プロコーチは何の専門家? #130
―― 今日は、プロコーチは何の専門家なのか?というテーマで谷口コーチにお話を伺っていきたいと思います。
先日、谷口コーチの3日間のリアルセミナーコーチングブートキャンプに私も事務局として参加をさせていただき、本当に勉強になったんです。
この3日間という期間で、セミナーが進んでいくごとに、受講されてる皆さんのお顔がどんどん晴れやかになっていくというか、新しい発見や気付きがあったり、新しい知識やテクニックを得られていくだけじゃなくて、きっと、これからやるべきことや、スキルを磨いていく方向性とか、コーチとして進むべき未来が明確になって、なんだかワクワクされてるような、そんな感想を私持ったんですね。
参加者の皆さんも口々におっしゃってたのが、「やっぱり、リアルセミナー良いですね!」っていうのを皆さんおっしゃってたんですけど、本当にリアルセミナー良かったですよね!
リアルセミナーのメリット
谷口:そうですね。今、ハイブリッドになってるでしょ。オンラインが効果的なものと、リアルが効果的なもの。
だから両方うまく使いこなせば良いと思っているんですけど、学習と勉強の違いだと思ってます。
もしくは、情報伝達なのか、そこで何かを作り上げるのか。
情報伝達だけだったら、オンラインでいいでしょ。何かを伝えるとか、情報を届ける。
でも、「何かを一緒に創造していく」でいったら、多分、集まって皆でワイワイ、ガヤガヤ会議やったりとか。僕だったら、一杯飲みながら喋った方が何か新しいものが生まれたりとか。
「何の目的でその時間を過ごすか?」によって使い分ければいいと思うんだけど。
僕がこの前言ったのは、「コーチングの学習」ですよね、学習って、新たな能力を備えることだから、勉強とは違う。
勉強は理解したり、覚えたりすること。能力を備えることとは別でしょ?
能力を揃えるのは、やっぱり集まってリアルで、そこで学習した方がいい。
理由はいくつかあって、「学習の優位感覚」って僕たちあるんだけど。ものを覚えるときに、どの感覚を特に多く、優位に使ってるか?
「知覚系」っていうのは、見て覚える、見てできるようになってくると。
「聴覚系」っていうのは、フムフムと聞きながら「なるほどな!」みたいなって、覚えると。
「言語優位型」っていうのは、自分でノートにまとめてみたり、それを誰かに言葉で説明したりすると、よく覚える。
「触覚系」っていうのは、肌で感じて覚えるみたいな、やって覚えるみたいな。
これが全部会場にあるのが、僕はリアルな学習の場だと。
面白いのが聴覚系の人、聞いて覚える人ね。リアルでやってると、会場の想像できます?ペアワークでやってるでしょ。自分は目の前のペアと、ロールプレイとかエクササイズ、コーチングの練習しますよね。で、目の前の人の話聞いてるじゃないですか。
でも、耳って、会場内の他のペアの声って聞こえてこないですか?
―― ああ、聞こえます!
谷口:聞こえるよね?
あれ、無意識で同じような言い方でコーチングする人、時々いない?会場の中で聞こえたことをコピーしちゃうみたいな。
これ、ミラーニューロンって言うんだけど、これがZoomだと無いんですよ。
(Zoomだと)他の所のグループの声って聞こえないから、そうすると、場の中で色々交わされてることが耳から入ったり、目から入ったりするんだけど、これがZoomだとできない。
なので、そういった意味でも、場の効果っていうのはリアルの方が圧倒的に多いですね。
それと、芝居とテレビ。音楽で言っても、スピーカーから流れるのと、オーケストラのホールで聞くのって違わない?
―― 違いますね!
谷口:全然違いますよね。あれ、空気振動してるじゃないですか。触覚とか、ゾワゾワっときたりとか。
目の前で(コーチングの)ロールプレイを見せてもらうと、当事者じゃないのに、自分も見てながら、ちょっと緊張したりとか、ワクワクしたりするのないですか?
