コーチングを社内で活用する方法 #19
目次
【質問】コーチングを社内で活用する方法とは?
── 本日も、「ザ・コーチTV」の視聴者の方からいただいた質問に谷口さんに直接お答えいただきたいと思います。
こばやしさんからのご質問です。
いつも、ためになる動画をありがとうございます。
私はサラリーマンをしているのですが、
どのように”コーチ”になればよいか、良くわかりません。
資格を取るだけ?ではなく、実際に使えるもの、
それには資格も必要であれば、スキルを得る方法と合わせて
教えていただけると嬉しいです。
また、サラリーマンで一定の部下を持つと、
部下の人生や仕事への取り組み姿勢などをより良くするために
考えることが多いと思います。
ただ、コーチングというと、
どちらかというと会社員という狭い範囲で行うのはなかなか難しいイメージで、
人生の目的を見つけるようなイメージで捉えています。
部下のために人生を考えると「何言ってるの?」的に
浮いてしまったりしますし、
仕事への姿勢に対しては、なかなかコーチングは
うまく使えなかったりします。
もちろん、私のスキルが足りない部分もあるかと思いますが、
会社の中で、部下の人生や仕事への姿勢を良くするために、
どのようにコーチングを活かしたら良いのでしょうか?
というご質問です。
谷口:すごく熱意というか、情熱というか、部下思いというか、なんか伝わってくるな~!
部下の人生をとかいうと、なんかちょっと他の人からすると、冷やかされるような感じなのかもしれないけど、こういうマネージャーさんがいた方が僕は良いかなと思うので、ちょっと一緒に考えていきましょうか。
この人は、会社で今多分マネージメントしていて、部下がいらっしゃるんですよね?僕がいろいろコーチングをしているなかで、同じような立場の人はいっぱいいます。
ビジネスや職場でコーチングの勉強をして、目標達成や部下育成にそれを有効に使いたいんだという人もいますし、企業研修でそういう企業にお邪魔して、マネージャーさんたちにコーチングというのを研修でトレーニングする機会もあります。
なので、今の立場はコーチングを学ぶにはすごく良いんじゃないかなと思っています。
それが一つ。
小林さんが実際コーチングのトレーニングを受けているのか、勉強しているのかがちょっと分からないのですが、コーチングの勉強やトレーニングをすることはおすすめしますね。日本には今すごくコーチングのトレーニングの勉強機関がいっぱいありますから。
それを今度は会社で使いたいわけですよね。部下育成でね。ここはちょっと注意した方がいい。
なぜかっていうと、よく企業研修やなんかでも言ってるんですけど、「会社のマネージメントでコーチングは機能しない」ちょっと意外かな?
会社のマネージメントでコーチングは機能しない
谷口:極端に言うとです。
なぜかっていうと、コーチングって目的地があってそれに行きたい、達成したい、という意欲があって、でそういう人をコーチするんですよね?
馬車だから。行きたいところがあって、それに熱意、情熱があって、でも挫折したり障害にぶち当たったり、道に迷ったりしたときにコーチがいた方がよくないですか?っていうのが前提なんですよ。
会社の部下って、全員これがありますか?
目的地があって、人生のキャリアビジョンがあって、自分のゴールがあって、それと会社のゴールを照らし合わせて、それに向かって情熱的に進む人ばかりではない。
目標ないです、言われたことやります、っていう部下もいるわけですよ。
そういう人は、僕たちプロの世界でいうと「アンコーチャブル」=コーチングが機能しない人っていうんです。
コーチングは万能ではない、だからコーチングはビジネスでは機能しないって言ってるんです。
なぜかっていうと、全員がコーチングを必要としている人ばかりが会社にいるわけではないから。
中にはいるでしょ?モチベーションがない人。朝会社に来て言われたことやって、時間になったら帰って給料もらえばいいっていう人いません?中には偉くなりたくないっていう人いっぱいいますよ。
なので、本来でいうコーチングは機能しないけど、コーチングのスキルや考え方は、時と場合によっては有効だって説明してるんです。
コーチングが有効になる場合って?
