【単発で終わらせない】継続契約が“当たり前に”生まれるセッション設計のコツ|コーチング実務編
―― 今回は「継続契約が当たり前に生まれるセッション設計のコツ」というテーマで谷口コーチにお話を伺っていきたいと思います。
コーチとして活動している方の中で、
・体験セッションや単発セッションは取れるけれど、なかなか継続契約に結びつかない。
・セッションには満足してもらっているはずなのに、「またお願いしたいです」とは言われない。
・継続の提案をした瞬間、空気が重くなる気がする。
など、谷口コーチがコーチングビジネスとしてとても重要視されている「リピート」「継続契約」について、悩みを持たれているコーチもたくさんいると思います。
谷口コーチは常々、「コーチングはセッションではなく、3ヶ月や6ヶ月といった契約期間中のプロセス全体のことを指す」と言われていると思いますが、そのコーチングプロセスの中に、リピートをしてもらうことも想定した、コーチングプロセスの設計をされていますよね。
そこで今日は、リピート獲得に悩みを抱えているコーチたちのために、リピートが”当たり前に”生まれるコーチングプロセスの設計のコツについて、教えていただけないでしょうか?
体験セッションの落とし穴:なぜ違和感が生まれるのか?
谷口:若松さんの話の中で、「単発セッション」や「体験セッション」という言葉がありました。多分それは、セールスの一環として行われているものなのでしょうね、そこから繋がらない、リピートが上手くできないという。
例えば、3ヶ月契約したら、みんな3ヶ月で終わってしまう、だから更新しない。っていうことを言っているんだろうなと思います。
一つが、リピートで言うと少し違うのですが、セールスが成約するかどうかで言うと、単発セッションとか体験セッションというのを結構みんなやっているんですけれど、あまり上手くいっていないんじゃないかなというのを想像します。
もし、僕が言うとしたら、コーチング・カンバセーション、コーチはどんな会話を何のためにやるのか、そのためにどんなスキルやツールを使うのか、というのを、説明しながら「一度体験してみませんか?」という言い方にするかな。
なぜかと言うと、コーチングというのは非常に長いプロセスなんですね。
まず、オリエンテーションで関係を共に築き、同意を取り交わし、クライアントのデータベースを整えて、ゴールセッティングをやる「プレ・コーチング」をやり、いよいよゴールに向かって歩き出して、その歩き出した後ゴールまで行動が継続するためにフォローするのが「フォロー・コーチング」です。
この会話の前後を全部取っ払って「体験」や「お試し」と言っていると思うんですね。そうすると、何の同意も取り交わしていないし、ゴールセッティングもしていないし、関係性もちょっと半信半疑な人に、フォロー・セッションをいきなりやる。
これは非日常の会話なんですよ。何の説明もしないで、異文化の言語で喋るみたいな感じなんです。そうすると、往々にして「なんか違和感がある」という状態になる。
そうすると、まず上手くいかないというケースがすごく多いんじゃないかな。
コーチとクライアントの会話って、日常会話と全然違うので、初めての人は面食らうと思います。それをいきなりやるわけでしょう。そりゃ面食らうし、違和感しかないよな、と思うんですね。
なので、全部そういうのを説明した上で、「実はこういうプロセスでこういうことをやっていって、途中でフォローをしていきます。
フォローというのは、行動が継続する、ゴールまでチャレンジをしていくために、エネルギーを整えるという目的でやるものです。その時に取り交わすコミュニケーションを、フォロー・コーチング、もしくはフォロー・コーチングのカンバセーションという言い方をしています。
そこでは、どんなスキルを使うか、どんなツールで支援するか、その30分のフォロー・コーチングの構造はこうなっていて、こういう会話をしていくんです。
代表的なスキルに、アクティブ・リスニング、効果的な質問、フィードバックなどがあって、それは何のためにやるかというと、こういうことでやります。なので、ここではその会話をちょっとだけ体験してみましょう。」
と言って、何かテーマや課題について、「今からこういう目的でちょっと聴きますね。」とか、「今やったのがアクティブ・リスニングで、話すことによってこういう効果があるんです。」みたいなレクチャーをしながらやるかな、僕だったら。
いきなり違和感のある全体像の一部だけ取り出して「コーチング体験しましょう!」なんて言うと、大体、面食らう。それで上手くいかないケースが多いんじゃないかな、というのが一つです。
「満足」はリピートに繋がらない:期待値と実感値の関係
谷口:次に、コーチングを契約しました。契約内容と同意も取り交わしました。アフターセールス、契約をしたその決断が間違いないか、不安を安心に変えるアフターセールスもしました。ゴールセッティングもしました。向かって歩き出しました。関係性が続いてフォローしていくわけですね。
でも、「リピートしない」ということには理由があるわけです。
若松さんに少し聴くんですけど、コーチングじゃなくていいです。僕たち、新しい経験や体験をしますよね?一番身近なところでいうと、食べ物屋さん。初めて行くお店ってあるじゃないですか。「ここネットに載ってたよ。」とか、「ここ美味しそうだよ!」と見つけて行ったとして、一回こっきりのお店と、また行くお店ってないですか?