―― あります。
谷口:ありますよね。ああいうのがリアルの会場にあるので。学習効果でいったら100倍ぐらい違うんじゃないかな?
だから、みんなお金と時間を使って、セミナー会場に集まってくるんだね。そして、それ以上の価値があるって、みんな声に出してくれて帰っていくわけでしょ。
だから、何か覚えたい、学習したい時には、労を惜しまず出向いたり、時間を割いたり、移動したりしてもいいんじゃないかなと思いますよ。
―― ありがとうございます。
そして、今回のコーチングブートキャンプでも改めて感じたのが、谷口コーチが言葉の曖昧さを正して具体化して、明確に定義付けられることの重要性なんです。
例えば、プレコーチングで行う「ゴール設定」とか「目標設定」なんですけども、谷口コーチは「効果的なゴール設定」、「効果的な目標設定」という言い方をされています。
ゴール設定とか目標設定っていうのは、よく曖昧になってしまうと。曖昧な部分をさらに明確にして、より効果的なゴール設定や目標設定を行うことの重要性を教えていただいたんですけども。
その時に谷口コーチは、プロコーチは「効果的なゴール設定を行うことができる専門家である」ともおっしゃってましたよね?
谷口:はいはい。「ゴール設定や目標設定」って言った時と、「効果的なゴール設定や目標設定」。ちょっと意味違いますよね?
―― ちょっと意味違います。
プロコーチの「適当」「効果的」とは?
谷口:もっといい言葉を加えるとしたら、「適当で効果的なゴール設定」なんです。
これをもう少し本当の意味に、元に戻すというか、そうすると、「適当」っていうのは、「その人に合った」って意味なんです。人によって違うじゃないですか。
この前さ、ブードキャンプで面白かったよね? ゴールまで、一年大体かかりますって。「今からゴールを見上げると、そこに何段の階段が見えますか?」って僕聞いたら、人によって全然違うでしょ?
―― 全然違いましたね。(笑)
谷口:3段っていう人もいたし、、10段っていう人もいたし、50段っていう人がいました。
っていうことは、3つぐらいのマイルストーンを置く方が、その人にとっては適当なんです。
50段って言った人には、もっと細かいマイルストーンを置いた方が適当なんです。これが「その人に合った」ってやつですね。これは全然人によって違います。
次、「効果的」。効果って意味は、「ある程度期待される結果を望んだ目標設定」ってことね。ただの目標設定じゃないです。
ある期待する結果を見越して目標設定をするって意味なんですよね。
じゃあ、その期待される結果って何か?っていうと、「成長」なんです。
だから、成長の伴わない目標設定っていうのは、コーチングでは使わない。
ただの、「売り上げが○○」っていうのは、それが成長を伴うのか?っていうのが僕は重要だと思うんですね。
だから、会社でもそうなんですよ。ただの目標設定をするから、みんな絵に描いた餅になっちゃうし、そこに魂は入らないし、人によって楽勝だと思う人もいれば、すごい大変だと思う人もいるでしょ。
よく会社で目標設定面談とかやると、適当で効果的な目標設定面談になってないんですよ。ただの目標設定になってる。
だから、僕たちはプロなんで、テーラーメイドって言うんですけど、適当、相手に会った、尚且つ、期待通りの成長という結果が見込めるゴールを最適に設定するのが僕たちだと思ってるんですよね。
だからやっぱりなんかやっぱり言葉って丁寧に扱った方がいいなと僕はすごく思ってるんですよ。だから、それ拾ってくれて嬉しい。すごく。
―― ありがとうございます。
そして今日の、「プロコーチは何の専門家なのか?」というテーマについて、谷口コーチからより詳しくお話を伺ってみたいと思ったのも、そのコーチングブートキャンプで、今のようにコーチングスキルやコーチングプロセスの曖昧な部分を明確にされて、さらに、誰もが再現できるようにされていたからなんですけども。
「プロコーチは一体何をしてくれる人なの?」という問いに対して、曖昧な定義とか、曖昧な答えしか持たれてない方っていうのは、実は案外多いかもしれないと思ったんです。