谷口:話を戻すと、コーチングを習い、勉強します。そうするとコーチングの考え方やスキルとか、ツールはいっぱい手に入っていってコミュニケーション能力も上がっていく。
それも、あるスキルを部下との関わり合いの中で、ある時に活用するのは有効ですよっていってるんです。
だから、部下をコーチングしようと思うとあんまり上手くいかないかな。っていうふうにまずお伝えしてるんですね。
マネージャーだから指示命令はしますよね。
会社の方針、会社のゴール、行動指針とかあるので、それはやってほしいとか、それはやってはいけないとか、こうしなさいってあるんですけど、これはコーチングでは言わない。
でもその役割もマネージャーにあるじゃないですか。
なので、そういうマネージメントのコミュニケーションが片手にあって、もう一個、部下の主体性や、部下の自主性や、部下のモチベーションをあげて部下を成長させる、という場面もあるんです。
そういう時にはコーチングが必要。でも指示命令必要な時はこっち。
簡単に言うと、二刀流になるみたいな感じかな。
── 使い分けて。
谷口:そうそう。こういう時は指示命令、こういう時にはコーチング。
今までは指示命令しかなかったのが、一刀流が二刀流になったみたいに思ってもらうと、ちょっと楽になるかもしれないかなって思います、職場で使う時にはね。
「for you」の質問ができると・・・
谷口:ただ、コーチングの考え方やスキルといわれるコミュニケーションを習得すると、マネージメントは僕はすごく伸びると思います。
例えば「質問」というスキルを身に付けたとしますね。マネージメントで使っている質問とコーチングで使う質問って全然違うんですよ。
これね、「for you」と「for me」っていってるんですけど、マネージメントで使う質問って、マネージャーが知りたいことを部下に聞いてるんですよ。
「お客さんは何て言ってたんだ?」とか、「条件は何なんだ?」とか、「現場はどうなってるんだ?」って質問するじゃないですか。
それって、マネージャーが知りたいことです。これは必要です。
だって、指示命令するのに自分が情報がないとできないから。これが「for me」なんです。自分が知りたいことを聞いてる。
でも、コーチングって「for you」。
例えば、あなたが部下で、僕がする「どうしてそうなったんだ?」とか「相手は何て言ってるんだ?」とか「現場では何が起きてるんだ?」とかいう質問にずっと答えていた時と、
僕がコーチングしているとしますね。「for you」の質問っていうのは、
「先方が本当に望んでることは何だと思う?」とか、「もし、ここから君が学べるとしたら何を学べると思う?」とか、「この経験は将来の君にとってどんな価値があると思う?」って言われた時と違う?
── 全然違いますね!
谷口:後者が「for you」です。
── なんか自分事になったというか、自分で何か考えていく主体性を持たなくちゃっていう感じ。
谷口:思うでしょ?
でも、ずっと上司のマネージャーが「for me」の質問ばかりしていたら部下は事情を説明するだけなんですよ。
でも、コーチングを勉強した上司が、時と場合によっては「for you」の質問を部下にするようになったら二刀流でしょ?
「情報を収集する質問」(=「for me」の質問)と、「部下が自ら考えられるようになる質問」(=「for you」の質問)の二つ手に入れたということです。
だと、今はすぐ判断しなきゃいけないから「for me」の質問を部下にする、今は部下の主体性を伸ばしてあげようと思うから「for you」のコーチング的な質問をするっていうと、二刀流。
だと、たぶんマネージメントはすごく上手くいくようになるんじゃないかな。
なんで、勉強したことを、ただ「for you」のコーチング的な質問ばっかりしてみると部下は「このマネージャーは何も判断してくれない」になっちゃう。判断するのもマネージャーの仕事だから。
だから、僕はコーチングは機能しない、ただし、コーチングの考え方やツールは、時と場合によってはすごく有効である。というふうに企業にお邪魔した時にお伝えするんです。
だから、そう考えてもらって習ったコーチングを自分の仕事に生かしてもらうと、すごく良いかもしれない。これが一つの答えかな。
資格取得までのプロセスに価値がある!
谷口:あと、資格の質問があったね?
── はい。コーチになるために必要な資格。そもそもコーチの資格っていろいろあるんですか?
