プロコーチとして独立する前にしておくべきこと #18
── 今日は、「コーチングのクライアントを獲得するには?」というテーマでお話を伺っていきます。
谷口さんはこれまで数多くのクライアントの方たちにコーチングをされてきましたが、独立された時はもちろん0人からのスタートだったと思います。
谷口さんは、独立されてからどんな方法でクライアントを増やしていかれたのでしょうか?
その中でこれは失敗だったかなということや、逆に上手くいったなということがありましたら教えてください。
谷口:そうだな~、一つ失敗談でいうと、僕セールスもやってたんですけど、この無意識で使ってる言葉は結果的にあまり良くなかったかな?
目次
クライアントは獲得するもの?
谷口:クライアントを獲得する、お客さんを獲得するとか、ターゲットとか、よく言いますよね。クライアントだったとして、コーチに獲得されたい?
── 獲得とか言われるとイヤですね。獲物じゃないですからね。
谷口:イヤでしょ?獲物じゃないぞ私は!みたいに思うよね。実際には獲得しようと思うと上手くいかなかったね。
── いきなり神髄のところを教えていただきました。
谷口:セールスも売ろうとすると上手くいかない。セールスの時、部下とか自分もそうだったんですけれど、売ろうとしてる時は売れないんです。
一言でいうと、お客さんが「これ売ってないんですか?」とか「あなたから買えますか?」っていうふうになると結果的に売れる。
これスピンオフでちょっと余談ね。昔はね、セールストークってよくいって、売り込み文句なんですね。どうしてるかっていうと、説得に掛かるんですよ。でも、お客さんは説得されたくない、売り込まれたくないんですね。
それを僕はセールスの時に変えて、それは本で読んだのか習ったのか覚えてないんだけど、バイイングトークなんです。売るんじゃなくって買いたいって思うようなトークなんですね。
そういうふうになってから売れるようになったんで、僕も部下に「セールストークじゃないよ。バイイングトークを考えなさい。」とよく言ってたんです。これスピンオフね。
クライアントの獲得の話に戻ると、「クライアントを獲得」っていうのをちょっとイメージ変えた方がいいなぁ。
── イメージ変えましょう!
谷口:サバンナで鉄砲持って獲物を狩りに行くわけじゃないからね!なので獲得っていうよりも、多くのコーチを必要としている人と関係性を作る、そういうイメージを持ってもらいたいなっていうのが一つ。
プロコーチとして独立する前にしておくべきこと
谷口:じゃあ僕はどうやってきたかっていうと、コーチとして独立する人にもよく言ってるんだけど、信用と信頼を今のうちから作っておくといいよって。
イメージでいいから信頼と信頼の違いってある?
── 漠然としたイメージですけど、自分が信用してるよって言われるのと、信頼してるよって言われるのとでは違いますよね。信頼の方がより寄り添ってもらっているというか、信用はどっちかっていうとビジネスライクというか、なんとなくそのニュアンスがありますね。
「信用」と「信頼」の違い
谷口:よくこういう話してるんだけど、信用って過去で、信頼って未来。
過去のその人の振る舞いや実績を見て信用できる、で、これからこの人と手を組んでこの人とやっていける、っていうのが信頼なんで、過去と未来とか、物と人とかに分けてるんだけど。
物とか事実に感じるのが信用で、人に関する感覚が信頼、とかね。
僕はコーチとして、もしくは起業家でもいいんだけれど、とにかく今やってることを全身全霊で相手や人のためになることをやっておいた方がいいよって。
よく会社を辞めてプロコーチになるっていうので、会社ないがしろにする人がいるんですよ。その人が「辞めました。コーチになりました。」って言って元の会社の部下がその人にコーチ頼む?頼まないよね。なので、そういうところをちゃんとやっといた方がいいよっていうこと。
実績を積むためにしたことは・・・
谷口:じゃあ僕はどうしたかっていうと、とにかく会社に勤めてる時からコーチングの勉強をしたんで、あなたのコーチをさせてくれと僕からお願いしたんです。その時は無料でもなんでもいいんだけれど、そうすると相手は何だかわかんない訳です。
でも、「まぁ谷口さんが言うんならば」っていうのは過去の僕の振る舞いで思うわけですね。
僕は言ったんです。「協力して欲しい」「僕は資格を取りたいので、とにかくコーチングということをやってる実績を積み重ねなきゃいけない。なのであなたをコーチさせてほしい」と。
#1 自分からオファーする
谷口:そうすると、それまでの僕の人となりを見てくれたのか、「わかりました、谷口さん。協力すればいいんですね!」と言ってくれた。「協力してほしいんだ」と僕からオファー、依頼をした。
元部下だったり、違う事業所の営業課長だったり、営業マンに全部オファーを出すわけですよ、させてほしいんだと。
