、やっぱり悩んだんですよ。
自分でやるのは簡単だけど、人にやってもらうっていうの大変だな。簡単に言うと、立場が変われば、悩みや課題に遭遇するわけですね。
そういう時は、今みたいにインターネットがないから、唯一の救いは、先輩か先人か周りの親か、本しかないわけですね。
そうすると、本屋に行く。今みたいにkindleとかないから。
目次
「本が引き寄せる」
そんな感覚を味わったことはありますか?
谷口:すると、人っておもしろいんですね。
悩みや課題があって本屋に行くと、「本が引き寄せる」みたいな感じ。
その時、最初に手に取ったのがこれですね。
「人を動かす」 D・カーネギー 著
谷口:やっぱり、部下とかお客さんはとかって、こういうのが引き寄せるわけですよ。悩んでるから、「上手くいかないな、どうするんだろう?」で、こうやって出会っていくんですね。
それから、D・カーネギーの本いっぱい読みました。それすごく参考になりました。
これを読んだおかげでセールスもよくなったし、セールスのヒントもあった、みたいな感じですね。
ある本との出会いが○○の概念を変えた
谷口:その次、40歳近くなると、家族がいろいろ変化したり、子どももある程度大きくなるし、自分の責任も重くなるし、未来のこともいろいろ考えてくるようになるしとか、いろいろ悩みが広がるわけですね。
子供だ、家族だ、お金だ、なんだかんだって。
そうすると、人生そのものについてちょっと悩んだり、悩むというかモヤモヤしてくるんだな、30代後半から40歳位に。
その時に、これに出会いました。
「7つの習慣」 スティーブン・R・コヴィー著
これは先輩からすすめられたんです。人生に悩むというか、どうしようかな?このままでいいのかなって思うんですよね、みたいな感じ。
その時にすごくよかったのは、これほとんど網羅されるって感じですね。よくいう、人生哲学じゃないな、自己啓発書みたいな。
それで、これをすごく気に入って、このセミナーに行ったんです。3日間のセミナー。初めて自分でお金を出して、勉強しにいったのがこのセミナー。
すごく影響を受けて、その時に時間の概念。
『時間の達人』を僕は書いている方ですけど、その時にすごく自分の指針になったのが、
「TQ(タイム・クエスト)」 ハイラム・W・スミス著
これは『時間の達人』の視聴者の方にお送りしているものですね。
これで、「あぁ、時間という概念はこうなんだ」って分かって。
それから僕、ずっとフランクリンコヴィ―社の時間の管理の手帳を使いだしたんです。ここからですね。
キャリアについて悩んだ時に出会った本たち
谷口:そうやって、悩みながらも進んでいくと、自分のキャリアについても悩みだすわけです。
充実はしている、それなりの立場にもなる、やりたいこともやる。
でも、なんかこう少し悶々とするんです。
このままでいいんだろうか?このまま終わっていいんだろうか?って悩んでると、そういう時にまた本屋いくわけです。
僕は営業だったので、結構チャンスがあったんですね。
営業マンって普段外に出るじゃないですか?ちょっと休憩しようかなと思って駅で降りると、大抵本屋さんがあって、プラプラプラプラ見て、なんか手に取ってそのまま喫茶店で休憩して読みながらみたいなのって結構ある。
その時に、やっぱり引き寄せるんですね。その時に引き寄せた物。
「巨泉ー人生の選択」 大橋 巨泉 著
巨泉さんが、自分の好きに生きてこそ人生。
だから、僕がちょっと窮屈感とか、会社に依存しているっていうか、なんか悩むんですね。
でも、この本読んだら、「大橋巨泉さんみたいな生き方いいな」ってロールモデルになってきた。「この人みたいな生き方をしたいなあ」って、これ引き寄せていって、今でも取ってあるんですね。
そうすると、大体こう思うじゃないですか。
仕事辞めようかなとか、変えようかなとか、何しようかなとか思って、その時に部下育成が上手くいかなくて、会社も子会社に移動し、そこでも楽しいんだけど、今度は自分のキャリアをどうしていこうかなって悩んでる時に、また本屋いったら、こんな本に出会った。
「30日でキャリアアップする本」 ゲイリー・グラボ 著
帯があるじゃないですか?「アメリカナンバーワンのキャリアアップコーチが」なんて書いてあって、こうやってフッと目に留まるわけですよ。
キャリアをこのまま続けていいんだろうかとか思って。で、ぱっと手に取ってこう見るじゃないですか?ペラペラぺらって、その時に、この裏表紙の帯に書いてあるやつね。
「あなたがもし、自分の能力を100%使いきっていないと感じているなら、思い切ってこの本を開いてほしい。きっとこれまで自分の中にくすぶっていた何かが爆発するはずだ。それこそがあなたが今まで気付きもしなかった自分の可能性なのだ。」
これドンピシャなんです。だから「引き寄せる」。不思議ですよ、あの何冊って本からフッと手に取るわけですね。
読み出して、「僕はコーチで生きていこう!」って思いました。それで、自分のキャリアチェンジを考え出したんです。
「選択」という言葉が目に留まった本
著者の人生が自分と重なったときに決断したこととは?
