【リーダー必見】指示待ち社員を自走型エースに変える最強コーチング術

最終更新日:2025年12月17日

―― 今日は「指示待ち社員を自走型エースに変えるというテーマでお話を伺いたいと思います。

「最近の若手の社員は指示待ちばかりで・・・。」っというような声をよく耳にするんですけれども、谷口コーチも企業研修で、こういった声をよく聞かれるんじゃないでしょうか。

谷口:そうですね、でも「最近の若いやつは・・・」っていうのは、エジプトのピラミッドの中にも書いてあるようなので(笑)結局、いつの時代も先人から見たら、「若手は・・・」みたいに思うんだと思いますけど。

でも、よく言われますよ、自分で考えないとか、偉くなりたいと思わないとか、チャレンジを避けて無難な行動ばっかりするし、言われたこと以外はやらない・・・みたいなことはよく聞きます。

―― でも、谷口コーチご自身は、会社員時代に営業課長として活躍されていた時に、いわゆるダメ社員と呼ばれていた部下をエース級に変身させたような経験があるというふうに以前伺ったんですけど。

谷口:もう、僕にとっては財産の経験ですね。僕は、生きてきたのがコテコテの昭和だから、なので、気合いと根性みたいな世界で生きてきたので、正直いって人を潰した経験もあります。ダメにしちゃったみたいなのもあるし、人に潰されたこともある。ちょっと鬱っぽくなったとか。

でも、逆にすごく人に救われた。再生できた経験もあるし、それを踏まえてコーチングも勉強して、ダメだっていう烙印を押された人を再生する手伝いもできた。

当時、やっぱり僕もダメな烙印を押されて飛ばされて、そこへ行った時に、僕を待ってた社員が各部署で「要らない、無能だ、使えない。」と言われて、弾き出された人達が待ってましたね。各部署で要らないと言われた人ですよ。でも、今思えばそのおかげで僕は、『人はいつからでも蘇ることはできる。再生する。』っていうのは経験できた。

―― ありがとうございます。そこで、谷口コーチから見て、“部下を自走型に変えるためにリーダーが抑えるべきポイント”は何でしょうか?

部下を変えるのではなく○○を変える

谷口:こうやって、僕たち今、日常の会話をしていて、そこにヒントあるんですけど、「部下を変える」ってよく言います。ここを改めると、物の見方や考え方が変わる。部下を変える。じゃなくて、別なものを変える。

―― 別なもの。どういうことでしょうか?

谷口:部下を変えるんじゃなくて、僕たちは関わってるわけですよね、影響してるんですよ。簡単に言うと、部下に対して、上司って影響者なんです、すごい強力。子供で言うと、親は影響及ぼす人の代表なんですけどね。

相手を自分の望む方向に変えるのではなくて、人はより良くなりたいと思っているっていう前提で言うと、まずリーダーが自分の物の捉え方を変える。

―― 自分の捉え方を変える。

谷口:そう。出来事の捉え方を変えるのと、物の見方を変える。それが変わると最後は関わり方です。関わり方を変える。

どういうことかって言うと、上司が、普段の部下の態度に関する捉え方を変えずに、部下に対する見方を変えずに、自分が取ってるコミュニケーションも変えなかったら、多分現状のままだね。どんなに変えたいと思っても。

だから、捉え方、見方、関わり方を変えれば、自ずと部下にとってみると環境が変わるんですよ。

環境が変わるっていう例えで言ったら、こういう話してもいいのかな、聞いた話です。阪神淡路大震災ってあったじゃないですか。それまでは安定してて落ち着いて、周りの社会も、影響者も、バイク乗って暴走する人たちいるじゃないですか。「あいつら・・・」って見てるわけですよ。

でも、地震があった時に環境が変わったわけですね、そしたら、バイクを乗って普段暴走してた子たちが、自分たちはバイクなんで、荒れている所も何かを持って届けたりできたので、「困っているんだったら運んでやるよ。」って言って、物資とかを運んでたら、ありがたがられるとか、感謝されるとかっていうと、要は環境が変わったわけですね。

そうすると、彼らの行動や態度は変わる。でも、環境が同じだったら彼らの態度や行動は変わらない。だから部下にとっての環境を変える。

それで代表的なのが、上司の捉え方、見方、関わり方を変えると、それで結局変わる。だから、この時にすごく参考になったのが、イソップ童話の「北風と太陽」の話。太陽と北風が、旅人がコートを着て歩いてるのを見て、「あいつのコートを脱がせようぜ!」って勝負。

