クライアントからアドバイスを求められた時の対応とは?【コーチング】 #72

最終更新日:2022年6月13日

―― 今回は視聴者の方からいただいた質問を谷口コーチにお答えいただきたいと思います。

私はビジネスコーチとして経営者さんやマネージャーさんをコーチングで支援していますが、その活動の中で教えていただきたいことがあります。

コーチングは「相手の中に答えがある」が基本で、通常教えたりアドバイスしたりしないことは理解していますが、相手に答えがなく、自分の経験や専門知識から自分に答えやヒント、情報がある場合あるいはアドバイスを求められた場合は谷口さんはどのように対応されていますでしょうか?

事前の相手との合意事項やコーチングセッション内での対応などについて教えていただけると幸いです。

よろしくお願いします。

というご質問です。

谷口:良い質問をありがとうございます。

あるあるなんですね、これ。コーチングをしだした人が疑問に思うことなんです。ちょっとこれは丁寧に。

質問文にもすごくヒントがあるんですが、「相手の中に答えがある」って書いてあったかな?ここをちょっと変えるとわかりやすいんですけど、

「相手は答えが、あったにもかかわらず、見失っていて、答えを見失っている。その答えを見つける手伝いをする」っていう言い方もできるし、

「相手は答えを選ぶ力がある」っていう言い方もできるし、いろんな言い方ができるんです。

クライアントが見失っている時にコーチができることとは?

谷口:例えば、クライアントさんってゴールに向かっていますよね。

そうすると、いろんな障害とか、目の前の課題だったりとか、不測事態に陥ったりするんですね。

経営者なんか特にそうですね。順調な時はいいですけど、順調じゃない時も多々ありますから。

そういう時って、スポーツでもいいんだけど、順調にいってる時と不測事態に直面してる時とで、視野って一緒だと思う?

―― 違うと思います。

谷口:どっちの方が広くて、どっちの方が狭いと思う?

―― 順調にいってるときは広くいけそうなんですけど、上手くいってない時はどうしてもちょっと狭くなりがちだと思います。

谷口:狭くなりますね。

そうすると、広い視野の時には見えてた答えが、視野が狭くなると見えなくなるっていう可能性ありますね?

よく、「あいつ見失ってるよ。」みたいな言い方するんですが。

それを元に戻してあげる手伝いを僕たちコーチは出来るんです。その時に、ここにもあるように、教えるとかアドバイスするってありますね。

例えば、あなたが何かトラブってる時に、僕が「こうしたらいいのに」と思って

「○○さん、それこうしたらいいんじゃない?」って言ったとしますね。これはアドバイスです。教えるでもいいです。

この時、責任の所在ってどっちにありそうですか?何となく感覚でいいから。教えた方なのか、教わった方なのか。

―― 教えた方?

谷口:そうなんですよ。なので、コーチは責任を肩代わりしちゃいけないんです。

でもこう言われたらどうですか?

「僕の体験談で役立つような経験談があるんだけど、それって伝えた方がいい?」って聞かれたら?

―― はい、聞きたいです。

谷口:って言いますよね。

では、「僕ね、こうやったらこんな結果に出た。あと、僕のクライアントさんで、もう一つ二つ情報があるんだけど」と言って、

「僕のクライアントさんで、こうやったら問題解決できた人がいる。で、もう一人僕のクライアントさんで、違うやり方だけどこうやったらこんな結果になった。どれか参考になりそう?」って聞かれたら?

―― ありがとうございます。すごく参考になります。

谷口:「どれが一番今のあなたにとって有効だと思う?」って聞かれたら?

―― Aのパターンが有効だと思います。

谷口:この時、責任が移動した感じしない?

―― はい。あくまでも選択した自分が。

谷口:そうなんです。ここがポイントだと僕は思ってるんです。

だから、なぜアドバイスや答えを与えないかって言うと、相手の責任を肩代わりして、相手の責任感を阻害する感じがするからなんですね。

なのでコーチはアドバイスや答えを与えないって言うんですけど、でも情報提供は有効に働くんですよ。

コーチの情報提供がクライアントにもたらすものとは?

谷口:これはアドバイスじゃないんですね。答えじゃないんです。

あくまでも情報を増やしてるんです。

イメージで言うと、視野を広げてる、元に戻してるんです。

今選びましたよね?ということは自分が置かれてる状況で、答えを選べるってことなんです。

僕はこれを「相手の中に答えがある」「相手はたまたま見失ってたけど、情報が増えれば答えを選ぶ力がある」っていう言い方にしてるんです。

僕の中で「答えはクライアントの中にある」っていうのは、情報がちゃんと必要なだけあれば、相手は一番ベストな答えを見つける力がある。

なので見失っている時や、視野が狭まっている時には、情報を増やしてあげて、本人が自らの責任で選べるようにしてあげる。

あとは、教えたりアドバイスしたことって、人って「わかりました」って言うけどやらないんですよ。

でも、自ら選んだ答えっていうのは、行動に移すんです。

あくまでもその先の行動もすごく需要なので、教えると行動確率が減る。アドバイスすると行動確率が減る。でも、自ら答えを選べば行動に繋がる。

なので、「教えたりアドバイスはしないけど、選択肢を増やしたり情報は増やしてあげて、選べるように手伝ってあげる」っていう言い方をします。これで答えになったな?

―― はい。ものすごくわかりやすい説明をありがとうございます。

谷口:それと、最初に合意しておいたほうがいいかっていうと、今僕が説明した内容をクライアントとオリエンテーションの時に合意しておいたほうがいいです。

『アドバイスや答えは与えないですが、あなたが情報が欲しいっていう時に、僕がその情報を持っていれば提供します。なので、「いまちょっと視野が狭まっているから、コーチ何か情報ないだろうか?」っていうふうに要望してください。その時に、僕が情報や選択肢を持っていれば、それは提供します。』

という言い方で合意しておくのは有効だと思いますね。

―― ありがとうございます。

関連記事