聞く力を上げる10の質問【マスターコーチが教えるスキルアップ術】#118
―― 今回は「聞く力を上げる10の質問」というテーマで、谷口コーチによるオンラインコーチング形式で進めていきたいと思います。
「聞く力」は、コーチングのスキルにおいて、「質問力」と並ぶような2大スキルの一つと言える、とても重要なスキルだと思います。そして、「聞く力」を磨いていきたいと漠然と考えながらも具体的にどんなふうにすれば、「聞く力」を伸ばせるのだろうと考えられている方も多いのではないでしょうか?
谷口コーチ、「聞く力」スキルが高いコーチと、逆に低いコーチっていうものには、どんな違いがあると思われますでしょうか。
目次
- 1 スキルが高いコーチと低いコーチの違いとは?
- 2 聞く力を上げる10の質問
- 2.1 【質問1】日常会話の「聞く」と、コーチングの「聞く」の目的の違いは何ですか?
- 2.2 【質問2】コーチングの時に言う「聞く力」を別の言い方をするとどういう力か?
- 2.3 【質問3】なぜコーチは、コーチングでクライアントに話させたり、聞き分けたりするのか?
- 2.4 【質問4】聞き上手な人に話すと、話した本人には生まれる良いこととは?
- 2.5 【質問5】コーチは何のためにクライアントの話を聞き分けて支援するのか?
- 2.6 【質問6】コーチがクライアント自身の情報を増やすのはなぜでしょう?
- 2.7 【質問7】どのレベル・段階で、人は人の話を聞き分けてると思いますか?
- 2.8 【質問8】クライアントは言葉の内容以外にどんなこと発信していると思いますか?
- 2.9 【質問9】トップレベルのコーチはどのようにしてクライアントが発信してる情報を聞き分けるのでしょうか?
- 2.10 【質問10】トップコーチはクライアントの情報を何を手がかりに読み取っているか?
スキルが高いコーチと低いコーチの違いとは?
谷口:なるほどね。深いところついてきましたね。さっき、質問力と、聞く力は2大重要なスキルと言ったけど、もしかしたら。1番重要なスキルじゃないかと。
―― ああ、一番重要なスキル!
谷口:2番目に質問とかがくるかもしれない。僕は本当にコミュニケーション全般を通しても1番重要なスキルだと思うので。
いや、若松さん、いいテーマを持ってきてくれました。
―― ありがとうございます。
谷口:コーチングにおいてどんな違いがあるかというと、一言で言うと、 とてつもない違いがある。
だから、クライアントさんは普通に会話をしているのに、「なんじゃこりゃ!?」とびっくりするわけですよ。
とてつもなく違うから、簡単に言うと、その違いに価値を感じて高いフィーを払ってくれるとかに繋がるんですけどね。
この後、皆さんと一緒に考えていこうと思うんですけど、何が違うかっていうと、聞く力が高いコーチとの会話は、とても深く、広く、驚きに満ちているって感じ。
では、聞く力が低いコーチとの会話は反対に、浅い、狭い、上辺だけ、驚かない、圧倒的な違いがありますね。
なので、聞く力によって、そのコーチと話す時間がまるっきり変わってくるかな。
コーチたちはぜひ「聞く力」伸ばしてほしいです。
―― そうですね。今回は、その1番重要といわ言われる、聞く力のスキルを、谷口コーチによるオンラインコーチング形式で、視聴者の皆さんと一緒に聞く力をどうやって上げていくか、ということをテーマに考えていきたいと思います。
では、谷口コーチよろしくお願いいたします。
聞く力を上げる10の質問
谷口:はい、早速いきましょう。
聞く力を上げるためには、簡単に言うとスキルなので、実践が必要ですね。
なので、今から僕がする質問で分かったとしても、あとは 繰り返し繰り返し実践をしなければ聞く力は上がらないんですけど。
まず、そもそもわからないことには、どう上げていけばいいか、どうトレーニングしていけばいいのかもわからないので。
まず、聞く力を上げるっていうことについて一緒に考えていきましょう。ちょっと大きいところから聞いていこうと思いますね。
じゃあ、質問1ですね。
僕たちは日常でもおコミュニケーション取ってますよね。じゃあ、日常会話で僕たちは、人の話を聞いてますが、コーチがコーチングの時に人の話を聞く。これ全然違うんですけど。
―― 全然違う
谷口:簡単に言ったら、目的が違うって言ったらいいのかな。
ちょっと考えてほしいんですが、日常会話の聞く時と、コーチングのときに聞くっていうことは、 そもそも何が違うと思います?目的の違いはなんだと思いますか?っていうのをちょっと考えてほしい。
【質問1】日常会話の「聞く」と、コーチングの「聞く」の目的の違いは何ですか?