―― あります。
谷口:あれ、何が違うんですかね?
―― 何でしょう・・・満足度、というか。
谷口:じゃあ、「二度と行かない」というお店と、「まあ一回でいいかな」というお店ありますよね。この違いって何?
―― 二度と行かない方は、大きな不満というか、怒りがある場合ですよね。
谷口:「なんだよこれ・・・」とか、期待を裏切られたみたいな感じですよね。次は来るかと言われたら「まあいいかな」と思うのって?
―― 不満はないけど・・・
谷口:そう!「不満はないけど」っていうやつなんです。まあ、お金払った分の何らかの利益は得てるんじゃないですか。お腹いっぱいになったし、そこそこ美味しかったし、というぐらいですよね。
ということは、この「不満じゃないけど」というのが、実はビジネスで言うと「満足した」と同義語なんですよ。
みんな満足したらリピートすると思っているんですね。でもそれは「不満じゃないけど」と同義語なんです。
だから、満足ではリピートしないということですね。
例えば、初めて行く旅館やホテルも、「また行きたいか?」と言われると「他の旅館に行ってみようかな・・・」となるのは、「不満じゃないけどな」ということだろうと思うんですね。
ここを勘違いしない方がいいと思います。だから、満足しているクライアントさんはリピートしない可能性が高いと思います。
これを僕はいろんなところでお話しするんですが、私たちは何かサービスや商品に期待を持つわけですね。さっきの食べ物屋さんでもいいです。
「美味しそうだね」とか、「インスタに載ってたね」とか、何となく期待があるわけですよね。その基準を持って行って、食べて、もしくは待たされて、帰りのレジでは不貞腐れるかもしれないしとか、色々経験をするじゃないですか。それが実感になるわけですね。
そうすると、期待値と実感値がどういう関係なのかというのを常に考えますね。期待していたのに実感が低かったら、期待を裏切られた、ということで感情は不満とか、もっと言ったら怒りですね。口コミに星一つ、「二度と行かない」と書くわけですよ。
で、「美味しそうじゃない?量もいっぱいあるし」と期待して行ったら「まあまあ美味しかった、量もいっぱいあったね、お腹いっぱいになったね」というのは、期待値と実感値がイコールなんです。これは満足。「ああ、美味しかったね」という満足。でもこれは「不満じゃない」と同義語なんです。
ここで終わっちゃうんじゃなくて、期待より実感値の方がちょっと上――「あの値段であの味って凄くない?」「すごくリーズナブルなのに、今まで食べた中で一番美味しかったかもしれない」ってなると、また来ようとなるじゃないですか。
なので、期待をちょっと超えないとダメですね。これをやっていくとリピートになります。
リピートの秘訣
①メタコミュニケーションで小さな不満を取り除く
谷口:まずどうやってやるかというと、最低限「不満じゃないけど」を排除しなきゃいけないんですよ。
大きな不満じゃないけど、ちょっと棘が刺さるぐらいの、不満まで行かないけどみたいな、小さなわだかまりみたいなのって日常にないですかね。
―― 確かに、あります。
谷口:例えば、よく行くスーパーでもいいです。ユーザーとかサービスを受ける人というのは、無意識で「スタンプカード」に押しているんです。
小さなわだかまりとか、本当に棘が刺さったような不満足を、「言うほどでもないし、まあいいかな、許容範囲かな」と思って受け流している。ただ、スタンプカードなのでだんだん押されていくんですね。
コーチングで言うと、3ヶ月契約する中で、コーチング中にちょっとずつクライアントがスタンプを押していったとすると、終了時点でスタンプがいっぱいになってしまう。そうすると「まあ、不満かな・・・」みたいになって「これでいいです」となってしまうんですね。
ということは、日々の小さなわだかまりをその都度取り除いていくというのが、リピートに向けてまず一つ大事なことです。
そのために大事なのが、「メタコミュニケーション」です。