北風はもうビュービュー吹いて、コートすっ飛ばしてやるみたいにして北風がバーっと吹いたら、旅人は頑なにコートの襟を閉じて、脱がないようにする。簡単に言うと変わらないようにする。

でも、太陽は暖かくしたと。そしたら自ずともうこれは必要ないと思って旅人はコートを脱ぐ。簡単に言うと、変えようとするんじゃなくて、本人が変わりたい、変えたいと思う環境になればいいというのをイソップ童話のこの話で僕学んだんですね。

なのでこれをちょっとこう具体的に今日は時間取って話せたらいいなと思って。

―― 是非教えてください。

人が動く2つの動機

谷口:まず、「変わる」っていうことは、何か行動を起こす。例えばチャレンジするとか、自ら考えるでもいいです。まず、人間が動くっていうことを考える、物の捉え方や見方をするって1つお伝えしようと思うんですけど。

人間が動く動機って2つあるんだって。嫌なものを避けようとして動くか。得たいものを得ようとして動くか。

戦後、僕たちは貧しかったですよね、日本ね。そしたら得たいものって何だと思う?

―― 食べ物ってことですか?

谷口:そう、そう。もうお腹が減ってお腹が減って、だから何かを避けるってよりも、すごく強力な得たいものを得るために行動を起こすじゃないですか、盗むとか、人から奪うとか、極端な話。

で、じゃあ戦時中って言ったら、例えば殺されるとか痛めつけられるっていうのは避けたいですね、辛いから。そうすると何するかって言うと、身を隠すとかさ、防空壕入るとか、逃げるとかするんじゃない。

この避けたいことと得たいことが強力に働く時、人は動くんだって。なので、時代的には僕は昭和なんですよ。すでにある程度欲しいものは満たされているか?足りないか?って言ったらどっち想像する?

僕、昭和30年生まれだから終戦後15年生まれか、だから僕は生きたのは戦後20年位、今戦後80年でしょ?

―― いや、もう得たいものばっかりって感じですか。

谷口:そうなんすよ。美味しいもん食いたいとか、車が欲しいとか、だって全てないんだ。避けたいよりも、得たいのが強力なんですよ。なので頑張ったわけです。みんな猛烈に朝まで働けますか?残業なんか問いません!みたいにして、満員電車の中ギューギューでも通勤しますみたいなのは、得たいものがいっぱいあった。それは不足してるから。

だから「頑張ったらバナナあげるよ。」って親に言われたら一生懸命お手伝いする。今の子に「頑張ったらバナナあげる。」って言って頑張る?

―― いらないって言われそうです。

谷口:いらないよね。「バナナ?」とか言われちゃうよ。そういう時代だってことです。

なので、まぁ僕は昭和なので、要はないものを得ようと思って頑張ってる人たちと同じ物の見方をしたら違うってことです。ああ。僕たちはそういう時代でした。

だから、何で頑張んないのかってわかる。だって、頑張らなくたって全てある程度充足してる。バナナではモチベーションは湧かない。寿司でも喜ばないみたいな感じですよね。ていう時代。

じゃあ、何って言うと、ある程度ある時には、避けたいものを避ける

嫌な思いをする、叱られる、いじめられる、非難される、嫌われるっていうのは避けたい。なので無難なんですよ、本当。

だから、余計なことをしなければ、避けたいものを避けられるわけです。嫌われもしないし、失敗もしなくて怒られないし、痛い思いも、嫌な思いもしないし、非難もされないし。だから無難。

まず、こういうことを前提で覚えておいていいかなって思います。

でも、本心はそうかなって。例えば、何かをチャレンジしても、自分で考えても、挑戦しても、偉くなっても、叱られないし、嫌な思いもしないし、恥もかかないし、嫌われないし、仲間外れにされないし、逆に賞賛されるってなったら変わりそうな気がしない。

だって避けなくていいもん。最終的に、それは人間の本心で言うと、人はより良くなりたい。やっぱり自分で自己実現をしたいっていう欲求があるっていう、物の見方をまずしたらいいんじゃないかなって思います。

なので、『変わりたくない、考えないじゃなくて、自分で考えたり、挑戦すると、嫌な思いをする可能性があるから余計なことはしない』っていう物の見方になると僕1ついいと思って

なので、リーダーやマネージャーからすると、自分で考えても、挑戦しても、偉くなっても、逆に避けたいもの、嫌な思いをしない。っていうのをチームの中で作り上げる。

これが「心理的な安全性」ってやつ。これができると自ずと人は少し動き出す。

ピグマリオン効果とゴーレム効果

谷口:あとは、その見方なんですけど、「ピグマリオン効果」って聞いたことあります?