谷口:若松さん、人の話って聞いてますよね?
―― はい、多分。はい。
谷口:何のために聞いてるの?
―― 何のために。そうですね、自分が理解すると言いますか。相手が言ってることを自分が理解するためにですか。
谷口:だよね。日常会話ってそうだもんね。例えば、学校で先生の話聞いていますよね、あれは言ってることを理解するためでしょ。
ていうことは、日常会話の聞くっていうのは自分のために聞いてるんです。
自分が知りたいとか、わかりたいとか、理解したいとか、納得したいとか、全部自分のためなんです。
コーチングの時の聞くは、相手の為。これが全然違うってことです。
だから、 コーチングでまだ経験が少なかったり、トレーニングを積んでない人は、ついつい日常会話の「聞く」が出てきちゃう。
―― ああ、日常会話の「聞く」が出てくる。
谷口:だから、例えばコーチングやってるでしょ、その時に、じゃあ1時間コーチングしましたと。100%相手のために聞いてるのか?「あー、今日は半分俺が聞きたいこと聞いちゃった・・・。」これは自分のために聞いてる。
―― それは全然違いそうですね。
谷口:そう、同じ時間会話をしていても全然違うね。だから、聞く力が上がってくると、まず、この 自分のために聞いている割合と、相手のために聞いてる割合が、段々変わってくる。
日常会話では100%自分のために聞いてる。 でも、コーチの勉強しておくと、その100:0が、逆に言うと、相手の為をいかに100に近づけていくか、この圧倒的な違いがある。
だから、日本語で書くとただ「聞く」なんですけど全然違うんですよ。
慣れてないと僕たちはニーズっていう、分かりたい、理解したい、納得したい。これがむくむくむくと、自分の中に湧きあがっちゃうから、ついつい知りたくて相手にヒアリングしちゃうの。これをいかに抑えられるか。
マスタコーチになると、その自分が知りたいことを聞くっていうことを手放せるようになるんです。
―― 手放せる。
谷口:そうそうそう、これが圧倒的な違いね。
日常会話の時と、コーチの時の会話の「聞く」は何が違うか?一言で言ったら、自分の為に聞いてるか、相手の為に聞いているか。
2番目いきます。
では、コーチが、コーチングの時に言う「聞く力」って別の言い方をするとどんな力だと思います?
【質問2】コーチングの時に言う「聞く力」を別の言い方をするとどういう力か?
谷口:ここで聞く力って言ってるけど。じゃあ、聞く力って何を?っていうことです。どういう力?これ視聴者の皆さんも考えてくださいね。
まあ、大きく分けて2つ。
まず、理解する力じゃないですね、自分のためじゃないから。ということは、いかに相手に話させるか。簡単に言うと、「話させ力」なんです。
―― 話させ力。
谷口:だから、すごい聞く力の高いコーチと話してると、思わず喋っちゃうってことですよ。「普段こんな話、人にはしないんだけど…」っていう話を思わず話しちゃって、
「いや、こんな話したの初めてですよ、コーチだけ。」みたいな、それは話させ力が高い。
次が、聞き分けるというか、「聞き取る力」なんですね。
簡単に言うと、理解するとか、納得するはないんですよね。
「話させる」いかに相手が 思わず話しちゃうかっていう「話させ力」と「聞き分け、聞き取り力」みたいな。
―― 聞き分け、聞き取り力。
谷口:だから、元々アメリカから入ってきたコーチングのコアコンピテンシーには「アクティブリスニング」って。
だから、アクティブが話させるんですね「アクティブ=能動的に」だから。
あと、辞書で調べると、「能動的=働きかけるとか、促す」って意味が出てくる。
だから、アクティブは促す、リスニングは聞き分ける。
だから、 2つのことを言ってる言葉なんです。促す力と聞き分ける力。
―― アクティブリスニングは、日本語で傾聴とかってよく言われると思うんですけど、なんか『よく聞く』みたいなイメージだったんですけど、違うんですね。
谷口:ちょっと違うんですよ。動積極的傾聴とか、そういう言葉使いません?
