自分のやりたいことが違うと気づいて悩んでいます #31
── 今日は、「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えていただきたいと思います。
まめこさんからのご質問です。
谷口さん、こんにちは。
私はここ数年、「自分のやりたいことはこれだ!」と、これまで突き進んでいたゴールがあり、
そのゴールを小さな形で実現してみました。
そしたら、そんなにやりたいことではなかったことに気が付きました。
そして、今進むべき方向性が分からなくなっています。
新しいゴールを見つけたいと思い、色々と試しているのですが、すぐには見つからないです。
これまでやってきていたことへの気持ちの整理だったり、新しいチャレンジに向けて何かご意見いただけると幸いです。
よろしくお願いします。
というご質問です。
谷口:まめこさん、すごく行動力、実行力がありそうですね。やりたいことがあると思ったらそれをとにかく実行してみて、そしてどうも違うっていうのが分かる。
まず、こういう体質だっていうのことを、まめこさん自身が自分のことを認めて、褒めてあげていいんじゃないかな。
多くの人は、なかなか行動に移せなくて、「やりたいことが出来ません、やりたいことが見つかりません、」って言ってるんだけどね。
僕は、あくまでも、質問してくれた文章からしか推察できないんだけど、「やりたいことをやってきました」っていう文章があったかな?
── 『ここ数年で、自分のやりたいことはこれだ、と見つけて、突き進んでいたゴールがあって、そのゴールを小さな形で実現してみました。』とあります。
谷口:すばらしい。
── そのうえで、やりたいことだと思っていことが、そんなにやりたいことではなかったと気づいた。いまどう進むか方向性が分からなくなっているということですね。
谷口:「やりたいこと」という単語がいくつか並びましたね。こういうのも、文章だけ見ると、視野が狭くなっているように思うんですね。
僕たちコーチは、とにかく答えは与えられないけど、クライアントさんが答えを見つけられるようにするんだけど、「やりたいこと、やりたいこと」って、今何回か繰り返してますね?
もし、僕がまめこさんに言うとしたら、「それは、好きなことなのか?得意なことなのか?それによって、なりたい自分になれることなのか?」ということです。
そうすると、もう少し広がりますよね?
目次
自分の「やりたいこと」をいろんな視点で考える
谷口:僕はよく「Don’t think、feel」って、「あまり考えないで感じて行動した方が良いよ」って言うんですけど、
「やりたいこと、やりたいこと」って言ってるまめこさんは、feelの割合が高いのか、thinkの割合が高いのかっていうと、thinkの割合が高そうな感じにこの文章から伝わってくるんだけどなぁ。
考えて悩んでるんじゃないのかな?っていう気がする。まずそれが一つですね。
とにかく、僕がコーチするとしたら、やりたいは「to do」ですよね。あとは、「to want」「to have」とか「to be」とかあるんですね。
「なりたい」とか「持ちたい」とか。そういうのをいろいろ考えてみる。「なりたい状態」=「to be」とは、どういう状態なのか?
「やりたい、したい」が、なりたいのか?持ちたいのか?好きなことなのか?いろんな視点で明確にしていくんです。
多分、まめこさんは、いろいろこれがやりたいことだと思って悩んできたんだと思うんですね。
この状態をどう捉えるかなんだけど、僕は、良しとしてほしい、とリクエストします。
なぜかっていうと、分かったんでしょ?試したから。
分からないよりわかった方が良いですよ。
それで、今みたいに、好きなんですか?とか、それによってどうなりたいんですか?本当はどうなりたかったんですか?とか、いろいろ質問して、本人が感じたり本当に思っていることを言語化してもらう。
僕が、まめこさんをコーチしているとしたら、机の上に材料をいっぱい並べるということをやります。
好きなことを仕事にすると?