そしたらある人が、「谷口さん、そのコーチングって何ですか?」っていうわけですよ、知らなくて。説明するって言ってもよく説明できないから、「とにかく決まった時間に僕に電話して来い」って、ただそれを言っただけなんです。
「わかりました。電話すればいいんですね!」「電話すればいいから」って言って、とにかくさせてもらうっていうのをやったんです。
その人は、コーチングは何だかわかんないけど、谷口は信用してくれたわけです。
#2 有効性を体感してもらう
谷口:電話してきてしばらくすると、「谷口さん、これがコーチングっていうもの?」っていうから「そうだよ!」っていうと「いいね!」って言うんです。
体感してくれたんです有効性を。成績も上がったんです。
「コーチングっていいなぁ」っていうから「え?そう?お金払う?」「えっ!?」って言われたんです。
僕は最初は全部、「自分の資格のために協力して欲しい」って言って、過去のネットワークとか人脈とかつながりがあるところへ全部こうやってオーダーを出していく、依頼をするっていうのをやったんです。何百人に出したわけです。手紙とかメールとか。
そうすると何人かが「へぇ~、いいよ!」と。信用してくれたんですね。「どうすればいい?」「じゃあ電話して!」ってコーチングを始めて、100人にオーダーを出したら20人ぐらいが協力してくれたんです。
20人やったらそのうち何人かに「どう?」って聞くと「いい!」っていう人がいたんです。「一応僕これで食ってくつもりなんだけどお金払う?」って言ったら「えっ、いくらなの?」って聞くわけです。
で、最初はあなたが価値を感じる値段でいいって言ったんです。100円って言ったら100円でいい、1000円って言ったら1000円でいいって。
まずはそうやってクライアントと出会っていって実績を積むっていうのにウェイトをおきました。だって僕素人っていうか駆け出しなんだから。
#3 自分からドアをノックしよう!
谷口:どうやって出会ったのかっていうと僕からドアをノックした。僕は今こういうことを習っていてこういうふうな道を目指していきたいんで協力してくれないか、というのでオーダーを出した。
プロコーチになりたいっていう人で、なかなかクライアントさんが増えない人は、待ってんだよね?来るのを。
── 自分でノックしにいかずに待ってる、こっちのドアの前で。
谷口:待ってて来るっていう人は、もう社会的に信用を作った人だよ。
例えば僕でいうと、本を出して、動画を出したり、いろんなことをやったりして、社会的にこの人は公の人として認知されて、それなりの実績もあって、人からの評判、レビューとか、そういうのもあって人って信用するんじゃないの?
で、初めて、公で信用できる人の中から誰に頼もうか?っていうふうになるから、そこになるまでに至ってないのに、コーチとしてまだまだ社会的に駆け出しなのに、ホームページ作ってブログ書いて待ってる人っていうの、結構多いかな。
だって来ないと思うよ。だったら自分でノックして叩いたらいいんじゃないかな。
過去にいっぱいあるでしょ?つながりが。だから僕年賀状とか、電話帳(にのっている人)に全部連絡したし、営業もやってたから取引先の人にも全部オーダーを出した。だから自分からオーダーを出していく。
リスクはこちらが負う
谷口:もう一つが、これはセールステクニックもある。
「リスクリバーサル」っていって、リスクをこっちが負うってことです。セールスもそうなんだけど、お客さんが買いたい、売って下さいっていうのはすごくリスクなんです。
だって、自分が決めたってことは、結果、責任も自分にあるってことですよね。
でも、営業マンがリスクを負う言い方があるんです。
「僕にあなたの家の夢の実現を任せてください!」って言うと、リスクを負うのはこっちなんです。営業マンなんですね、雰囲気として。「じゃあお願いします!」って言うとラクなんです。これがリスクを負うっていうことなんですね。
商品で「全額返金」なんていうのあるじゃないですか。上手くいかなかったら全部使ってても(返金します)というのは買った人にリスクを負わせてないってことですね。
よかったら、効果があったと思った時に払ってもらえばいいです、これは有効でないと思ったら時間の無駄なんでお互いにすぐ解消しましょう、っていうふうに、
「リスクを僕が負います。だからあなたに僕がコーチをさせて欲しい」っていうふうなオーダーの出し方をよくしました。それってリスクを僕が負ってんだから。
最初の頃はそれでいっぱい実績を積んで、クライアントさんができてきた。
実績を段々積んでいくでしょ?と、次が紹介ですね。
これもセールスと一緒なんですけど、セールスは「リピートと紹介」が王道なんです。このゾーンに入ると待ってていいんです。
次は紹介のオーダーを出す
谷口:それまではオーダーを出すっていうか自分から関係性を作りにいかなきゃいけない。