―― あー、積極的傾聴。
谷口:うん、でも、これってよく考えるとおかしいですよ。同じことに2回言ってそうですね。傾聴って積極的に聞くことだから。だから、積極的傾聴=積極的に積極的に聞くっていう。
だから、「アクティブ=積極的」っていう言葉も出てくるんですね。辞書で調べると。
さらに能動的にとか、促すとか働きかけるって意味も出てくる。もっと辞書を深く紐解いていくと、「仕向ける」っていう言葉も出てくる。
―― おお、仕向ける。
谷口:そうだから、アクティブは仕向ける。
ここで言うと、コーチはガイドなんで、話の方向をクライアントさんが気づかないうちに、ある方向に仕向けてるんですよ。
どういうことかって言うと、クライアントさんが非常にネガティブで悲観的で、批判者的ってわかります?他のことを批判したり、パートナーだったら相手のことを批判したり、その話って有効?
―― いや、あまり有効じゃないですね。
谷口:ですよね。批判的だったり、悲観的だったりすると、その話を 主体的、楽観的方向の話に仕向けた方が良くないですか?
気が付かないうちに有効な会話の方にガイドしていくんですよ。だから、もう極端に言ったら、仕向ける、話させるっていうこと、っていう2つの力があります。
では、なぜコーチはコーチングでクライアントに話させたり、聞き分けたりすると思う?
【質問3】なぜコーチは、コーチングでクライアントに話させたり、聞き分けたりするのか?
谷口:いっぱい話させて、仕向けるわけです、聞き取って、それを相手に返してあげるんですけど、こんなこと聞こえてきましたよ、こんなことないですか?みたいに。なぜだと思う?
―― より、話していただけるため、ですか?
谷口:まず、話させるっていうのは、例えば、人の話を真剣に聞く。真剣に傾聴で1時間聞きます。
では、すごい話させ上手な、聞き上手な人に、思わず、 あーだこうだ、考えてることを1時間喋るのと、どっちの方が疲れる?
―― 話すのか、聞くのかってことですよね?
谷口:そうそう、人の話を1時間我慢強く聞いてる時と、すごい聞き上手な人に1時間ついつい喋っちゃう時。
―― いや、もう疲れるのは、聞く時の方が疲れそうです。
谷口:疲れるでしょ?聞くって大変なんですよ。
っていうことは、コーチはクライアントに話させるか?っていうと、 実は人は聞いてる時より話した時の方が本人にとって良いことがいっぱい起きるんです。
―― そうですね
谷口:良いこといっぱい起きるでしょ。
だから、 誰かと喋ってる時に、圧倒的にクライアントさんの話す量が多い方がこの時間はクライアントさんの中にいっぱい良いことが起きてるっていうのが1つ ですね。
若松さん、自分が話してる時、多分色々考えながら喋ります?
―― そうですね。はい。
谷口:だから意識に上がってることを喋ってるんですよね?
人間の体の中でよく氷山の絵描くじゃないですか。海面から上が健在意識で、海面から下が潜在意識。あれ、どっちの方が大きい絵ですか?
―― 下の方が隠れてる部分です。
谷口:てことは、喋ってる内容っていうのは、氷山の水面の上に出てることなんです。
―― 確かに。
谷口:でも、本人にとって重要な情報って、海面の下にある情報なんですよ。
それを人って無意識で発信してるんです。
だから、潜在的な部分の情報を話しながら、内容は顕在的な内容なんですけど、要は発信してる情報はそれに加えて潜在的な情報もすごく発信しているんです。
例えば、奥さんでも、彼女でも「ねえねえ、これどっちがいいと思う?」とかって聞くじゃないですか。「どっちがいいと思う?」って聞いてますよね。
でも、時々心の中で「え、決まってるじゃん、もう。」って思うことないですか?
