コーチがセミナー講師に向いている理由 PART2 #48
・・・【PART1】#47から続きます。・・・
── 「パーソナルコーチングができる人はセミナー講師や研修講師もできるようになったほうがいい」、と谷口さんはおっしゃっていますが、どういうところからそう思われるのでしょうか?
パーソナルコーチと
研修講師・セミナー講師には親和性がある!
谷口:まず、パーソナルコーチングも、コーチとクライアントのやり取りですよね?
企業研修やセミナー講師も、講師と参加者のやり取り。別に物を作っているわけじゃないですよね。両方ともやり取りですよね?
そういうところにすごい親和性がある。同じようなことをやっている。
パーソナルコーチっていうのは、日常会話ではない、非常に有効性の高い効果のある会話のスペシャリストになっているわけです。
それがコーチングコミュニケーション。
それが1対1でできるということは、それをそのまま大きな会場の中の講師対参加者の1対1のコミュニケーションに置き換えればいいだけ。
なので、本当にいいパーソナルコーチングができる人は、それをそのままセミナーの参加者とのやり取りに持っていけばいいだけなんです。
ちょっとしたテクニックとか技術とか知識は必要ですけど、全く別なものを学ぶとか、別なものを習得するのではない。
だからすごく有効だというのが一つあります。なので親和性はすごく高いですね。
電話やSkypeやZoomでの1対1のクローズな場でやっているのか、オープンな場でやっているのかだけの話なんです。
僕は研修講師のトレーニングでも、600人が目の前にいても、1対600ってできないと言ってる。
満足度が高いセミナー講師や研修講師って、目の前に何千人いても1対1のコミュニケーションをやるんです。
よく大統領の選挙とか、日本でもそうですけどスピーチの時に、こう見て、こう見て、こう見ながらしゃべる人いますよね?これ、一人一人に話しかけてるからファンが増えてくるんです。
でも、一方向を見てしゃべっている人って、結局、受講者は自分に向いてしゃべってもらっている感覚がないんです。
1対1ができれば、目の前に20人いようが、30人いようが、結局1対1を何人もとやっているだけなんです。だからそういう意味ではすごく向いている。
── そうですよね。企業研修というと何人もいるから全く別なものなのかなって思っていましたが、そういうふうに1対1でのコミュニケーションと考えたら、1対1でのゴール設定であったり、成果を積み重ねていくというそのプロセスができれば、何人増えてもやっていくことはそんなに変わらないんですね。
谷口コーチが、「パーソナルコーチングができる人はセミナー講師や研修講師をやったほうがいい」、とおっしゃる背景がよくわかりました。
コーチのアドバンテージ、優位性とは?
谷口:あとは、アドバンテージとか優位性もある。
パーソナルコーチングができる人がセミナー講師や研修講師をやった場合と、パーソナルコーチングをやっていない人が研修講師をやった場合では、全然違うんですよ。
何が優位性かと言うと、例えば、セミナーとか講座とか、勤めていた時に研修とか、そういうものを受けた記憶ありますか?
── はい。個人でも気になったものはどんどん行きます。
谷口:そういう時に、前に立っている人のコミュニケーションの取り方で、内容じゃなくて、なんか満足不満足とか、好き嫌いとかない?
── ありますね。
谷口:ありますよね?こいつ上から目線で言って来るなとか、前提としてあなたたちは間違っているメッセージすごい来るなとか。
ということは、内容じゃなくてコミュニケーションの取り方で、受講生はすごくジャッジをします。
セミナーの中身じゃなくて、前に立っている人のコミュニケーションの取り方ってすごく評価につながるでしょ?
ということは、パーソナルコーチングをしている人は、コミュニケーションの取り方のプロなんだから、研修の中身よりも一歩リードしていないですか?関わり方が上手いわけだから。
中身はすごくもっともらしいことを教えてくれてるんだけど、なんか従いたくないなとか、教えてもらったことがなんか嫌だな、とか思うのは、教える人が良くないんです。
そういうことでいうと、研修の中身とか、セミナーの内容の前に、人との関わり方が上手いということは圧倒的なアドバンテージです。
それが僕があると思うものの一つなんです。
次に、若いコーチが、セミナー講師市場や研修講師市場に参入しますよね。
僕はやってみてわかったんですけど、すでにその市場には講師をやっている人たち、研修講師がいます。
例えば、ある大学で研究していた人が研修講師になりました。コンサルタントで問題解決や分析をしている人が研修講師になりました。そういう人達がいっぱいいる世界なんです。
その人たちは知識やノウハウはいっぱい持っている。ただ、コミュニケーションの取り方はへたくそなんです。
そうすると、往々にして今までにある研修業界っていうのは、そういう人達がやる研修って、参加者のアンケート評価が低い。
なぜかというと、話し方がムカつくから。なんとなくイメージ分かります?