谷口:多いね・・・。伴奏者とか言う人いますもんね。よくわかんないんだけど。
―― きっと、プロコーチとか、コーチっていう言葉の中にも、人によって様々な定義があると思うんですけれども。
今日のザ・コーチTVをご視聴いただくことで、視聴者の皆さんが、ご自身の専門性について改めて考えるきっかけになればと思って、今回のテーマを選ばせていただきました。
そして、谷口コーチが「コーチは効果的なゴール設定を行うことができる専門家である。」とおっしゃったので、それがすごくわかりやすいなと思い、衝撃を受けたので、今日は、このプロコーチを要素分解して、「コーチは○○の専門家である」というふうに定義をするとしたら、先日おっしゃったような、適当で効果的なゴール設定の専門家以外に、どんな専門家と定義できるのか?をぜひ教えていただけませんでしょうか。
「専門性」と「得意分野」の区別
谷口:面白いですね。今の話の中でも、ちょっと区別したところがいいなと思うセンテンスが1個あったので、ちょっと区別しようと思うんですけど。
「専門性」っていう言い方をしたんですよ。専門性と得意分野がごちゃごちゃになってる人がいるかもしれないですね。
だから僕はセールスについて専門性とか専門家っていうよりも、セールス分野の事柄が得意だという言い方、得意分野だと思うね。
専門家っていうのは、まさにその領域についてスキルや知識やツールを持っているのを専門家。っていうふうにいきましょう。
なので、「プロコーチは○○の専門家である」と。で、それは全員のプロコーチに共通している。
その専門性を最大発揮する得意分野は僕はマーケティングなんですとか、僕はセールスなんですとか、僕は医療なんですとか、僕は何々だっていうのは得意分野。
で、専門性は全プロコーチは一緒。っていう風に、ちょっと区別していきましょう。
「コーチは○○の専門家である」
谷口:そうすると、ICF国際コーチング連盟のコアコンピタンシーの「コーチングとは?」っていうのは、「思考を刺激する」で、その思考を刺激し続けて、創造的なプロセスを通じる。
だから、単発じゃないってことですね、プロセスだから。
僕だったら、もう何年も契約続けてる人がいるから、ずっとプロセスの進行形。劇的で創造的な思考を刺激して、創造的なプロセスを続けてるんです。
クライアント自身の可能性、もちろんコーチもだと思うんですけど、「公私共に仕事もプライベートも共にその場所で最大化させる。」っていうふうに書いてある。そのパートナーシップをいうんだと。
だからまず、思考を刺激する。ここになんか専門家のヒントありそうですよね?「どうやって思考刺激すんですか?」みたいな。
で、次に創造的。ここにもヒントありそうですね。
あと、プロセス。プロセスっていうのはこうingだから。ここにもあるでしょ?
次、公私っていう分野。ってことは、仕事だけじゃないってことです。
なんかね、この文章に何の専門家のヒントがいっぱいあるような気がする。
じゃあまず何の専門家?ということです。
いっぱいあるんですけど、例えば、「豊かですごい幸せな人生を作り出すことの専門家」でもある。
人によって違うよ。何が豊かで幸せかっていうのは違うけど、例えば、もうほんとにはるかに理想的な未来に向かって、それを思い描き、想像し、計画し、それを行動に移すっていうことを、多分すごく専門性を持ってると。そのために「効果的なゴール設定をできるっていう専門家」でもあるんですね。
さらにプロセスでしょ。っていうことは、行動促進。それも、「成長につながる行動促進の専門家」でもある。
だから僕は、行動が伴わない、変容しない、促進しないコーチングはコーチングじゃないって。
だからよく言うんですよ。「もうコーチと話してスッキリしました!」「で?」って思う。
「もう何かアクション起こしたの?」っていう。それで何もなければ、ただスッキリしておしまい。
だから、カタルシス効果だけで終わっちゃうもんね。
行動が変容するとか、促進する、それは成長を目的とするんですよ。っていうことの専門家でもあると思います。
あとは、そうだな、それを続けていくと、「成功習慣の専門家」でもあると。