―― あー、なんとなく。
谷口:なんとなくね、だから、迷ってるんじゃなくて、後ろを押してほしいとかっていう。
でも、言葉では「どっちがいいと思う?」って聞いてて、「迷ってる」って言ってるんですけど、いや、潜在的水面の下は、こっちがいいと思ってるから、そっち賛同してとか決まってることを発信してるんです。
でも、「どっちがいいと思う?」とかっていうと、「こっちがいいと思う。」とか言っちゃうわけですよ。
でも、日常会話で僕なんか「どっちがいいと思う?」って、聞かれると、あ、これ決まってるんだなって、 「どっちもいいと思うけど、でも、どちらかというと、どっちの方が気に入ってんの?」っていうと、「あ、どっちかというとこっちかなぁ。」「僕もそう思う。」って言うんです。っていうことです。
だから、人は話した時の方が、本人にとっていっぱい良いことが起きるってこと。
今話してる時には、すでに顕在化して意識に上がってる内容を喋ってるわけね。
でも、重要な情報っていうのは、水面の下の潜在的な部分の情報の方が、実は コーチングにとっては有益なんです。
それを聞き取って戻してあげると、クライアントさんは自分でも気づいてない潜在的な水面の下の情報が増えるってことですね。
気づいてないのにコーチが聞き取って返してくれる。
そうすると、情報が多い方が上手くいくので、クライアントさんに話させたり、聞き分けたりしてる。ということなんです。
では、4つ目の質問。
さっき、良いことが起きるって言いました。
聞き上手な人にいっぱい話しますね、そうすると、話した本人には生まれる良いことにはどんなことがあると思いますか?
【質問4】聞き上手な人に話すと、話した本人には生まれる良いこととは?
谷口:ちょっとこれはシンキングタイムですね、パアーっと20個ぐらい出る?
これ、プロコーチって名乗ってる人は100個位出ないといけない。だから話させるんですよって説明がつくよね。
―― そうですね。
谷口:多分マスターレベルのコーチだと100個簡単に出ますよ。
―― すごい!!
谷口:でも、コーチング習ってない人だと、少し促してあげて10個ぐらいかな、なので、ここでは20個ぐらい。ぜひ皆さんに考えてください。シンキングタイム。
ということで、3つぐらい出る、話した人に起きる良いこと。
―― まず、気づく。自分が思ってることに気づくとか。
谷口:さっきのそうでしょ。話しながら、自分の水面下にあることに気づく。「気づく」ってありますね、他は?
―― 明確になっていく。
谷口:そうそう、物事がはっきりします。もう1個ぐらい。
―― あと、気持ちもモチベーションも上がっていく。
谷口:上がりますね。どんどん何かやりたくなってきた!みたいなってあるじゃないですか?
頭の中に起きる良いことってあるんです、脳内に。それと、精神状態、メンタル的に良いこと。あと、体に起きる良いことがあるんですけど。
例えば、頭の中で言うと、考えが整理される、まとまる、思い出す、記憶する、閃くとか、話しながら ありますよね。
なので、コーチとのブレーンストーミングってすごく有効なんです。
こうやって話すって、すごい能力だと思いませんか?頭の中にある単語とかを探しますよね、それを文章に置き換えて、筋肉運動で音に転換して届けるってすごい力を使います。
なので、思考力、言語能力、説明力、記憶力、色々上がっていく。
次、心。話しながら、何か気が楽になるような経験ってないですか?
―― ありますね。
谷口:ありますよね。悩みや苦しみや辛さが軽くなるでしょ。
それと、不安だったのが少し安心していくとかないですか?落ち着くとか、怒りがおさまるとか、メンタル的に良いかもね。
次。体、体全体。緊張が解けるとかないですか?
―― あー、確かにあります。
谷口:すごいリラックスする、こわばりが取れる、面白い話した方が体がちょっとぽっぽしてきます、体温上がると、免疫力上がりますよね、代謝が良くなる。
あと、お子さんいる方考えてほしいんですけど、脳の中に、神経回路ってあるじゃないですか、シナプスって 、あれが話すとコミュニケーション取ると、ぶわーってネットワーク広げる。ネットワークだから、繋がりだすんです。
僕、保健師さんに見せてもらった脳内って撮影できるよね、わーって子供が話してる時、シナプスがパカって光るんですよ。だから電気信号。脳の中のシナプスのネットワークの量が、頭の良さみたいに言うじゃない?頭良くなるんですって。
勉強ができるとは違いますよ、頭が良くなる、それはね、ネットワークが広がるから。
話すと、この脳の中に、前頭前野ってあるんです。前の方ね、ここがずっと進化して、人間になる時にできてきた部分なんですって。ここ理性を司るところ。
理性の反対って、なんかどんな言葉が思い浮かびます?