余談なんですけど、結構「好き」って大事です。「それ好き?」って聞くんです。
なぜかというと、自分のやりたいこととか、本当のある意味わがままに自分で生きていこうと思うと、僕の考えだけど、すごく努力が必要だと思うんです。
だって、プロ野球選手になりたいって言って、適当に野球練習しててもなれないもんね。
なぜ「好き」が大事かって言うと、好きだから寝食を忘れて没頭できるんです。普通の人は「なんでそんなに練習するんですか?」って言うけれど、本人は全然苦労じゃないんです。好きなことやってるから。
なぜかっていうと、傍から見てる人は嫌いなことで収入を得ているから、なるべく努力や我慢はしたくないけど、好きなことを仕事にする人っていうことは、仕事が苦行でも何でもない。好きなことやってるんですよ。
だから、なぜ「好き」が大事かって言うと、そのことに没頭できるでしょ?全ての時間を費やせるでしょ?ちょっと努力を強いられても頑張れるでしょ?だから好きなことで食べていけるんですよ。
だって、中途半端に料理ができるって言っても、プロにはなれないです。主婦の方でも大好きで、どうしたら手抜きで食べられるのかしら?って考えてるだけで楽しい、みたいなね。
どうしたらキャラ弁子どもが喜ぶかしら?っていうのも、それが大好きなんです。
よくキャラ弁とかテレビに出てくるじゃないですか?僕絶対、「こんな面倒くさいことよくやるな」って思いますよ。でも本人は大好きなんでしょうね。
だから、面倒くさいって思わないんです。楽しそうに作るんじゃないですか?でも傍から見ると「こんな面倒くさい弁当・・・」って思う。
これと一緒で、まめこさんも、今の「やりたいこと」って本当に大好きなことなのか?って思って、この「好き」っていう感覚で、今やりたいをthinkで考えるとしたら、チャレンジできる人なんで、
いろいろもう一回、これは好きかな?面白いかな?楽しいかな?夢中になれるかな?っていう、そのアンテナで探すっていうのを一つお勧めしますね。これが一つ。
あと、このまめこさんは、いろいろやってきたのかな?
── 言葉としては、『やりたいと思っていたことをゴールとして、それを小さな形で実現してみた』と、「小さな形で」という表現をされています。
谷口:これはあくまでも、コーチというより僕の体験談なんですけど、僕もまめこさん体質かな?「やりたい!」と思うとやるんですね。
「やりたい、やってみた、違うな」
その繰り返しの先に見えてくるものとは?
谷口:僕は、最初に世の中に出た時には「ケーキ屋さんやりたい」って思ったから、調理師学校に行って、洋菓子を習って、ケーキ屋さんに勤める。
でも、実態は違うわけですよ。花のパティシエみたいなのはない。中に入ったら肉体労働みたいでした。「どうも思っているのと違う」と。それで若いときは甲斐性なしですぐに辞めちゃって。
そうすると今度は、「避暑地のレストランで働くっていうのをやってみたい」って思って、軽井沢でウェイターやったり、「バーテン格好いいな」ってバーデンやってみたり。
今度は僕が若い時、ペンションブームというのがあったんですね。「ペンションのオーナーとかってなんか格好いいな~。若い子いっぱい遊びに来るし」みたいな。でもまたペンションに勤めると、「どうも違うな・・・」って。
今度は「海外に行ってみたい」って思って、じゃあ「旅行の添乗員やってみよう」ってやってみた。でもやっぱり実態は違うわけですよ。もう大変だから、旅行の添乗員って。「これは大変だな。違うな。」て。
だから、「やりたい、やってみた、違うな」、「やりたい、やってみた、違うな」をずっと繰り返してきて、旅行の添乗員やって、すかいらーくで外食産業に入って、そこから営業マンで住宅のセールスをやって、リフォームやって、コーチングの勉強して、「あっこれだ!」って思った。
その時僕は思ったんです。「ザ・コーチ2」のあとがきにも書きましたが、『みにくいアヒルの子』の話を書いてるんですけど、この童話を書いたアンデルセンもそうなんですって。やりたいことやって、違うな、違うなと思って、それでたどり着いたのが童話作家なんです。
「あっ俺、アンデルセンと一緒だ!」と思ったんですね。
やりたいやりたいやりたい、違うな違うなで、やっと43歳の時に「あっ、これだ!」と思ったんです。
その時に「Don’t think」はゼロではないですよ。全部考えていないわけではない。
でも、わりとよくいう感覚で「これだ!」と思ってやったんですが、でも、あとあと振り返ると、今までやってきたことに何か共通点があるんです。
実はそこに、自分の価値観の、何かヒントがあるんです。
僕はそれを見つけたんだけど、一緒に考えてもらってもいいですか?
自分が選んできたことの共通点、そこにヒントがある!
谷口:僕は今まで、ケーキ職人、ペンションのオーナー、レストラン、バーテン、旅行の添乗員、外食産業のレストラン、住宅メーカーのセールスマン、コーチ、あとは、そこで営業マネージャーっていうのもやりました。
何か、ちょっと傾向ってないですか?
── そうですね。確かに谷口さんがされてきた職業は、まず事務職のように、ずっと机に座っているような仕事は全然入ってないですね。
谷口:工場のラインとかにも立ってないよね。試験管で何か作っているわけでもないですね。
── 人と接するのがお好きなんだろうなっていうふうに思いました。
谷口:そう思うでしょ?だからやっぱり、やりたいっていう気持ちでただ選んだんだけど、やっぱりやりたくないものを選んでないんですね。
── 逆に言うとそういうことですね。
谷口:ふっと見て、全部エンドユーザーというか、目の前に人がいたっていうのがわかります。
でも、中には職業に、目の前にエンジンだとか、車だとか、その先に人がいるけど、目の前には機械とか、そういうのが楽しい人もいますよね?
