嫌な上司の克服法 #26
── 今日も視聴者の方からいただいたご質問に、谷口さんにお答えいただきたいと思います。
田島さんからのご質問です。
ドリームキラーもさることながら、苦手な相手がいます。
それは私を無視する人です。
気にしなければいいと思うものの、あからさまに無視されると苛立ちを覚えます。
私が、仕事で成果をあげると、それがあからさまになります。
仕事に取り組んで結果を出すたびにどんどんその傾向が強くなります。
その人は上司だけに、私が無視には無視に返すわけにはいかず、グッと耐えてスルーしています。
何事もなかったように話しかけて仕事をします。
このように承認してくれない相手にはどう対応したらよいのでしょうか?
どう考えたらよいのでしょうか?
というご質問でした。谷口さん、ぜひアドバイスお願いします。
目次
ステークホルダーとの関係性を改善するには?
谷口:コーチをしていると、このいろんなステークホルダーとの関係性の改善ってよくテーマに出るんです。
ステークホルダー(stakeholder)=利害関係者のことです。
関係性の改善なのか、解消なのか、いろいろあるんです。
例えば、コーチをしているとクライアントさんにステークホルダーリストっていうのを出してもらうんです。
あなたの夢や目標達成のための利害関係者って誰ですか?
そうすると、往々にして結婚されている方はパートナー。だって、その人が応援してくれるか反対するかによって変わっちゃう。でしょ?
家族だったりが代表的ですし、会社だったら例えば上司だったり、お客さんだったり、いろんな人がいるんですね、ステークホルダー、利害関係者。
改善か?解消か?その関係を解消した方が早いっていうのがあるんです。
よくあるのが、僕は結婚も離婚もすごい勧めるんですけど、ずっと我慢してエネルギーを奪われながら夫婦生活やるより、改善するか解消するか選んだ方が良くないですか?
今のまま保留にするのが一番うまくいかないです。
だから、コーチングしていると、その関係性を改善する努力をするか、解消しようとする努力をするか。
解消する方がエネルギー要りますね。結婚より離婚のほうがエネルギー要るからね。
この人にとっての夢や目標の達成や実現のための、この上司っていうのは、ステークホルダーになるんですね。
今の状態を聞いていると、多分エネルギーを奪われてる感じがするね。
── そうですね。
谷口:気になるって。でいうと、まず一つ、解消するのか、改善するのか。
まあ大体最初に取り組むのが、「改善」でいきましょう。まずコーチをやっていると、必ず僕たちコーチは、そのテーマややろうとしてることを明確にするんですけど、コントロールできるかできないかだから。
コントロールできること、できないことを区別する
谷口:コントロールできないものをコントロールしようとすることって、すごいエネルギーや意識を要求するんですよ。
例えば夫婦でいきましょうか?
パートナーをコントロールできないですよ。
でも、もっとこうしてくれたら、ああしてくれたら、ここを直してくれたらっていうのは、ステークホルダーをコントロールしようとしているんです。
これが区別できないと、話題は、なんでああしてくれない?なんでこうしてくれない?になるんです。そうすると、無駄の循環に入っちゃう。
夢や目標を実現するためには、コントロールできることと、コントロールできないことをまず区別する。
で、区別して、コントロールできないものは、諦める。でも、コントロールできるものはそこに集中してコントロールする。
コントロールできることに集中する
谷口:まあ、昔からそういう名言があるんですけどね。
コントロールできるものと、コントロールできないものを区別できる英知を与えて、コントロールできないものを手放す心と、コントロールできるものをコントロールする勇気を私に与え給え、みたいな神学者の言葉ってあるんです。
昔から、上手くいっている人はそういうことやってるんです。
ちなみに天気ってコントロールできる?
── できないです。
谷口:できないものは悩んでもしょうがない。
でも、ずっと雨が続いてて、不快だと思ったら自分が晴れているところに移動することはできますよね?