―― 本能ですか?
谷口:野生とか、野蛮とか出てきません?ていうことは、話すと理性が育つんです。
話さないと理性が動物のまま、育たないってことは、野生、野番、本能で生きる人っていうこと。
どうするかっていうと、昔、人間も殺りくしてたりしてたじゃないですか。理性的になってくるとそれを抑えられるので、安定する、落ち着く子供になる。
でも、これが育たないと、ハ虫類みたいな子になるんだって。だから反射的にすぐぶっちゃうとか、噛んじゃうとか。
僕、保健師さんに教わったんだけど、いっぱい話を聞いてあげてくださいねって言ってんですけど、僕はわかる。いっぱい話をさせてあげてくださいね。そうすると、ここ育ちますよっていうことね。
なので、話すと、話した人にいっぱい良いことが起きます。それにはどんなものがあるかっていうと、今みたいなのが代表的。
次、5つ目ですね。
コーチは何のためにクライアントの話を聞き分けて支援するのか?
【質問5】コーチは何のためにクライアントの話を聞き分けて支援するのか?
谷口:さっきちょっとヒントも言ったんだけど、聞き分けるとか、聞き取るんですよ。
それで、「こんなこと聞こえてきましたけど。」とか、「こんなことがあの言葉以外の情報として届きましたけど。」って言ってクライアントに戻してあげる。それは、何のためですか?
―― 先ほどのアクティブをちゃんと仕向けるとか、促すためにとかですか?
谷口:若松さんが喋る人、僕がコーチとして聞き取る、聞き分ける人だとしますね。
「それをこうなんじゃないですか。こんなの聞こえてきましたよ。」って返すと、若松さんは自分自身の情報量が増えません?
―― あ、そうですね!客観的な情報が増えます。
谷口:増えますよね。それは、「あなたは気づかないけど、こんなことを発信してましたよ。」って、僕が取ってあげて、「あーそうか。」って、また、1個増えるいうことなんですね。コーチは本人の情報を増やしてあげたい。
でも、よくコンサルタントとか問題を解決するっていう人は、外の情報を増やしますよね。こんな解決策あります、同じ業界でこうやってます、こうやったら上手くいきますみたいな。
でも、これが、コンサルタントとかコーチが圧倒的に違うのは、コーチは本人の情報を増やす。
―― 本人の情報を増やす。
谷口:そうそう、本人の情報を増やしてあげる。だから、いっぱい聞き取って、それを戻してあげると、 自分自身の情報がいっぱい増える。
では、なぜコーチはクライアント自身の本人の情報を増やすんでしょう。
【質問6】コーチがクライアント自身の情報を増やすのはなぜでしょう?
谷口:外の情報でもいいです、自分の情報でもいいです、ちょっと広く考えましょうね。
コーチは本人の情報を増やすためにいっぱい取って返すんですけど、 物事を考えたり、判断したり、決断したり、実行したりするんですね。そうしなきゃ成果出ない。
では、判断したいこと、考えたいこと、決断したいこと、実行したいことの情報量が、多い時と少ない時で、考えたり、判断したり、決断したり、実行したりするのは同じ?それとも違う?
―― 違いますね。
谷口:どっちの方が、より考えたり、判断したり、決断したり、実行できそうです?
―― より情報が多い方です
谷口:ていうことは、情報が多い方が有益。コンサルタントは外の情報を増やすから、多分、判断したり、決断したり、実行するのはできるんでしょうけど。
僕たちがやってるのは、クライアント個人の成長が目的で、その成長の過程で、成果を手に入れる、目標を達成するところがさらについてる目的なので、成長か?成果か?っていったら、成長の方が目的は上なんですよ。
ていうことは、自分の情報が増えると、自分自身のことについて考えたり、判断したり、決断したり、実行すると、その人の成長速度が上がるってことです。
なので、クライアント自身の情報を増やしてあげる。
あと、僕たちは、コントロールできることと、できないこと区別するんですよ。外のことと、自分のことで言ったら、どちらの方がコントロールできる割合が多い?
