【コーチングの流れを徹底解説】プレコーチング – 「コーチングの流れ」ステップ2 #67
―― 今回は「プレコーチングとゴールセッティング」です。
プレコーチングやゴールセッティングを行う目的や、そのセッションのゴール、そしてこれらを行うセッションにどれぐらい時間をかけられているのかを教えていただければと思います。
目次
コーチングの目的
谷口:僕はどこかで、コーチングってこういう構造、構成だよという話をしていると思うんですが、
一番最初にオリエンテーションで関係性を築く。そこで、お互いの責任や役割やルールや権利や条件とか、あとはコーチングについて共通理解をしていく、ということをやるんですね。
そのオリエンテーションの時に、クライアントさんに「これはアセスメントっていうんですけど、これを書いてきてください。」と言って、
自分のことをいろいろ書いてもらう資料をお渡しするんですね。それをスターターキットと言います。
そのスターターキットを渡して、書いてきてもらって、それを受け取った後に、その資料をもとに行うのがプレコーチングとゴールセッティングなんですが、
プレコーチングというのはプレだからコーチングの前なんですね。だからこれからコーチングをしていく直前だと思ってください。ゴールセッティングは行先を決めることです。
それをやっていくんですけれど、まず目的ですね。「コーチングとは?」みたいになってきますが、国際コーチ連盟のコアコンピテンシーには、一言で言うと、
「コーチングとはお互いにコーチとクライアントが共にパートナーシップ、提携関係を築きながら、刺激的で豊かな人生を営んでいく、それを手にしていく、その過程をいう」と書いてあるんです。
だからコーチングの目的は、「お互いの人生が刺激的で豊かになるように、お互いが関わっていく」だと思ってください。最初の目的は、刺激的で豊かな人生になるため。そのためにゴールを設定し、目指していくんです。
例えば、今住んでるところから、一生その町から一歩も出ないで、毎日同じ日常を過ごして終わる人生と、
「あそこも行ってみたいなぁ、こんな経験もしてみたいなぁ、あそこを旅してこんなものも食べてみたいなぁ、こんなことをやってみたいなぁ」と思って、
今の町からいろんな所へ出ていって、その目的地に行っていろんな経験をして帰ってくる人生とでは、人生そのものの豊かさや刺激的度合いって違う?
―― 全然違いますね。
谷口:全然違いそうだよね。だから今のまんまでいいですよっていう人にはコーチングはあまり必要ないんです。
「もっと刺激的で、もっと豊かな人生を自分は行きたい」っていう人は、ゴールがあった方がいいですよね。
イタリアに行きたい、世界旅行をしてみたい、もしできるならキリマンジャロに登ってみたいとか、世界遺産を見てみたいでもいいし、自分の知見を本にして残したいとか、ゴールはいっぱいあった方がいいと思います。
プレコーチングとゴールセッティングで行うこと
谷口:そしてそれを活用するんですが、ではプレコーチングとゴールセッティングって何をやるかというと、プレなので、さっき言ったように、クライアントさんにアセスメントにいっぱい書いてもらうんです。
夢は何ですか?あなたの性格は何ですか?あなたの今までのキャリアを教えてください、みたいなことを書いてもらうんですね。
その書いてもらったものを、診断といった方がわかやすいかな。プレコーチングで診断するんです。
例えば、具合が悪いなぁと思って病院に行ったとします。そしたら検査を受けませんか?血液検査だったりレントゲンだったり、いろいろな検査を受けたとしましょう。するとお医者さんは、それを見て診断を下しませんか?
―― そうですね。
谷口:ね?そのいろんな検査が、僕たちでいうとアセスメントみたいな感じ。
お医者さんだったら、レントゲンや心電図や血液のデータを全部もらって、「ふむふむふむ。これだったら、表に現れてる症状はこうだけど、具合が悪い原因は元々これだから、そっちから先に直した方がいいですね。まずはこの数値がこうなることを最初に治療しましょう。」って言ったりしますよね。
これがゴールセッティングです。
だから、僕たちもクライアントさんからいろんな情報をもらうんです。それをもとに僕たちコーチは診断ができるってことです。
このクライアントさんは、こういう状態でこういう性格でこういう特性だから、こういうコーチングが適してるんじゃないか、こういうゴールを置いた方がこの人には最適なんじゃないだろうか、という診断を下せるんです。
そしてその診断結果をクライアントさんに言うわけです。
例えばあなたがクライアントさんだとすると、
「○○さん。もらった資料を僕が見ると、○○さんの今の状態は、あれもやりたいこれもやりたいって、やりたいことがいっぱいあって、どれも何となく思う様に消化できてないような状態が見受けられるんですけど。」みたいに。
「○○さんの性格からいうと、確実に一歩ずつ計画的したものを完璧にこなしていくっていう手順で進むゴールを設定するといいんじゃないですか?」みたいに。
こういう会話をして、そのクライアントさんに一番適した進め方やゴールを一緒に考えて決めていくっていうのが、このプレコーチングとゴールセッティング。
その時に、順番って結構あるんですけど、これも書いてみましょうか。
ゴール設定の順番
谷口:手元にまた三角形を書きましょう。今度は3つ、3段に分ける。一番下に「統合性」、2番目に「ニーズを満たす」、一番上に「価値に沿う」。こういう順番なんですね。
別な言い方をすると、統合性は「バランスを整える」なんです。
ニーズを満たすは「エネルギーチャージ」のこと。
価値に沿うは「真のゴール」のことなんです。
例えば、「起業して売り上げ1000万」なんて言う人がいますよね。これって真のゴールじゃないんですね。これは結果です。
例えば自分の商品を、これぐらいのお客さんの手元に、これぐらいの人数のお客さんがまずは手に取ってくれて、その人たちの人生がこうなることを自分は支援する、みたいにしたら、価値に沿ってる感じがしません?