メタなので、今の僕たちの関係性や関わり方、やり取りを二人で俯瞰して、そのやり取りについてコミュニケーションを取るというのがメタコミュニケーションなんですね。
例えば、「今日僕たちは本音で話せただろうか?」とか、「今日こんなことを話したいなと思っていたことは十分話せましたか?」とか、「できれば私にもっとこうしてほしかったな、ということがあったら教えてください。」とか、「私はコーチとして十分に支援できていましたか?」とか、「本当に心の底から正直に話せていましたか?」というのを、その都度メタコミュニケーションとして取っておくと、不満までは行かない小さな気がかりがその場で取り除かれていくんです。
そうすると、スタンプカードにスタンプが貯まらない。コーチングが始まってからもそうだし、セッションごとでもいいし、セッション中に何回でもいいので、自分が思っているより頻繁にメタコミュニケーションを会話の中に取り入れることが、一つのお勧めです。
②夢やゴールで期待を超える体験を提供する
谷口:次に、期待値と実感値がイコールだと満足。でもそれは「不満じゃないけど」と同義語なので、リピートに繋がらない。ということは、期待より実感値が上回るコーチングをしないとダメですね。そうすると人間って、ちょっと感動したり、感激したり、最上位だと感謝したりになるわけですよ。じゃあどういう時にそうなるか?なんですが。
若松さん、旅行ってしますか?
―― たまにします。
谷口:もう一度行きたくなるような旅館やホテル、場所って、何らかの感激や感動、感謝があるんじゃないですか?
―― そうですね。そういう体験がセットになっていると思います。
谷口:何か思い当たることはある?具体的になんでもいいですよ。
―― 家族で行ったとか、結婚式を挙げた場所とか。何か体験や感動がセットになっていて、記憶に残るようなところは「また行こう」となりますね。
谷口:多分、期待ではないものが付加されるんですよね。例えば、思いがけない気遣いをしてもらったり、サプライズがあったり、期待以上のサービスを受けたとか、色々あると思うんです。
感激や感動というのは、期待通りの結果ではダメなんです。だから、問題が解決したとか、悩みが軽くなったということでは、あまり感動や感激にはなりません。なので、コーチングでお悩みの解決や問題の解決だけでは、あまりリピートにならないんです。
例えば、お腹が痛くて止めたい時、薬を飲んで止まったら「ああ、良かった」となりますよね。でも、その薬を飲んだらお腹が治るだけでなく、心身ともにすごく元気になるとか、高揚してくるとか、何かプラスアルファがあったら「これいいな」と思うじゃないですか。期待を超えるということが一つのポイントなんです。
その時に僕がよくやっているのが、夢やゴール・目標に向かってコーチングをすることです。そのプロセスでは、今までになかった経験をします。
今まで見なかった世界を見られたり、体験したことのない体験ができたり、今まで知らなかった世界に行けたり。あと、「こんな自分が将来いるとは思わなかった」という、自分でもびっくりするような自分に出会えたり。
これは、夢やゴールを目指したからこそ手に入るもので、その時に「谷口さんと一緒にこれに向かってきて、思いがけないものが手に入った」と感じてもらえます。
もちろん、夢や目標にも近づいたけれど、それ以上に多くの経験や体験、知らない世界を見ることができた。そう感じてもらえると、期待値よりも実感値が上回るので、リピートに繋がっていきます。
まとめ:リピートを生む2つの秘訣
谷口:リピートの秘訣はこの2つではないでしょうか。
一つは、言わないけれど溜まっていく小さな不満を、メタコミュニケーションで取り除くこと。
もう一つは、問題や課題・悩みを解決するだけでなく、夢やゴールに向かうことで知らない世界を見たり、経験したことのない経験をしたり、心が動くような体験をしたり、違う自分に出会うこと。
こうなるとリピート、そして紹介にも繋がっていくんじゃないかなと思います。
―― ものすごく参考になりました。