数字が楽しい、コンピュータ―が楽しいとか、畑が楽しい、目の前にはトマトだ、とかみたいな人もいる。
「俺、トマトじゃなかったしな、エンジンでもないしな、科学でもないしな、あっ目の前に人がいた。」だから、全部エンドユーザーだったっていうのが一つです。
それと、その人と共に何かを作ってるんですね。
例えば、ケーキも創造ですよね、物を作ってるでしょ?ペンションとか旅も、旅を作ってる。住宅も、住まいを一緒に作ってる。何かを、目の前の人と共に作ることをやっているっていうのも一つ。
そこに、目の前の、例えば食事とかケーキを作ったら、おいしかったとか、ありがとうとか、喜んでほしいというのがあるんですね。
旅もそうなんですよ。僕の一番大好きな旅のシーンって、到着の空港なんです。(団体旅行って) 行った先でハプニングがあって、トラブルがあって、大変なんですね。
昔の旅行って面白いんですけど、滅多に旅行なんか行けないから、海外から成田に帰ってくると、みんな拍手するんです。「ワーッ!」って。「着いたんだよ~」って。「帰ってきたー!」って言って。もう飛行機が着いたとたんに拍手、「わー!」って。
だから、みんなでドラマを作って、エンドロールが流れるわけですよ。そうすると、みんな「谷口さん良かったよ」とか、「また行こうね」みたいに拍手して、「家に着くまでが旅行ですからね!」って見送った、終わりの空港が大好きでした。空港はとにかく到着ロビーの方がドラマがある。
っていうのが好きで、旅もそうだし、住宅も、僕はミサワホームで仕事をしていましたけど、住宅って、どの営業マンと一緒に住まいづくりをするかが一番大事だと僕は思うんです。
ここはちょっと自慢話。どのセールスマンより僕と家づくりをすることがベストだと思いますって言ってました。
だから、メーカーじゃなかったんです。それで一緒に作って、上棟式とか、着工、地鎮祭、上棟式、完工式、お引き渡しとかっていう、その時に、お施主さんが「谷口さんいい家出来たね」っていわれるのが一番うれしかったです。
だから、共通点あるなって思ったんです。それで辿っていって、僕が本当にやりたいことは、何かモノを作り出す創造、クリエイティビティですね。
一緒に作り上げていって、それによって貢献し、影響し、っていうのが僕の価値観で見つかっていったんです。最後はそれに自由が加わったんですけどね。
だから、コーチはクライアントと一緒に人生をデザインしている。「あっこれだー!」みたいな、よく言う「天職」みたいな。
だから、まめこさんも、自分がこれまで結構thinkで考えて選んでるかもしれないけど、わりと直感的に選ぶことが出来そうだと思うんです。
自分が、今までいろいろ選んできたことの共通点は何だろうか?っていうのを探求して探していくと、また次の、自分が本当に望んでいる未来が見えてくるかも知れないかな。
なので、もし僕がアドバイスするとしたら、自分が過去に選んでやってきたことの何か共通点はないかちょっと探してみると、次のヒントが見つかりますっていうのと、
やりたいは=to doだから、なりたいとか、本当に好きなことは何かとか、そういうのでちょっとアンテナを増やしてみるのもいいんじゃないですか?っていうことです。
「好き」という感覚を大事にしよう!
谷口:やっぱり好きなことをやる。
よく僕はブランディングでも、「好きなこと」と「やりたいこと」「得意なこと」が重なると結構いいですよ、みたいな言い方をするんですけどね。
でも、一番大事なのは「好き」だと思う。
なぜか?寝食を忘れて没頭するぐらい、それを全力でやれるからっていう感覚で選んでみたら良いんじゃないかなと思う。
これ答えになってるかな?
── ばっちりだと思います。まめこさんは、今までいろいろ試してきて、それで今すぐには見つからないなーっていうのをご自身で感じてらっしゃるので、大丈夫ですよね。先輩として谷口コーチもいらっしゃいますし、ひいてはアンデルセンもね!
谷口:アンデルセンも見つからなかったんだから(笑)。
── アンデルセン、谷口コーチと共に同じような道をしっかり自分の行動で進んでらっしゃるので、どんどん新しいチャレンジをしていただけそうですね。楽しみです。
谷口:ずっと、考えて、悩んで、時間をおもむろに浪費するより、直観を信じて、とりあえず試してみて、で違ったって思ったら次、試せるじゃないですか。
でも、どうかな?って悩んでいてもそれは検証もできないからね。
だから、まめこさん、いっぱいチャレンジして、いっぱい試して、その中から共通点は何だろう?って見つけていって、最後、これは本当に大好きかなって問いかけてみてYESだったら、それがあなたの天職になるかも!
── 今後も楽しみですね、まめこさん。
谷口:楽しみです!