―― もちろん、自分のことです。
谷口:自分のことでしょ。だから、コントロールできる自分の情報がいっぱい増えることを聞き分けることで手伝ってあげると、クライアントさんはコントロールできる自分のことに集中できる。なので、聞き分けて情報を渡してあげる。
では、その聞き分けるレベル。よく色んなセミナーとかでも言ってるんですけど、4段階あるんです。4段階、素人レベルからマスターレベル、プロレベルで4段階。
どんなレベル、段階で人は人の話を聞き分けてると思いますか?
【質問7】どのレベル・段階で、人は人の話を聞き分けてると思いますか?
谷口:コーチじゃなくていいですよ。人の話を聞くのはどういう目的で聞いてましたっけ?
―― 自分の情報と言いますか、自分が理解するために。
谷口:理解するためですよね。それ、レベル1か2です。
どういうことかって言うと、レベル1っていうのは、言ってることを聞いているんです。
だから、理解したいからなんですね。
レベル2になると、聞く、聞き分ける力がちょっと高くなるんです。言わんとすることを聞く。
ちなみに、自分が誰かに何かを頼みたいとします。webを作る、ホームページを作る、家を作るでもいいです。
自分が本当に思ってることを言葉だけで、どれぐらい相手に伝える自信がある?
―― そうですね、1、2割。
谷口:全部じゃないってことですよね。そんなに 説明力の高い人、多分大学教授でも無理だと思いますね。言語学者でも無理だと思う。だから、どうもうまく伝わらないとかって。
言わんとすること「若松さんが言わんとすることこういうことですか?」って聞かれたら、「あ、そうじゃないんだよな」とか、「こうなんだよなぁ…」、「あ、というと、こういうことですか?」「あ、そうそうそう!」みたいな感じ、日常会話でありますね。
次、自分の思ってることを言葉でどれぐらい正確に言い表せるか?全部言えるか?じゃない、どれだけ正確にいえるか?
それはレベルによっても違うでしょ?3歳の子供と40歳の人と70歳のおばあちゃんでは違うってことですよね。
っていうことは、うまく言えないことがいっぱいあるってことは言いたいんです。
―― そうですね。
谷口:それと、これは相手には言いたくないなっていう、言わないでいいこともある。
なので、レベル3は、うまく言えないことや言わないでいることも聞こうとしてる。
そして、最終のところですね。 氷山の話しましたけど、本人も気づいてないことまで聞き取ろうとしてるレベル。
ちょっと思い浮かべてくださいね。言っていること、言わんとすること、うまく言えないこと、言わないこと、本人も気づいてないこと、で、レベルがどんどん深くなっていくんです。
では、 聞く人の聞き分け力によって成果が違うのか?って実験しようと思うんですけど、お医者さんイメージできます。
―― できます。
谷口:お医者さん聞く人ですよね、問診ね。患者さん話す人ですね、自分の症状を。
要は正確にお医者さんに言える?
―― 言えないです。
谷口:言えないですもんね。じゃあ、お医者さんの聞くレベルでいきますね。
言ってることだけ聞いているお医者さん、言わんとすることまで聞こうとしてるお医者さん、本人が言えないことまで聞こうとしてるお医者さん、本人が気づいてないことまで聞き取ろうとしているお医者さん。
レベル1は言っていることだけ、レベル4は、うまく気づいてないこと、言えないことまで聞いてるお医者さん。
診断と、治療と、患者さんの治癒は同じスピード?同じ割合?同じ成果になるかな?
―― いや、全然違います。
谷口:でしょ。ってことは、聞くレベルによって、診断と、治療の判断と、その治療の施術、薬、投薬なのか手術なのかマッサージなのかわかんないけど、それが変わって、結果が変わるってことですね。
なので、聞くレベルが違うということです、これが「聞き分け力」なんですね。
では、人は自分でも気づかないうちに、言葉の内容は顕在的ですが、言葉の内容以外にどんなこと発信してると思いますか?