谷口:いろいろあります。
一ついうならば「国際コーチ連盟」っていう世界基準の資格認定っていうのがある。それも ACC、PCC、MCCって、初級、中級、上級みたいにあるわけなんですね。
(資格は)いっぱいあるんですけど、資格そのものには価値がないっていう言い方もちょっと語弊があるんだけど、資格を取るまでのプロセスに価値があるんですね。
例えば、僕の周りにもコーチングを勉強している人で「資格なんていらないよね」っていってコーチを続けた人がいるんです。僕は資格を目指したんです。
何が変わるか?っていうと、資格を取るということは合格するということですね。そうすると、合格するための実績が必要。っていうことは、資格を目指した方が早く実績を積むんです。何千時間必要だとかってあるから。
だから、僕は資格を目指したから、誰よりも早く実績を積めたんです。だって受験するためには必要な実績時間があるから。
で、もう一つ。
国際コーチ連盟が認めている「コーチとはこうあるべき」に沿ったコーチングができないと合格しないっていうことです。っていうことは、我流にならないんです。
だから、資格を目指していない僕と同じころに始めたコーチは我流になる。それで機能しないかっていうのは別。ただ、僕は資格を目指したから基本を徹底的にやったんです。
なので、イメージでいうと、喧嘩ばかりやって強くなったヤンキーと、ボクシングをちゃんと習って世界チャンピオンなろうと思ってたとの違い、例えが違うかな?
── なんとなくニュアンス伝わってきます。
谷口:なので、資格を取ろうとするプロセスには価値がある。実績も積むし、基本から外れないし、自分のスキルやツールや能力が基本に沿って上がっていくんですね。
で、最短で短い時間で資格を目指すから自分の能力アップにもなります。
資格はコーチを雇う時の選定基準になる
谷口:もう一つ、外部の人から見てどのコーチを雇うかな?っていう時の判断基準にはなりますね。
聞いた話だけど、アメリカでコーチを雇う時、企業でも個人でもコーチを探そうとしてる時の最低基準が国際コーチ連盟の資格保持なんです。
なぜかっていうと、どうやって信用していいか分からないから。なので判断基準として、国際コーチ連盟の資格ホルダーっていうのが、まず選定基準になるらしい。
自分の能力アップと社会的信用でいうと、資格は目指した方がいい。資格そのものに価値があるかというとなくてもいいわけですよ。なくても有能なコーチはいっぱいいるから。だからいいと思う。
── コーチになるために必要な資格としては、国際コーチ連盟の資格ホルダーっていうのがアメリカで一つの基準として認知されている。そしてその資格を取るにあたってのプロセスが大事で、その中でスキルも得られるということを教えていただきました。
スキルを得る方法として、「ザ・コーチTV」でいろいろと教えて下さったのもそうですが、具体的に谷口さんがご提供されているサービスの中で、『こういうのはコーチングのスキルアップに使えるよ』というものがあったら教えていただけますか?
谷口:過去にいろんな動画で、マスターコーチのコーチングを映したものとか、「谷口貴彦コーチング」で検索してもらうといっぱい出てくる気がするのと、あとね、「ビジネスでも使えるコーチング」っていう教材も出したこともあるので、検索していただけると出てくると思うのが一つ。ごめんね把握してなくて。
資格ホルダーでプロのコーチを目指すとするなら、そういうトレーニング機関がありますから、そういうところで、自分がここのトレーニングがいいなと思う機関に入って、ちゃんとトレーニングする、勉強することはお勧めします。
資格取得には実務経験も必要です!
ただ、勉強しただけでは資格は取れない。筆記試験だけじゃなく実務試験もあるから。
車の運転免許と一緒だな。交通ルールとかちゃんと答えられかという筆記試験と、実技試験ちゃんとドライビングができるかの実技試験。
両方必要なので、コーチングの実績を積む。有料無料とか、プロ・アマチュア問わず。それを積み上げていくのが良いと思う。
そうやって資格を目指したらいいんじゃないですか?
── 今、小林さんはサラリーマンをされているということですが、コーチの道もどんどん歩んでいってくださいね。
谷口:良い質問でしたね!