── なんとなくわかっちゃいますね。
谷口:でも、そういう人しかいないから、企業も研修会社もそういう偉いといわれる先生に頼まざるを得ないんですけど、そこへ僕たちみたいなすごくコミュニケーションの専門家が講師として入ると、今までの先生とは違うとなるんです。
なので、すでにある市場なんですけど、圧倒的に偉いといわれる先生たちがまだいっぱいいて、僕たちみたいなコミュニケーションの専門家はまだ少数派なので、市場にはもうすでにいろんな研修講師はいるんだけど、結局、参加者を非常に満足させるような研修ができる人はごくわずかしかいない。
だから、あとから入っても、自分がその世界で頭角を現していくことはまだまだ簡単にできる。
── そうですね。勝負できるマーケットですね。
谷口:僕だって会社に勤めていた時に、営業マンとしていっぱい研修出たんです。
でも、すごくこれは良かった、満足したって、感動したっていう研修って、たぶんなかった。終わった後に、仕事溜まってるし、一杯飲んで帰るか~みたいな、終わった終わった~みたいな。そんな感じだった。
そういうアドバンテージがあるということです。
── これはすごいアドバンテージですね。
谷口:なぜかというと、「プロコーチとは」って4つのコンテンツで構成しているものが、国際コーチング連盟のコア・コンピテンシーという行動指針に書いてあるんですね。
1つは、コーチとコーチのプレゼンスというもの。存在感ですね。
次に、関係を共に築くというもの。共同体感覚を作れるっていうことですね。だから、研修講師、受講生っていうと、教える人、教わる人って、共同体じゃないんです。上下がある。
でも、コーチは共同体を作れるんですね。教える人でも教わる人でもないんです。だから僕が研修会場に行くと、僕は教える人じゃないんです。僕は、共に何かを見つけ、共に何かを考える人。関係性を共に築く。
次、効果的なコミュニケーションというのが3つ目にある。ということは、効果的なコミュニケーションの専門家っていうことなんです。説明の専門家ではない。なので、効果的なコミュニケーション。
あと、行動を促進するっていうのが4つ目の項目なんですけど。
── 大きいですよね。この行動を促進するというのは。
谷口:だから、僕がする研修は参加者がアクションを起こすわけです。多くの研修は、研修が終わった後に、参加者がノーアクションなんです。
この4つができるってすごくないですか?
── 4つがあったらもう完璧ですね。
谷口:逆を言うと分かりやすいと思う。
「存在感」を逆に言うと、ロールモデルやポジティブな参加者に影響を与えるような立ち振る舞いや、影響力ではない。上から目線で来る、攻撃的になっている、実践者っぽくない人が前に立っていて、関係性を共に築くような立場を取らない。
教える人教わる人、正しい自分と間違っているあなた達。みたいな関係性を取ろうとする人。
「効果的なコミュニケーション」じゃなくて、ただ説明をする人で、行動を促すような影響力は持っていない。
それと比べられたら圧倒的に僕たちの方が優位性があるよね。
── ものすごく優位性があることがわかりました。
谷口:ここまでは、研修の中身は何もしゃべっていないです。研修の中身。なので、研修の中身なんて本を読めばいい。
大体研修で教わることなんか、今なんかインターネット調べたらどこにでもあることなんです。
中身の優位性じゃない。よくいう、コンテンツの優位性じゃないんです。
だから僕はすぐ「やってごらん?」って言う。
大体みんな「すごく評判が良かったです」って言います。初めての人もドキドキしながら人の前に立つんだけど、「どうだった?」って聞くと、「すごくみんな喜びました」とか。そして「またやりたいです」「ね?」って。
やっぱりコーチやっている人はすごく上手くいきます。
── そうなんですね。
谷口コーチがプロのコーチを育てる場として作られている『虎の穴プロフェッショナル』(通称:虎プロ)というコースがあるんですが、
以前、その虎プロの卒業生の方にインタビューをさせていただいた時に、複数の方が、谷口コーチのセミナーや研修のやり方をそっくりそのまま真似るようになったら、評判がどんどんよくなって、企業からのリピートもずっと来るんです、というお声をたくさんいただきました。
それにはおそらく、まだ何か秘密があるんじゃないかと思うのですが、ぜひ教えてください。
谷口:まず、目の前に立っている人と受講生、簡単に言うと、セミナー講師や受講生の関係性の話をこれまでしました。
僕は言葉を作って、「セミナーコーチ」「研修コーチ」っていう名前にした方がいいよと言ってる。
ただ、あまり認知されていないので、研修講師でもセミナー講師でもいいけど、でもやっていることはセミナーコーチ、研修コーチでいる、そういうプレゼンス、存在感や人との関わり方をしたらいいよ、というのをお伝えしました。
今度は中身に入っていきますね。なぜリピートや感動をするのか・・・