それが、ずっと自分のエネルギーを奪うんだったら、晴天率の高いところに引っ越すこともできますよね?
雨が続いて雨が憂鬱だとしたら、雨はコントロールできないけど、雨を楽しむってできるんです。軒下に缶詰のカンとかバケツおいて、雨だれで曲作るってできる。
── いいですね、音楽会おもしろそう!
谷口:でもみんな、「ああ今日も雨だ。」とか言うでしょ?それコントロールできない。
話を元に戻すと、ステークホルダーとの利害関係で、相手を変えることはコントロールできない。
なので、コントロールできるのは、『自分の何か』で改善していくんです。
で、この質問をくれた方が、どういうこの上司との関係性をゴールに置いているのかによって変わってきます。
今は無視をされている。よって、気になる。なので、そこが気がかりになってエネルギーを奪われているんだろう、と想像するんだけど。イライラしたりだとか。
じゃあ、上司を気にしない、無視を気にしないで、エネルギーを奪われない状態をゴールにしているのか。
あとは、上司との関係をもっとよくして、上司が自分の協力者になったり、例えば、この人が副業やりたかったら、上司が応援してくれた方が良いですよね。許可してくれた方がいいですよね。
でも、上司が反対したり、許可を承認しなかったら副業ができない。だから、どういうのを望んでるのか分からないけど、どういう状態になるか?っていうのがまず一つ。
まず、エネルギーを最低限奪われない状態にしたいっていったら、「気にしなければいいと思うんですが」って質問してきましたね?っていうことは、相手の無視に意識が向いてるんですよ。
『気にしない』っていうことは、人間の前提は、『気にするNOT』なんですよ。
これ、意識したものは拡大するっていうのがあるんですけど。
例えば、脳って否定語を区別できないっていうのがある。だから気にしないは無理なんですよ。
脳は否定語を区別できない!
谷口:ゴルフ場をイメージできますか?ハザードっていって、池とかワナがいっぱいあるでしょ?
そうするとね、目の前に池があって、その奥にグリーンがあると、あれすごいよね!設計者は。池が気になるようになってるんです。
── だって、グリーンの前にあるんですもんね!
谷口:目に入るからね。そうすると、池に入れちゃダメ、池に入るとペナルティだ、ここでまた下手を・・・、池に入れちゃだめだって思うんです。でも入るの、池に。
なぜかって、脳は否定語を区別できないから、『池に入れてはいけない=池に入れる』なんですよ。
── 否定語を認識できないならそうなっちゃいますね。
谷口:でしょ?イメージは何ができているかっていうと、池に入るシーンを想像して、それを意識で×にしているんですね。
っていうことは、「池に入れちゃいけない、池に入れちゃいけない、池に入れちゃいけない」って、思えば思うほど、池に入れるイメージが強化される。
だから、「気にしない、気にしない」って思えば思うほど、上司の無視が強化される。
だから、傍から見ると、「○○上司はあなたの事、そんなに無視してないよ。」って言うんです。
だって、外側の人は、上司の無視を気にしてないから。
でも、本人は「気にしない気にしない」って思うから、ただ、目がちょっと泳いだだけで無視されたって思っちゃう。
そういうのを知っていると、じゃあ「気にしない」っていうのは否定できないから、どうするかっていうと、これを僕たちは「スライド」っていう。
意識を他にスライドさせる
簡単に言うと、無視を気にしないっていうことは、否定できないのであれば、他の事が気になるようになればいい。
ゴルフで言うと、池が気になるんだったら、他の所を気にすればいい。
簡単に言うと、意識を他で埋めればいい。池ではなく。
例えば、グリーンが気になるんだったら、グリーンの横にバンカーがあるじゃないですか?「砂になら入ってもいい」と思えば、池はなくなる。
砂になら入ってもいいと。バンカーならOKってしようと思うと、池が消えるんです。
池に入れちゃいけないと思うから、池が見えちゃうんです。バンカーに入るならOKとしよう。なぜなら1打多くで済むから、池に入れると2打多くなっちゃうからね。
だから、「池に入れちゃいけない、池に入れちゃいけない」って思うより、「そうだ!隣のバンカーなら良しとしよう!」と思えば、バンカーに意識が向くので、バンカーに入る可能性は高くなるけど、池はなくなる。
それと同じで、上司の無視ではなくて、上司の何かにいつも関心を持つとか、他の物に。
例えば、その上司が着てくるものに意識を向けるのか、頭の薄さに意識を向けるのか、他の物に興味を持つ。
そしたら、「あら今日も頭ぼさぼさだわ」とか、「今日もシャツヨレヨレね」とか思うと、「無視」は消えるかな?
