【完全解説】質問が上手いコーチの特徴【コーチング】

最終更新日:2025年11月13日

―― 今日は、「質問がうまいコーチの特徴」というテーマでお話を伺いたいと思います。

谷口コーチはこれまで、15年以上にわたってたくさんのコーチを育成されたり、たくさんのコーチの方達のセッションも見てこられたと思います。その中で、「このコーチは質問がうまいな。」とか、逆に、「このコーチの質問は、もう少し改善した方がいいな。」と感じられることもたくさんあったのでは、と思うんですね。

そして、谷口コーチご自身も20年以上プロコーチとして活躍されてきた中で、質問力というものも磨かれてきたと思うんですけれども、質問がうまいコーチには、“共通する特徴”というものがあるのでしょうか?

初級・中級・マスターの段階的違い

谷口:これを見ている人は、コーチングを勉強してるとか、コーチになりたいっていう人、前提でいきましょうね。

例えば、コーチングを勉強しだした時の初心者から、国際コーチング連盟のプロフェッショナル認定コーチ位の中級のレベルになった時と、マスターレベルになった時で、また変わるんですよ。

段階的にいうと、マスターレベルの人は上手いなと思うわけです。中級のプロフェッショナル認定コーチ位の人は、もう少し改善の余地は十分あるなと。初級編の人は、まだまだ日常会話から抜け出せていないなっていう感じなんですね。

では、段階的にみていきましょう。

日常会話とコーチングの質問の違い

谷口:僕たち、コーチングじゃない時にも人に質問してますよね?普通のコミュニケーションとか、日常会話に質問はあるじゃないですか。

まず、大前提が全然違うんですよ。日常会話で人に質問する時、どんな目的で?とか、どういう理由で人に質問していると思う?

―― 例えば、子供とかに「今日どこに行ってたの?」とかいう質問です。だから、自分が知りたいっていう感じです。

谷口:そうそう。だから、日常会話の質問は、『自分のため』なんですね。自分が知りたいことを往々にして相手に聞いている。

コーチングの会話っていうのは全く違うんですね。自分が知りたいことは相手に聞いていないんです。それを僕「for me 質問」と「for you 質問」って、よくいろんなところで解説してんだけど。

自分が知りたいことを相手に聞いてるのか、相手のためになるような質問してるのか、大前提がまるっきり違うんですよ、日常会話で。なかなかこれが区別できないんだよね。

―― 確かに、難しそうですね。

谷口:そうそう、なぜかって言うと、日本で何十年も生きてたら、自分のためにする質問を何十年もしてきているわけですよ。

それを急にコーチになりました、コーチング習いました、っていって、全くそれと違う意図の質問をするっていうのは、ずっと右利きの人が、勉強して急に左利きで何かをやりなさいって位違うんですよ。ここを超えるのにまず一苦労する。

だから、コーチング初心者の人の質問って、コーチングをしている間に自分が知りたいことを結構聞いているんですよ。

まず、ここで分かれるんですね。自分の聞きたいことを聞いてるのか、相手のためか。

for me 質問 と for you 質問の見分け方

谷口:コーチング時間が、分かりやすいように1時間あるとします。その中に質問をコーチが10個してました。その内の何個は相手のための質問で、何個は自分が知りたい質問していたか?っていうふうに分けると、自分のレベルが分かりやすい。

初心者は、半分自分が知りたいこと聞いているんですよ、結構。でも、勉強してるから一生懸命コーチング的な、相手のための質問をしているんですね。

なので、自分のための質問をしているかな?この人は、相手のための質問しているかな?って、僕、観察すると、大体レベルがわかる。これが第一段階ですね。

効果的な質問とは?

谷口:今度、プロになってくるじゃないですか、プロになってくると、相手のための質問が多くなってくるわけですよ。『自分の知りたいことを聞く。』っていうのを抑えられるようになってくるんですね。

だんだん左手も使えるようになる。右手も使えるけどなってく練習をするから。

その時に、上手い人と下手な人ってある。まず、大前提が『相手のための質問』なんですけど、どんな理由、目的でその質問しているか?