谷口:ただ、そうはいっても、その時は家庭もあるし、子どももいるし、立場もあるしで、キャリアチェンジしたいなって思いつつも、踏み切れないでいるっていうか、それでも一歩行動に移すためにはやっぱりすごい勇気がいるんですね。
その時に、また悶々として本屋に行くと、これに出会って、
「あなたに成功をもたらす人生の選択」 オグ・マンディーノ 著
これがすごかったのが、平積みじゃなかったんですね。棚に入ってると、これしか見えないじゃない?(背表紙)これが棚に入っていたのをすっと取ったわけですよ。
不思議だね。だって山のように棚に背表紙しか見えてないのが並んでるんですよ、こうやって。多分、「選択」っていう言葉で選んだ。
読んでみたらストーリーだったんです。
僕、このオグ・マンディーノという方に初めて出会ったんですね。
そしたら、自己啓発小説家で、この人も僕みたいに転職を何回かし、人生の紆余曲折もあり、セールスマンもやっていて、最後は自己啓発小説家で人生終わるんですね。
なんか重なっちゃうわけですよ、僕と。
バァーっと読んで、もう決めたと。自分の人生の責任は自分で負っていくと。やっぱり巨泉さんみたいになりたいんだと思って、会社を辞めるきっかけになった本。
それでコーチになったわけです。
── そうなんですね。
谷口:当時はこの文庫本しかなかったんです。
でも、人気が出て、今この単行本もできて素敵な本になってます。
ここから、オグ・マンディーノっていう人の「自己啓発小説」っていうのがすごく気に入って、例えば、オグ・マンディーノさんの、
「十二番目の天使」 オグ・マンディーノ 著
とか、彼の本の全部を集めることが僕の楽しみ。
それで、自己啓発小説っていうのがすごく好きで、そういうのいっぱい探したんです。これもいいです。
「アルケミスト」、「ホワンの物語」とか。
全部、自己啓発小説なんですよ。
ノウハウ本じゃなくて、小説を読んでいると、大事なことをそこで学ぶ、考えることができる、みたいなのが好きで、それが僕の「ザ・コーチ」シリーズ。
僕も自己啓発、小説で本を書きたいと思ったのはこれがきっかけ。
── そうやってつながってくるんですね。
谷口:全部つながって来る。本を書きたいっていう前提がある。
なので、時間のノウハウ本だったり、マネージメントだったり、目標の本だったり、コーチングの本だったり、僕の知識を増やすために、そこからよくいう「ビジネス本」っていうのを山のように読みました。
目標についてとか、時間についてとか、マネージメントについてとか、よくいうビジネス本をそこからは結構読んだんですが、ビジネス本って飽きるのも早いし、すぐ新しくなっちゃう。なので、最近はほとんど読まないですね。
小説がおすすめな理由とは?
谷口:最近は、よくいう小説、大衆小説みたいなの大好きです。
僕が好きなのは、直木賞にノミネートされて、直木賞を取った本。大衆小説ですね。
あとは、本屋大賞を取った本を結構読みます。書店さんがすすめる本。
僕は、小説や映画って結構いろんな人にすすめるんですね。小説や映画を、読んだり見たりしたらいいよって。
まず、小説って文字だけで、想像するじゃないですか?そのシーンだとか、場面だとか、音だとか、なんとか。すごく五感を刺激されるんですよね。
あと、自分の世界がすごく広がる。
なので、コーチやってる人なんかいいんじゃないかなと思います。
そんなところが今読んでいる本かな?
その時々の直感で出会える本がある
谷口:あとはこれね、これだけ取ってあったの。
「大人の流儀3 別れる力」 伊集院 静 著
── ちょっと違うジャンルの本が出てきましたね。
谷口:これはまさに、僕が2010年に母を看取り、2011年に父を看取り、2012年に前の妻を看取るといった、ちょうど別れが続いた時に、やっぱり本屋で出会うんですね。
裏表紙に書いてあるんです。
「別れは終わりではなく始まりである」
こういうの見ると、「そうだよな」って思って、読み出すんです。
今でこそ僕は、kindleで「直木賞」とか「本屋大賞」って検索して、おもしろそうだなって。
本屋さんにあんまりいかなくなっちゃったんですけど、本屋さんに行ったら、自分の直感を信じて。
多分、本が「あなたに必要なのは私よ」って言っている気がする。そうやって選ぶといいんじゃないかな。
答えになったかなこれ。
── おもしろいです。そうなんですね。
谷口さんの今を作ってきたものが、本屋さんで出会いがあって、その本が谷口さんの血肉になってきたっていうのが聞いてるだけでもわかります。そういう影響を受けてこられたんですね。
谷口:すごくいい質問でありがたかったです。
僕、バーっと本棚から抜いて、「あぁ、そうだった、そうだった。あの時あの本と会ったな、どこにあるかなー」って探していって、今日お話しする前に、全部初版何年かな?とか見てたんです。
そしたら、やっぱり僕のキャリアとおもしろいように重なっていくんですね、順番が。
「何年の時、俺あぁだった。確かに、何年の時にそういうことを考えてた。あぁ、この順番だったんだ」って並べ替えて。
── 本が歴史を作っているんですね。
谷口:そうそう、歴史でした。
その間、間に、ビジネス書が山のようにあるんだけど、それは全然記憶に残ってない。というか、引っ張り出さなかったですね。
── とても貴重なお話を今日も聞かせていただきありがとうございます。
今はどうしてもインターネット上で本を選ぶっていう方が増えていますけど、ちょっとモヤモヤしたり、これからどうしようかな?って悩み始めたら、本屋さんに行って、本にすっと惹きつけられるような体験をして、いい本と出会い、それをいいきっかけにしていく、そういうこともやってみるといいですね。
谷口:よかったです。