周りの人、特に影響者がこうだと思う姿になるって話なんだけど、なんかギリシャ神話らしい。

ある彫刻家が、理想の女性を彫ったらあまりにも理想でその理想の女性に恋焦がれて、この女性が本当の生きてる女性だったらなんていいだろうって思い焦がれてたら、神様が本当の女性に変えてくれたっていう話。

だから、周りの人がこの人はこうだって思った通りにその人はなるっていう話。

これがね、いろんな実験があって僕調べたんで面白い実験があるんですけど。国は知りません、ある小学校、小学生1年生に学力テストしました。で、同じスタートラインで学力の似た人を40人集めて1クラスにしました。

そこで、影響者って先生でしょ?で、先生に耳打ちしたんです。「学力調査をしました。そしたら1番~20番までの子は非常に見込みがあります。きっと将来、成績優秀になるでしょう。でも、21番~40番までの子はちょっと期待できないですね、学力に大きな差があります。なので、将来はあまり見込めないかもしれませんね・・・」

簡単に言うと、すり込んだわけ、先生たちに。ま、言っちゃあひどいことするよなと思うんだけど。

そうすると、先生からすると、1番~20番までの子たちは期待する、すごく優秀なので。同じなんですよ、最初のスタート学力レベル。で、21番~40番は見込みがないんだなって思ったらしいんですね。

それで6年間過ごしたら、本当に1番~20番までの子は優秀なんだって、学力上がるんだって。21番から40番まではそこそこなんだって。

だから、これがピグマリオン効果。思った通りになっていく

逆を「ゴーレム効果」って言う。「あいつはダメだ。」とか、「あいつは無能だ。」とか思うと、本当に逆もその通りになる。

っていうことは、今日の冒頭であったでしょ。「指示待ち社員ってマネージャーが思ってたらどうなるんですか?」その通りになるわけです。

成長意欲がないやつって、思ってたら?その通りになるってことですね。チャレンジを避けて無難な選択ばかりをしてるやつ、と思ったら、その通りの社員になっていくと。そういうこと。

まず、その部下はこういうふうにって思うようにする。だから僕、自分がダメな社員を受け持った時に、周りのマネージャーはこいつは無能だとか使えないって言ってる。僕がこいつはダメだと思ったらその通りになる。ってその時学んだんですよ。

変えたんです、部下1人1人。「こいつは他にないユニークな資質を持っている。」とか。

すごく人を避けてあまり人の言うことを聞かないやつは、青い炎の男。「いや、内には非常に青くメラメラと情熱を持ってる男。」とかっていうふうに全部切り替えたんです。

ダメじゃなくて、こういう見込みがある人間みたいな。だから、まずこの「ゴーレム効果」から⇒「ピグマリオン効果」に変えないとダメ。

こういう力を発揮するはずとか、これを任したら誰にも引けを取らないとか、将来大化けするぞこいつは、みたいにまず見ることです。これが1つですね。

関わり方を変える

もう1つ、さっきの物の見方は、もう彼らは十分最低限必要なものは充足してるんだと。

動機は、避けたいものを避けるために態度や行動に起きている。のであれば、その嫌な思いをしないっていう経験を積めば、絶対動くはずだって思うわけ。

なので、やるのは心理的安全な環境。じゃあどうするかって言うと、関わり方なんですね。だから、コミュニケーションを変える。

「なんでお前は動かないんだ。もっと考えろ。」って言ったら考えると思う?

―― いや、余計考えにくくなるかもしれないですね。

谷口:ね、もっと怖くなるじゃないですか。これ北風の関わり方。でも、太陽の関わり方すればいいじゃん。

「いやあ、いつも朝早いね。」とか「机が綺麗だね。」とか「あ、最近すごく楽しそうに仕事してるじゃん。」とか「お、そのアイデア面白いな、ちょっと参考にしていいかな。」っていうふうにしたら話したくなるじゃん。

なので、ま、簡単に言ったらその捉え方ですね。時代によって違う。得たいものを得ようとして今の人は動機にならない。避けたいものを避けるっていうのが動機になるから余計なことはしない

次、物の見方、代表的なのはピグマリオン効果。「あいつは考えない。」ていうのを変える。まるっきり変える。僕だったら青い炎の男みたいな、その社員を見る見方を変える。

次にコミュニケーション。「あーしろ、こーしろ」っていう指示ではなくて、期待したりアクノリッジ(承認)の言葉をかけたりするっていうのが関わり方を変える

そうすると、ここでは自分を発揮していいんだと。嫌な思いはしないんだ。役に立つんだ。自分でもここでは可能性があるんだと思えると人は自ずと変わっていくっていうのが僕がした経験かな。

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