【質問8】クライアントは言葉の内容以外にどんなこと発信していると思いますか?
谷口:氷山で言うと水面の上が言っていることですね。
水面の下で、言っているんだけど、同時にこんなことも発信してるんですよ。その中の何か1個、2個思い浮かぶことってない?
―― 表情とかですか。
谷口:それは表情によって何かを発信するんですね。表情から何が読み取れる?
―― 感情とかですか。
谷口:代表的ですよね。「ねぇねぇ、怒ってる?」「ううん、怒ってない!!」「怒ってるよね?」これじゃない?
ていうことは、言葉をう飲みにすると、「あ、怒ってないんだ。」と思うけど、「うん、怒ってない!!」「怒ってるよね??」ってなるじゃない。
感情は出してますよね、言葉って実は7%しか真実を表してないんですって。
―― えー!7パーセントだけなんですね。
谷口:だけなんですよ。だって、結構繕ってますよね。僕たち言葉で「大丈夫。」って言うけど、全然大丈夫じゃない時あるし、「わかりました。」って言うけど、わかってない。
そういうことなんですね。なので、例えば、恐れとか、迷いとか、不安とか、苦しさとか、そんなのもいっぱい発信してますし、喜びだったり、情熱だったり、決意、決断、覚悟なんかも発信してますし、あとは、思い込み結構出してます。
―― 思い込み。
谷口:思い込み。本人は思い込みだと思ってないんですよ。でも、僕たちプロのコーチが聞くと、「それ思い込みだよなー」とかあるんで。
あとは、気掛かりとかはしてます。ものの見方とか、出来事の捉え方も発信してますし、モチベーションとかエネルギーも発信してますし、価値観やニーズ、山のようにいろんなこと発信してるんですね。
だから、「これは思い込みなんだ!」ってクライアントさんが気づかない時と気づいた時だと、コントロール度合いが変わりますよ。
気づいてないとコントロールできないけど、「あ、思い込みか!」って気づいたら、「じゃあ、変えようかな。」って変えられる可能性があるので、いっぱい発信します。
それで、さっき若松さんが答え言いましたけど、トップレベルのコーチはどのようにしてクライアントが発信してる情報を聞き分けてるんでしょうか?
【質問9】トップレベルのコーチはどのようにしてクライアントが発信してる情報を聞き分けるのでしょうか?
谷口:僕たちは、『聞く力』というタイトルの勉強をしてない。
僕は、20数年前にはアメリカから来たプログラム、CCPプログラムを、当時のコーチ21っていうとこで習って、テキストみたいなものをもらうじゃない。
すると、vol.〇〇~ってくるでしょ。『傾聴』とか書いてないんですよ、テキストのプログラムのタイトルに何て書いてあったかっていうと、『目的を持って聞く』って書いてあった。
当時、僕は何の意味も考えなかったけど、そう言われれば傾聴力でも聞く力でもそういうタイトルじゃないんです。
『目的を持って聞く』って僕思い。目的を持って聞く、 目的は目と的って書いてあります目的って。だから、いろんな意味で捉えて 的を絞って聞くってことかって。
何のために聞くかを予め考えて聞いてるっていう、プログラムの内容だったんですよ。
だから、相手のための「何のため?」っていうことをがそれでわかった。
じゃあ、どうやって僕たちは話したり聞き分けたりしてるかっていうと、 何のためにこの話を促すのか、 何に的を絞って聞き取るのかっていうのを予め決めてるんです。
例えば、若松さんも「話して、心の感情を聞こう。」って思って聞くと、さっき言った表情から、感情が読み取れたりしません?