そうすると、クライアントさんの中で、成果が出てる、コーチングの有効性を実感してる人、が他のクライアントさんを紹介する。
他のクライアントさんっていうと、僕のクライアントさん、コーチングで成果を出した人、の友達ですね。この人は友達なので友人(僕のクライアントさん)を信用する。これが紹介なんですね。
だから、新しいクライアントさんとは僕は信用はないんだけど、その人が信頼してる人が紹介するからすぐイエスになる。なのでこのループを作るんですね。
今度は紹介のオーダーを出す。誰か夢をかなえたい人、目標達成したい人で僕に紹介したい人をぜひ紹介してもらえませんかって。
この辺の言い方も、これしゃべったら僕セールスのだけで3日間くらいしゃべれる(笑)
── ホントですね(笑)新しいものが作れそうな・・・
谷口:なので紹介もオーダーを出す。クライアントにね。だんだんこれで上手くいくループに入っていくのが一つです。
自分から関係性を作りにいく、リスクはこっちが負う、実績が出た人とか効果がある人に紹介のオーダーをまた出していく、っていうのを最初にやりました。
セミナーや勉強会で心がけていること
#1 選ばれる人としての振る舞いをする
谷口:クライアントさんがどんどん増えていくっていうのと、途中から僕、勉強会とかセミナーにすごく出るようになった。そこでもクライアントさんとの出会いがある。
その時に、この人が僕のクライアントさんになって僕とコーチングの関係性ができるっていう人、僕はわかんないんです。相手がそういうコーチを探してるっていうのは。
ただ、相手はコーチを探しているわけです。勉強会に来て、無意識で参加者の中からどの人が信用できて信頼できるかって探してるんです。
なので、勉強会やセミナー、そういうところで選ばれる人としての振る舞いをするんです。そこがすごく多かったです。
終わった後に、「さっき一緒にお話したんですけど、谷口さんコーチしてるんですか?」って「してます。」っていうと、「一度詳しくお話聞かせてくださいませんか?」っていうのすごくある。
勉強会とかセミナーとかいろんな講座に行くと、何となく信用できそうな人と何となく不信感がある人っていないですか?いるよね?
なので、セミナーや勉強会の参加の仕方、そこでの振る舞い、言動、人との関わり方は、もう家を出るときから家に帰るときまでコーチであろうとしますね。
#2 ここでもリスクを負ってオーダーを出す
谷口:そういうところで、もちろん探しに来ている人から何人もいる参加者の中から自分が選ばれるにふさわしい自分でいようとしてることと、あとは、
もし、話で「コーチ探しているんですけど」って聞いたら、「僕にコーチさせてもらえませんか」ってリスクは負ってオーダーを出す。だってチャンスだもん。
そうやってとにかく営業やってたからね。営業って、100件訪問しても1件。99件断られるっていうのは普通だから。
とにかく、オーダーを出していって100件の関係性を作ろうと思って、何人かがイエスって答えてくれて、全力でコーチして、成果が上がって、それを繰り返していく。
で、何年か経ったら社会的信用、本を出したり口コミが広がったり評判になったりして、もう僕からオーダー出さなくても、僕にコーチをしてほしいという人が向こうから来るようになった。
答えになってるかな、これ?
── ものすごく貴重な経験談をお聞きできました。
谷口:(コーチに)なり立てで待ってる人、来ないよ!
今の仕事で信用に値する信頼できる人物になろう!
谷口:あとはコーチとしては新米だけど、社会人としてはキャリアがあるはずなんで、自分が社会人として培ってきた信用と信頼をまず最初に使う。
自分の仕事や自分がこれまでやってきたキャリアで、自分が信用に値する、信頼できる人物である、っていうふうな仕事はしといた方がいいと思う。
僕、よく起業したりプロコーチになって独立する人には、今の会社で一生懸命仕事しな、「立つ鳥跡を濁さず」じゃなくて、「立つ鳥、全身全霊で今の仕事をして惜しまれて出ておいで」ってよく言ってるんです。
自分がいたコミュニティ、所属、業界、業種、が最初のお客さんになってくれるんです。
最初、僕をコーチとして関係性を築いてくれた人は、元いた会社の人結構多いんですよ。谷口ならって思ってもらえたらうれしいと思うし、そういう仕事ぶりをしてこれたのかなって思ってたかな?答えになってる?
── 素晴らしいです!谷口さんが独立されて、クライアントが0人からどんどん増えて、今やプライベートのコーチはちょっとお受けできないっていう状態になるまで、一つ一つがその積み重ねで、そのご経験が今を作ってるんだなっていうのがすごくわかりました。
独立する前にこういう準備ができる、独立した後はこういうふうにクライアントさんを増やしていく、それをどうやっていったらいいのかっていうのが谷口さんのご経験から詳しくお聞きできました。ありがとうございます!
谷口:ありがとうございます。いい質問でした。思い出しました。