でも売り上げ1000万って言ったら、それは結果であって自分の価値に沿ってるかって言うと、ちょっと違ったりしますよね。
なので、クライアントさんが挙げてくるゴールっていうのが、真のゴールかどうかっていうのを僕たちは見極めなきゃいけないんです。だからこの手順でいくんです。
例えばバランス、状態も良くてエネルギーもいっぱいあったら、「真のゴールを一緒に探そう」でいいんですね。あなたの価値とは何ですか?みたいに。
でも、もしエネルギーが足りなかったら、「ゴールに向かうよりもエネルギーをチャージすることを最初のゴールにしましょう」になるんです。
また、その前にバランスが崩れてる人がいますよね?バランスが崩れてたら、
「まずバランスを整えることを最初のゴールにしましょう。整ったらエネルギーをチャージしましょう。そしたらいよいよ全力で走れる状態になったんで真のゴールを目指そう」というステップでいくんです。
このように、僕たちはどういう順番でゴールセッティングをしたらいいか、相手の個性や特性を生かすためには、どういうふうにゴール設定をすればいいか、ということを診断出来て、仮説を立てて、その人になるべくふさわしいようにゴール設定をする専門家なんです。
なのでその作業をひっくるめてプレコーチングとゴールセッティングっていう言い方をします。答えになってるかな?
―― はい、もうプレコーチングがないと怖いコーチングだなという風にすごく感じます。
谷口:そうでしょ?「こういうゴールをかなえたいんです」と言ってきたクライアントさんに、「じゃあスタートしましょう!」と即座に言うことは、
病院で例えたら、「ちょっと具合が悪くて、とにかくこの痛みを取り除きたいんです。」と言ってきた患者さんに、「わかりました!じゃあ注射でモルヒネ打ちましょう。」って診断もしないで、検査もしないで注射を打つお医者さんと一緒ですよ。
―― 怖いですね。
谷口:ね?「いや、検査した方がいいんじゃないですか?」みたいになるじゃない。なので結構ウェイトが高いです。
あともう1個質問があったよね。「どれぐらい時間をかけるか?」でしたっけ?
プレコーチングに充てる時間はどのくらい?
谷口:まずその診断書、コーチングでいうとスターターキットになるんだけど、それを書いてもらうのに最低1週間から2週間かかりますよね。
それをもらって僕がその資料を読み込むのに、僕は最低でも3日前ぐらいにくださいと言ってます。出来れば1週間前ぐらいに。もらった資料を診断したいんですね。
そのぐらい時間をかけて、そして今度はクライアントさんと会って診断結果を伝えたり、資料をもとに一緒に「こうじゃない?」って仮説を検証したりして、
「じゃあこうやったほうがいいね。」みたいにプレコーチングをして、「じゃあこういう順番でゴールを置いていきましょう、こんなステップを踏んでいきましょう。」っていうのを設計するのって2時間ぐらいかな。
―― セッションが2時間ぐらいですか?
谷口:クライアントさんと一緒に考える、それをセッションというならば、2時間ぐらいが僕の中ではわりと多いケースだね。これで答えになったかな?
――はい、ありがとうございます。
谷口コーチからあなたへの質問
どんな夢が叶ったら あなたの人生はさらに刺激的で さらに豊かになりますか?
谷口:では、また視聴者の人にも考えて欲しいのですが、コーチングの目的は「刺激的で豊かな人生を送る」なんですね。
どんな夢が叶ったら、あなたの人生はさらに刺激的で、さらに豊かになるか、その夢を教えて欲しい。コメント欄に書いてほしいです。
僕だったら、これは本当に夢なんだけど、ゴルフがすごく好きになって、いろんな所でゴルフするのが楽しみなんだけど、伝統的なゴルフのメジャー大会に『マスターズ』というのがあるんです。
会場が『オーガスタ』というゴルフ場で、すっごいきれいなんですね。そこで松山英樹と一緒にラウンド出来たら、俺の人生は刺激的ですっごい豊かになると思う。叶ったらね。
こんなのを考えるのって楽しいじゃないですか。なので、ぜひ視聴者の皆さん、コメント欄に書いてください。どんな夢が叶ったら、あなたの人生は刺激的で豊かになるのか。
「1000万とか宝くじが当たったら・・・」は、刺激的で豊かにならないです。案外不幸になりますよ、宝くじが当たるとね。
なので、もしお金って考えたら、そのお金をどのように使ったら、使ってどんな体験や経験が出来たら刺激的で豊かになるか?って考えるといいですね。
ぜひいっぱい書いてみてください。