―― 確かに、漠然と聞いてるよりは、そこにアンテナが、さっきおっしゃった的が立つ。
谷口:そういうこと。だから、さっき言ったアンテナを立てる。
それが経験を積んだり、マスターレベルになると、 高性能の、アンテナが頭の中に何十本も立ってる。これも情報が取れる、これも情報が取れる、みたいに。
でも、経験が少ないコーチたちは、 そもそもこの考えを持ってないとアンテナが立ってないです。日常会話の「理解する」をしようとしちゃうから。
でも、わかってくると、アンテナを立てて、あれを聞き取ろうとして、周波数をチューニングして聞いてる。そうすると聞こえる。ラジオと一緒なんです。チューニングしないと電波が届かない。
―― あー、確かに。
谷口:なので、そのアンテナを立てて、どれに的を絞って聞こうか?エネルギーに的を絞ろう、モチベーションに的を絞ろう、感情に的を絞ろう、思い込み的を絞ろう、価値観に的を絞ろうとかっていうアンテナが立ってる。
だから、「若松さん、ずっと話してるんだけど、その根底にはこういう価値観がない?」
僕の価値観は言ってないんだけど、価値観っていうアンテナを立ててるので周波数が合うんですよ。こうやって聞いてるんです。
最後の質問は、ップコーチは何を手がかりにそれらの情報を取っているか?
【質問10】トップコーチはクライアントの情報を何を手がかりに読み取っているか?
谷口:若松さんがさっき言ってくれたのは表情ですね。
ただ、僕はコーチングする時、映像を見ないので、表情は読み取れないんですけど。
僕、職業病なんですけど、レストランとかサービス業やってたんですね。
ファミレス行くじゃないですか、そうすると、ウェイターさんとかいるでしょ?家族連れでメニューが決まってて早くオーダーしたいっていう顔してる人いるんですよ、すごい見つけちゃうんですよね。
ウェイターさんはそれに気づかないですよ。「気づかないんだ。あそこ決まってるのになー。」とかって思っちゃう。表情からそれは読み取っているということです。
なので、読み取れる人はすぐオーダーを取ったり先回りできるので、お客さんの満足度が高い。
それを言わないと来ない店員さんばかりのお店は不満が溜まって2度と来ないとなる。
1つは表情。
それ以外に何を、どんなことを、手掛かりとか何から読み取ってると思います?
―― 声のトーンとかですか。
谷口:そうですね、トーンが変わります。あとは、
―― 仕草とかですか。
谷口:あー、いいですね。若松さん、今いっぱい発信してるんですけど、下向いた視線を上に向けましたよね。
こういうのでも、ヒントになるんです。そういう学問があるんです、どこを向いてる時、何を頭の中に描いているか?とかね。
顔の向き、姿勢、仕草、重心とか、表情もあるし、目の向きとか、目の開け方とかの口角上がり方、それと、声のトーン、リズム、ボリューム、あとは、「間」。
あとは、文章にしたとき「点の数」ってわかります。喋ってる時に「・・・・。」(点)って丸がなかなか出てこない。でも、読み取れるんです。
―― えー!
谷口:じゃあ、「・・・・。」(点が)多い話と、「。」すぐ改行して繰り返される話で、どっちの人の方が迷ってる感じします?
―― 点が多い方ですか?
谷口:ほら、すぐ分かるじゃないですか、「あ、迷ってますね?」ってこと。
こう聞いたらわかると思います。ってことは、迷ってるんだなとか、丸が多いと、もう心の中では決まってますよねって、読み取れたり、聞き取れるでしょ。
で、あとは、主語とか、熟語とか、接続詞「て・に・を・は」でも読み取れたり、語尾でも語調でも読み取れたり、繰り返される言葉でも読み取れたりするんですね。
ということを駆使して、相手のために、僕たちトップコーチは聞いていると。
この 圧倒的に違う「聞く力」をやっぱり頭で理解して、あとは繰り返し、繰り返し実践することで、達人の領域まで 磨き上げられると。
だから、聞く力が高い低いコーチ何が違いますか?って、1番最初に戻ると、もう雲泥の違いです。
なので、同じ1時間の会話の質が圧倒的に違う。ということは、同じ1時間コーチと喋るのに、そのコーチとの会話に感じる価値が全然違うっていうことです。
もっと言ったら、だから、コーチングフィーが全然違う。
―― 今日のお話を聞いていて、谷口コーチが、以前、恒常性(ホメオスタシス)っていうのが思い浮かんできたんですけど、ほっといたら、結局、自分が聞きたいこと聞いちゃうなと思いまして。すごい意識しないと相手のための聞き方ってできないなと思うんで、非常に訓練がいりますね。
谷口:忍耐と訓練、愛がないとできないということで、10個の質問になりました。
―― いや、めちゃくちゃヒントになりました!ありがとうございます。