単発のアクションを起こすんですけど、それを僕たちはリソースって言うんですけど、自分の資産にしていくわけですね。経験という資産にしていくんですけど、それをやっていくと、こうするとこうなるんだなっていうのがわかってくるじゃないですか。
てことは、こういうことを繰り返し続けていけば、往々にしてこうなるっていうのがわかってきます。
で、それを習慣っていうんですよね。で、習慣って2つあって、考え方の習慣ってありますよね。
物事を好意的にすごく受け取るっていう。何があってもラッキーって考えるのか、チャンスって考えるのか、ピンチって考えるのか、考え方の習慣。
次に、行動習慣ってあるね。昔でいったら早起きは3本の徳。あと、運動を続けているとか、そういった「成功習慣の専門家」だと思います。
あとは、さっき言った公私ともに最大化させるために、僕、絶対重要だなと思うのは、管理能力なんですけど、自分が本当にやりたいことをする「時間管理能力の専門家」。
大抵、自分が本当にやりたいことじゃなくて、人生が消耗していく人って、人に時間を奪われるんですよ。
でも、本当にやりたい人って、人から自分の時間をブロックして奪われないようにする能力があるのと、重要な項目から自分の人生の中にブロックを置いていく能力ってあるんですね。
こういうのを知ってるから、クライアントにその管理能力、特に時間管理能力ですね、を備えさせることもできると思う。
あとは、「ライフバランスを整える専門家」でもあります。
仕事、あとは家庭とか人間関係、お金、健康、環境あとは余暇とかチャージ。これがバランスよく整ってると、人生は非常に豊かで刺激的で創造的になるんですけど、
うまくいかないっていうのは、仕事はすごくいいけど、家庭ボロボロみたいなやつで、すんごい儲けたけど、逆に言うとお金の使い方を間違って、最後は破産しておしまいみたいな。儲けて、健康を害するみたいな。なので、このバランスを整えるのも僕は専門家だと思ってるんですね。
そのことに関する全部のプロ、専門家としての知識や、能力やツールを持ってるから、プロコーチなんです。
それを使って、何々の分野が得意ですよ。だって、セールスマンだって全部関係するよね。人生はあるし、多分、家庭もあるし、余暇もある、変更もあるし、会社の経営者だってありますよね、スポーツの選手だってあるし。
だから、さっきいった効果的な、適当で効果的なゴール設定の専門家でもありますし、簡単に言うと、「時間管理の専門家」でもありますし、あとは、「習慣を作る専門家」でもありますし、計画力、実行力の専門家でもありますし、「バランスを整える専門家」。
それをなんでやってるかっていうと、主にコミュニケーションっていう道具を使ってるので、「コミュニケーションの専門家」っていう言い方もできるかもしれない。
それをやるためにもっと必要で言ったら、自己認知ですよね。自分のことをどれだけ理解して知っているか。で、それを「セルフイメージを高めることの専門家」でもあると。
だから、もう何の専門家っていったら、結構多岐に渡るんですけど、それを全部知っていて、理解していて、更にそれを道具として持っていて、それを使いこなす能力を備えてるからプロコーチ。
ただ、得意分野は経営者ですよとか、病院ですよっていうのはあると思いますけど、そういう専門家だと思います。
で、僕、本当に言ったらプロコーチっていうのは、その体現者であってほしいと思ってるんです。身をもって、それを証明してるとか示している。
それで、できれば、それを今度人に教えることができますもんね。次世代のプロコーチとか。だから、指導者であり、自分と同じ道を歩む後輩っていうか、後から来る人のメンターである。
だから、ただ話を聞くのがプロコーチじゃないと思うんだけど、あくまで僕の考えね。
さっき言った、思考を刺激し続けて、創造的なプロセスを通じて、クライアント自身の公私共にその可能性を最大化させる。そのコーチとクライアントの関係性をコーチングというんだと。
ここの一文に集約されてるような気がする。これが、僕が思うプロコーチとは○○の専門家っていう考え方。