── そうですね!意識が違う所に。
谷口:こういうのが「スライド」。
多分、この人は、傍から見ると「上司がこの人を無視してる」って思うのが、「たまに無視はするかもしれないけど、まあ、10回中1回くらいじゃない?」って見えてるのが、
本人から見ると、「気にしない」って言ってると「いつも」になっちゃう。
強化されちゃうから、意識を向けると。だから、軽くするならそれかな?
あとは、「承認」っていう言葉がどっかに出て来たね?
相手が自分を承認するようにはできない。コントロールできないからね。
じゃあ、自分ができることで何をするかというと、『返報性の法則』とか『鏡の法則』とかあって、相手の態度って、自分の鏡なんです。
想像すると、この人無視されてるから、この人は上司を承認してないんですね。
相手の態度は自分の鏡
谷口:そうすると、その鏡が写され写され写されっていうと、お互い承認しない。
僕が学んできたことで、相手にしてほしいことを先にするっていう法則があるんです。
そうすると、『鏡の法則』『返報性の法則』で、相手は自分に向かってそういう物を返してくれる。だからコントロールできるのは自分の態度とか言動とか表情や動作。
だとすると、仮に、この人が嫌い・苦手だとしても、自分がこの人を承認することはできる。
そうすると、相手から承認が返ってくる確率は雲泥に上がる。
相手にしてほしいことを先に自分がする
谷口:だから、上司との関係性を改善して、もっといい関係でいると、仕事もやりやすい。自分の事も応援してくれる。自分のエネルギーもチャージされる。っていって、
それが承認してほしいと思ったら、できることは、上司を自分で承認することから僕だったら始めるかな。そしたら変わる可能性はすごく上がる。
── 『返報性の法則』だったり、『鏡の法則』だったりすると、自分が先に承認して、それが返ってくる可能性が格段に上がりますもんね。
谷口:パートナーも話を聞いてほしかったら、最初に聞いてあげる。愛してほしかったら最初にこちらから愛する。
そんなふうに、自分からできることがあるんじゃないかな。
見方も変えてみる
谷口:あとは、見方を変える、っていうのを僕はよく提案するんですけどね。
人を無視する人って、見方を変えると、まあ僕には「苦手」とか、「嫌い」とか見えてるんだけど、見方を変えると、「可愛く」見えるんです。
わかります?
こいつ可愛いな、子供みたい、無視してやんの、とかっていうと、可愛く見える。
── 確かに。
谷口:「態度にだだ洩れしてんじゃん(笑)」みたいな。「可愛い」とかね。
── 「無視してやんの」っていいかも。
谷口:「認められたいんだな」とか、「怖いんだな」とか、
「俺ばっかり頑張っちゃうといつか抜かされちゃうんじゃないかな、とかびびってんのかな?」とか、
「自分のものぐさが証明されるのが怖いんじゃないのかな?」とか、「可愛いなこいつ」、みたいな。
「ちょっといじってやるか」、なんて。(笑)僕だったらそうするかもしれないね。
── でもそういうふうに思えるようになると、すごく心が楽になりますね。谷口さん、今日も貴重なお話ありがとうございました。