それを僕たちは効果的な質問って習うんだけど、「効果」って辞書で調べると面白いんですよ、ある働きかけによって期待通りの結果が現れることを効果っていう。

だから、一番分かるのが、薬って効果があるでしょ。例えば、成分があるわけじゃないですか、それが体に働きかけて熱が下がるとか、お腹の痛みが取れるとか、下痢が止まるとかあるじゃないですか。

ということは、成分が働きかけで、期待通りの結果が、痛みが取れるとか、熱が下がる。が、期待通りの結果。それが期待されるから薬は効くってことですね。同じなんですよ。

コーチがしてる質問が、どういう意図で、どういう結果を見越してその質問してるかがはっきりしてる人は、まず上手い

ただ、なんとなくわからなくて「とりあえず質問しなきゃ!」みたいな感じで、一生懸命習ったことをやっているっていうとまだ未熟かな。

だから、僕なんかコーチのトレーニングやると、まず意図を説明して質問をするっていう練習をするんです。例えばこういうことですね。

「じゃあ、若松さん、ちょっと曖昧だと思うので、もう一度ゴールを明確にしたいから、ちょっと質問していい?ところで、若松さんは、いつまでにどんな人生を自分で作り出したいと思ってんですか?」

っていうと、期待される結果と質問がセットになってますね

ゴールを明確にする、そのためにこういう質問する。あなたがあなたのゴールが明確になるためにこういう質問する。その練習をして、そういうのが言わなくても見て取れるコーチはまだ中級かな。

だから全部、効果を見越して質問しているか?じゃあ、代表的な効果って何かっていうと、「視点が変わる」とかよく言うじゃないですか。だから、クライアントさんの視点が移動するかどうか。クライアントさんの視点が増えるかどうか。クライアントさんの視点が広がるかどうか、広がるっていっぱいあるんですよ、空間的にも、時間的にも、視野や視座的にも広がるかとか。

それと、「○○が明確になる。」代表的なのが、ゴールが明確になるとか、自分のブレーキが明確になるとか、そういう意図されてる結果はですねまだまだいっぱいあるんです。

これが、ちゃんと質問する意図として、僕たちマスターコーチが見てもちゃんと読み取れるか。「あ、このコーチはこういう目的でこういう質問してるんだな。」っていうのが見て取れると中級の上ぐらいまでいきますね。

質問の順番の重要性

谷口:次のレベルは、どんな順番で質問しているか?なんですよ。

ちょっと手元のスケッチブックに書いた方がいいかな、順番を表す代表的なのを僕、こういうのを教えているんですよ。

「to do」、「to have」、「to be」。「Why」、「What」、「How」で、これをどの順番で聞いているかです。

若松さんもよくコーチングのトレーニングとか、コーチたちの話を聞いたり、エクササイズロールプレイを聞いて、上手くない人っていきなり「to do」って聞くんです。

まず、「どうします?」って聞く。「何ならできますか?」みたいな。だから『する』ということを聞くんですね。

「Why」、「What」、「How」の順番でいうと、「どのようにすれば問題は解決しますか?」みたいに聞いちゃうんです、いきなり。

そうすると、クライアントさんって、「to do」ばっかり聞かれると…、あれと一緒「to doリスト」って苦しくなりません?やることばかりになっちゃうから。

なので、「to do」は最後。上手い質問の人は「to be」

「将来、自分が理想とするあるべき自分の姿ってどんな自分の姿だと思います?」っていうのはなる=「to be」。どういう自分になるか?って聞いてるじゃない。そうすると「to have」ですよね。

「その時のあなたが持っている能力や考え方と、今あなたがそれを持っていない考え方や能力には何があると思いますか?」

だから、何を備えているのか?って聞いてるんです、その人は。

「じゃあ、そのために何から始めたらいいでしょう?」とかっていうふうにして、あるべき姿を明確にし、今は持っていないけど、理想の自分になった時に持っているものが明確になり、そのギャップを埋めるためにどんな優先順位で何から始めればいいかって順番で聞いてる人はうまい。

もう一つが、「Why」、「What」、「How」ですね。

「どうしてそこへ向かうんですか?」とか、「どうしてそのゴールなんですか?」とかって、まず目的を聞いているんです。

「それは具体的にどういうことなんですか?」「それは何なんですか?」って、「What」を聞いて。

「そのために、どのようにあなたは取り組めばいいでしょうか?」「そのための方法にはどんなことがあると思いますか?」って「How」を聞いてるのに、いきなり「どうすればいいと思いますか?」って聞くから、それが分かったらコーチ雇わないよ…みたいになる。

各レベルのまとめ

っていうふうに、初級レベルだと日常会話との区別ができるかどうか。

プロフェッショナルレベルになると、目的を持ってちゃんと意図的に質問しているかどうか。

マスターレベルになると、その質問の順番、クライアントさんの頭の中がどういうふうな組み立てで、最後にアクションに起こしていけるのか?順番までコントロールできるようになるか

で、最後にエゴを手放せるようになるともうマスターレベルかな。こうしてあげたいとか、助けてあげたいとか、解決してあげたいっていうのを全く手放す。それはクライアントさんの責任だから。

ただ、コーチとして、プロとして最善を尽くすのは自分は責任を持つ。このエゴを手放せるようになる。大体、この段階を踏んでいったら、もう本当にこの人は質問が上手いなって僕は思いますね。

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